人間力を育み、やさしい病院を目指す

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独立行政法人労働者健康福祉機構 愛媛労災病院 院長  宮内 文久

宮内 文久(みやうち ふみひさ)1973 山口大学医学部卒業 同研修医 1975 同大学院医学研究科(産婦人科学専攻)入学 1979 同大学院医学研究科(産婦人科学専攻)終了・医学博士 社会保険徳山中央病院医員1980 山口大学医学部産科婦人科学助手 1984 同講師 ミシガン大学生殖内分泌学研究所客員研究員就任 1988 山口大学医学部産科婦人科学助教授 1989 労働福祉事業団愛媛労災病院産婦人科部長 2005 労働者健康福祉機構愛媛労災病院副院長 2012 同院長代理 2014 同院長 現在に至る。■資格 日本産科婦人科学会専門医 日本医師会認定産業医 日本病院会診療情報管理士 日本職業・災害医学会労災補償指導医 など。■臨床研修における活動 指導医養成講習会(臨床研修協議会、臨床研修推進財団)、プログラム責任者養成講習会(臨床研修協議会、臨床研修推進財団)など。

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独立行政法人労働者健康福祉機構 愛媛労災病院 院長  宮内 文久

 愛媛労災病院は昭和51年に内科、外科、整形外科の50床で開院しました。その後、日本経済が上向くに従って病院の規模も拡大し、一番多い時には356床ありました。そのうちの50床は特例リハ病棟でしたが、医師不足のあおりを受け、現在は218床、病棟数5病棟で運用しています。

 平成16年4月に臨床研修病院管理型になり、平成18年4月には愛媛県で2番目にDPC対象病院になりました。平成23年11月には愛媛県がん診療連携推進病院に指定されました。

 常勤医師がいるのが13診療科、非常勤の医師がいる科を含めると、20診療科で外来を行なっています。常勤医師は、現在33人です。

 我々は労災病院の使命のもとに、午前と午後に外来を設けています。また特殊外来を設け、婦人科には思春期更年期外来、整形外科にはスポーツ外来、内科にはフットケア外来があります。それぞれの科に認定看護師がいるので、さまざまな角度からの治療が可能です。

 当院ではレスパイト入院の取り組みもしています。難病の患者さんを在宅で介護をしているご家族は、疲労がたまっています。その休息のために1週間ほど患者さんを当院でお預かりしています。

 昔は労災の患者さんが多く、外科、整形外科が中心でしたが、今は産婦人科や小児科などもあるので、地域に密着した中核病院を目指しています。

 循環器科、整形外科、産婦人科は新居浜市の中でも高い評価を得ており、新居浜市、西条市などの東予地区一円を対象にした診療活動を行なっています。

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宮内院長が撮影した病院の写真。桜を撮影するのが好きで、毎年撮影し病院の広報誌にも写真を載せているそうだ。

 労災関連で入院している患者さんの割合は全体の5%ほどです。今後も労災関連は積極的に受け入れていきますが、それだけでは218床全部のベッドを埋めることができません。現在、循環器科、産婦人科、外科、糖尿病内科などそれぞれの科がとても頑張ってくれています。

 4月から県立新居浜病院の呼吸器内科の医師が当院に赴任しました。労災病院の性格上、アスベストは重視しなければいけませんし、最近は、労働者の睡眠時無呼吸症候群が社会的な問題となっています。呼吸器内科ではこれらの疾患も積極的に検査をしています。

 これまでは医師がどんどん減っていく状況でしたが、平成24年4月に麻酔科医師を1名新規採用し、同年10月には消化器内科に香川大学から非常勤の医師がきています。翌年4月には小児科医を1人新規採用、循環器内科も1人増員しました。今年4月からは呼吸器内科医と研修医が加わりました。今後は医師が増える病院になる気配を感じています。

 平成21年度は4億9千400万円の赤字を出していましたが、徐々に減ってきました。昨年度の当初の計画では、1億7千400万円の赤字を見込んでいましたが、最終決算で9千900万円の赤字に落ち着きました。予定より約8千万円赤字を減らすことができたので、今後も経営改善に努めていきたいと考えています。

