一般財団法人潤和リハビリテーション振興財団
潤和会記念病院 院長 鶴田 和仁
院長は神経内科の医師だ。宮崎県内に神経内科の専門医は10余名しかおらず、院長と言えども貴重な戦力として数えられている。外来も診て、入院患者も受け持っている。院長職だけに集中できる環境ではないが、それだけ優秀な事務職員が支えてくれている証だそうだ。今、院内で神経内科の専門医を育成中。今後は院長職に集中できるだろうと言う。
耳鼻科などもあり、いろんなことをやっている病院ですが、いわゆる総合病院ではないんです。リハビリテーションということがバックグラウンドにあり、神経系が中心の病院で、脳外科は今4人、訓練士がPT、OT、ST合わせて120名ぐらいいます。併設のリハビリテーション専門学校とは建物自体がつながっているので、学生も実習で手伝いに来ます。盆正月も休みなくやっていますよ。ほかに消化器外科や放射線科も頑張ってやっていますね。整形外科は今少しパワーダウンした感じです。
病院の特徴としては、今流行じゃないケアミックスなんですよ。トータルで446床で、回復期リハビリテーション病棟が165床、療養病床が54床。時代とは逆行しているんですが、半分以上は一般病床ですし、救急車は年間1千700台くらい来ますから、急性期や救急が疎かなわけでもありません。主にリハビリに関係するような疾患の救急が主ですね。
私は宮崎県内の神経内科を育てる目的も兼ねて呼ばれたわけで、当院には研究や教育をする目的もあります。私が来るまでは神経内科はなく、脳外科だけが頑張っている状態でした。今後は県外で働く宮崎出身の神経内科医が帰郷した場合の受け皿にもなれると良いなと思い、神経系を充実させているところです。
当院は脳神経センターが特長で、主に神経内科と脳外科、精神科で使っています。その一角に神経生理検査室があって、脳磁計(MEG)やナビゲーションを使った経頭蓋磁気刺激装置があり、この2つを兼ねているのが売りの一つです。2つを組み合わせて、脳卒中など脳に障害が出た患者さんの診断と治療をやっています。
脳磁計は、脳の電気的な活動を見る装置で、従来は脳波で視ていましたが、脳波は骨や皮下組織を通る時にひずみが出るので、空間の解像度が非常に悪い。脳磁計は磁場を測定することによって、脳の電気的な活動を精確に視ることが出来ます。以前はてんかんの発作の焦点がどこにあるのかを探すために使われていた装置ですが、当院では1年前から、脳卒中の患者さんの回復過程を追ったり、治療的な介入に使ったりしています。今少しずつデータが集まってきているところです。
これまでリハビリテーションは、セラピストの経験と勘に頼ったものでしたが、今後は「ニューロリハビリテーション」と言いますが、もう少し科学的に、データを見ながら効率的なアプローチができるようになると思います。医師の学会だけでなく、セラピストや検査技師の学会も含めた数ですが、去年は11の国内外の学会で研究を発表することが出来ました。
当院は医者の少ない病院なので、コ・メディカルのやる気のある人が積極的に取り組んでいます。今年は国際学会には3つ、国内学会にも3つぐらい出す予定です。
当院には常勤の麻酔科医が6人いますが、常勤2人と非常勤1人がペインクリニックの専門です。全国でも症例数は多い方で、脊髄の中に電極を入れたり、経頭蓋磁気刺激装置を用いるなど、従来の麻酔科がやっていた範囲を超えて、先進的な痛みをとる治療を行なっています。