一般財団法人 潤和リハビリテーション振興財団 潤和会記念病院 鶴田 和仁 院長
リハビリテーションを軸に、関連のある診療科が集まる一般財団法人潤和リハビリテーション振興財団「潤和会記念病院」(宮崎市)。神経内科医でもある鶴田和仁院長に特徴を聞いた。
―「ニューロ・リハビリテーション」に取り組んでいるそうですね。
科学的な面からアプローチする「ニューロ・リハビリテーション(神経リハビリ)」は、まだ非常に新しい分野です。脳の機能を客観的に見て、「今、この部分がこう動いているな」ということを把握し、それを治療に生かしていく。当院の脳神経センターでは、フィンランド製の脳磁計と経頭蓋磁気刺激装置を使って、脳の生理的活動を見ています。
脳神経センターができ、この機械を導入して5年目。今は、これを使って少しずつデータを集めているといったところです。世界的に見ても、まだまだ発展途上の分野ですが、試行錯誤しながら今後のリハビリに生かしていきたいと考えています。
―そのほか、貴院のリハビリの特徴は。
ニューロ・リハビリとは少し離れますが、リハビリにおいては「量」と「タイミング」というのもとても大事なんです。
当院は脳卒中の患者さんが一番多いのですが、重症の方でも集中治療室に入ったその日からリハビリテーションスタッフが介入し、リハビリを始めます。また、土日も、お盆も正月も休まず訓練をしています。
早期リハビリが十分にされていないと、いろいろな関節の拘縮、痛みなどさまざまな影響が出てきます。また早い時期に集中的に訓練することによって、回復の度合いがずいぶん違ってくるんですね。
ここでは、早期から集中的に訓練するための体制が十分に取れているのではないかと思っています。
―教育や研修で心掛けていることは。
当院は宮崎大学医学部の協力型病院として研修医を受け入れています。自分たちが持っている知識や経験を伝えるということは一つの使命だと思いますね。私自身も先輩に育ててもらってきましたから。
将来的に、当院で研修した若い人たちが新たなスタッフとしてこの病院の仲間に加わり、病院を活性化させてくれれば、さらにうれしいですね。 卒業したてのころの成長のスピードはすごく速いと思います。1年目と2年目は明らかに違う。見ていてだいたい分かります。
私自身を振り返ってみてもそうだったと思います。当時のことはよく覚えている。それだけ密度濃く、いろいろなものを吸収していたのだと思います。
宮崎大学の場合は、研修医が指導医をランキングするシステムがあり、例年、当院の指導医がベスト3の中に入っています。「潤和会記念病院に行ってよかった」という印象は持ってもらえているのではとは思います。
当病院には留学制度があり、今年末には脳神経センターのスタッフをヘルシンキ大学に派遣する予定にしています。
ヘルシンキ大学は脳卒中の症例数が世界一。その環境でしっかりと研修し、当院が2年後に予定している脳卒中センターリニューアルに、その経験を生かしてもらいたいと願っています。
―専門である神経内科の魅力を聞かせてください。
脳はすべての臓器に関連していますが、ブラックボックスのようなもので、わからないことが多くあります。でも、その分、やることも新たな発見もいっぱいある。私自身、何十年とやってきた今も勉強していますし、「これ面白いな」というところが多々あります。若い人にも学んでほしいですね。