 今後、なんとか黒字化を達成したいと思っています。

 経営状況の改善は、職員のみなさんが、それぞれの役割をこなしてくれたこと、情報の共有に務めた結果のあらわれだと感じています。

 今年度、保育所を設置することで、看護師、女性医師の確保を目指します。また、電子カルテ化を進め、7対1看護を確保。地域から必要とされる病院になることが私たちの願いです。地域から信頼され、職員が働きやすい病院を目指し、今後も努力を続けていきたいと思います。

 我々は、医療技術で患者さんを支えるとともに、人間力を提供して患者さんに寄り添うことが、これからの医療には必要だと考えています。

 我々は「聞く力」、「共感する力」、「受け入れる力」、「思いやる力」、「ユーモア力」を育んで、地域から信頼され支え寄り添う、やさしい病院でありたいと考えています。

 当院はいい病院だと自負しています。これからは職員全員が持っている能力、行動力を発揮することで生き残れる病院になると考えています。

6つの重点事項

 今年度の重点事項を6つ掲げました。

 はじめに「良質で、効率的な医療の提供」をあげています。そのための診療機能の充実では、医師・研修医の確保、電子カルテの導入、建物・機器の老朽化への対応を予定しています。特に電子カルテなしには情報の共有は困難だと考えています。病病連携・病診連携にもこれまで以上に力を入れ、地域とともにありたいとの考えから、介護施設と我々との間の情報共有、連携を推し進めています。施設での急性増悪にも対応していきたいと考えています。

 2つ目の「経営基盤の強化」も急務です。入院患者185人、外来患者580人の目標を維持してほしいと思っています。また看護師の確保、特殊外来の拡大も考えています。

 3つ目に掲げた「働きやすい職場の形成」の取り組みでは、10月に保育所の設置を予定しています。看護師からは土日も含めた24時間対応を希望する声もありますが、初めての取り組みなので、最初は平日の8時から19時くらいまでを考えています。あいさつの励行と情報の共有はこれからも継続して取り組んでいきたいと考えています。

 4つ目は「説明と同意の実践」です。当院では日本医療メディエーター協会四国支部および愛媛県医師会の協力を得て、平成20年4月より院内の医師、看護師、事務職員を対象に院内医療メディエーターの養成をしてい

 常勤医師の33名のうち8名、全師長、看護部長、副看護部長、事務職員も院内医療メディエーター養成講座を受講しています。ゆくゆくは職員全員が講座を受講し、思いやりを持って患者さんの声に耳を傾ける姿勢が身につけば、説明と同意が充実し、ひいては病院の雰囲気、文化を変えることにもつながると考えています。

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 5つ目は「地域への情報発信」です。地域から必要とされる病院でありたいとの思いから公民館を中心にした情報発信をしていて、薬剤師、理学療法士、看護師が、家庭でできる腰痛のケア、薬の飲み方など日常の疑問に答えています。

 最後に「勤労者医療の中核的役割」を掲げています。当院では働く女性のメディカルケアの研究を行なっています。34の労災病院のうち女性外来を設けている病院が7つあります。その中でも性差医療に積極的に取り組んでいるのが当院を含めた5病院です。

 女性が夜間労働をすると副腎皮質ホルモンのコルチゾール(ストレスに対して反応するホルモンの代表格)の日内リズムが変化します。コルチゾールは0時から2時に最低値を示し、朝の8時に最高値を示します。このホルモンの日内リズムの乱れにより、夜間働いている看護師は肥満傾向になることが分かりました。

 夜間に働く男性にはコルチゾールの変化は見られません。男女雇用機会均等法がありますが、もしかすると女性には女性に向いた労働の形があるのかもしれません。それが今年度から労働者健康福祉機構がはじめる「就労支援と性差」のテーマにも結びついています。

 これらの取り組みが労災病院と地域の中核病院としての特長を出せるのではないかと思っています。


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