一般財団法人潤和リハビリテーション振興財団 潤和会記念病院 岩村 威志 院長

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心、技術、環境、公平性 四本柱で病院運営

【いわむら・たけし】 宮崎県立高鍋高校卒業 1977 鹿児島大学医学部卒業 宮崎医科大学医学部附属病院第1外科入局1993 米国ネブラスカ州立大学医学部・エプリィ癌研究所客員講師 2002 宮崎医科大学医学部外科学第一講座助教授2004 潤和会記念病院副院長・外科主任部長 2016 同院長

 潤和会記念病院は2005年、大型台風の影響で病院横の川が越水し、ほとんどの医療機器が浸水。しかし、この逆境をばねに機器を一新し、医療の幅を広げてきた。

 「人間愛」を病院理念に、総合的に診療できる地域中核病院としての役割を果たす。

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―病院の特徴を教えてください。

 九州大学医学部出身で整形外科を専門とした大野英男先生が、大野病院として1947年に開設。今年で70年を迎えます。

 開設時から現在までに、延岡中央病院や宮崎温泉病院など、何度か名称を変更しましたが、一貫して、整形外科、脳神経外科、外科の患者を中心に受け入れてきました。現在の病床数は、446床です。

 リハビリテーションにも力を入れています。現在、約730人いる医療スタッフのうち143人がリハビリに従事。宮崎県内の地域リハビリテーション医療施設の中核を担っています。

 2005年9月、九州地方を襲った大型台風の影響で月間平均雨量の3カ月分の雨が降り、病院のすぐ横を流れる大淀川支流の大谷川が越水。当病院を含む一帯には大量の水が流入して、検査機器を含む医療機器が壊滅状態となりました。

 ほとんどの設備が入れ替えを余儀なくされ、経営的に大打撃。しかし、今考えれば新たな機器を導入するよいきっかけとなりました。現在、高精度放射線治療装置や血管造影装置、3.0テスラMRI、マルチスライスCT装置など最新の機器をそろえ、診療に当たっています。

 2014年には緩和ケア病棟(24床)と地域包括ケア病棟(52床)を開設しました。

 緩和ケア病棟設置によって、がん患者の診断、手術・化学療法・放射線治療に加え、終末期の診療も可能になりました。両病棟の存在は、一次医療機関との連携強化にもつながっています。

 来年4月には医師を増員。急性期の脳血管障害患者を受け入れる専用病床「ストロークケアユニット(SCU)」を新設し、脳卒中の早期処置が必要な患者への対応を強化します。

 当病院は、救急指定病院として、2014年度は1778台、2015年度は1699台の救急搬送を受け入れてきました。SCUの新設によって、その数がさらに増えると見込まれます。

 どうすれば「よりよい医療」を患者さんに提供できるのか、何が必要かを考えながら病院を運営しています。

―病院理念の「人間愛」とは。

 当病院の理念「人間愛」は、先々代の院長であり、現在の呉屋朝和名誉院長が掲げられた言葉です。

 私は、患者への医療提供や病院組織の運営で、「人間愛」という理念に基づく「心・技術・環境・そして公平性」の四つが大きな柱になると考えています。

 「心」は人間愛そのものです。心のない医療では患者やその家族はもちろん医療スタッフ自身も満足できません。

 スタッフ全員が、患者さんに対して、常に自分の家族に接するような気持ちで向き合ってほしいと考えます。また、医療スタッフは、自分の信念を貫きつつも、さまざまな意見や患者さんの意向を聞くことができる寛容性を持ち、自己の心の研さんに努めてほしいと思っています。

 「技術」とは、それぞれの職種においての医療知識を含む高い技術です。

 的確な診断や手術の手技、適切な薬物療法、患者さんの異変を感じ取る力など、必要な技術は職種によって異なります。そのどれも欠かすことはできません。すべてがそろってこそ、良い医療ができると考えます。さらに言えば、最新の医療設備も技術を支える大切な要素です。

 「環境」には、すべてのスタッフがお互いに信頼し、緊張感を持ちつつも安心して医療行為ができ、患者さんも安心して治療を受けられる「人の環境」と、整理整頓され、医療行為に必要な器具が整えられている「物の環境」があります。

 「公平性」とは、正当な評価のことです。労働環境や給与手当などが職務内容に対して適当かどうかを公平に判断することで、スタッフが働きやすい職場、すなわち、よい医療を提供できる病院につながります。

 公平性を担保するために、当病院では、約10年前から、事務職を含むすべてのスタッフに目標を設定してもらい、年に2度(医師は年に1度)、目標の達成度を確認しています。検証作業としては面談を実施。正当な評価につなげています。

 私たちは、これらを総じて「人間愛」と考え、この理念に向かって、病院一丸となって取り組んでいます。

 残念ながら、来院する患者さんの病気は必ずしも治るとは限りません。私たち医療スタッフは、患者さんが死に向かう終末期に直面することも多々あります。

 「患者さんにどう接すべきか」「患者さんのこれまでの生き方は」「家族の意向は」「患者さんの現在の気持ちは」―。スタッフは、患者さんと家族の考えを尊重し、心身の痛みを理解しながら医療を提供しようと心がけています。

 患者さんや家族の価値観は多様化し、今後ますます細分化するでしょう。「人間愛」の精神浸透に、一層力を入れていきたいと考えています。

 さらには、そのことが変化を続ける医療制度や社会の医療需要への対応力強化、これからも当院が地域の中核病院としての役割を果たしていくことにつながっていくと思います。

―今後の課題は。

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 医師や看護師をはじめとする医療スタッフの確保です。病院規模を拡大するための人員補充のためだけでなく、日々忙しく働く既存スタッフの労働環境を改善するための人材確保も課題となっています。

 私たちは人を相手にする職業です。すべてのスタッフが疲弊することなく生き生きと仕事ができてこそ、良い医療が提供できます。そのための環境整備が、院長としての役割です。人材確保のため、今後も努力を続けたいと思います。

一般財団法人 潤和リハビリテーション振興財団 潤和会記念病院
宮崎市小松1119
TEL:0985-47-5555
http://www.junwakai.com/


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