低侵襲手術、集学的治療、地域連携でのPSA検診 QOLに心を配り目指すは元気な高齢社会

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長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 泌尿器科学分野教授 酒井 英樹

1983 長崎大学医学部卒、同部附属病院泌尿器科研修医 85 国立嬉野病院泌尿器科 86健康保険諫早総合病院泌尿器科 87 長崎大医学部附属病院泌尿器科医員 88 黒木病院90 長崎大学医学部附属病院泌尿器科医員91 同助手92 博士(医学)取得 2000 長崎大医学部附属病院泌尿器科講師 07 同大大学院医歯薬学総合研究科腎泌尿器病態学分野准教授 09 同教授 14 同研究科泌尿器科学分野教授(名称変更)

今年7月、長崎県内で初めて手術支援ロボット「ダヴィンチ」が導入された長崎大学。9月からは、ロボット支援下での前立腺全摘手術が始まった。

 高齢化社会を背景に、男女問わず増え続ける排尿の悩み、そして増え続ける前立腺がん。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器科学分野の酒井英樹教授に、その取り組みや思いをうかがった。

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̶教室の特徴は

 がん治療や、腎移植をはじめとする腎不全治療、排尿障害の治療、小児の先天性疾患の外科的治療、それから不妊やアンドロロジー。いろいろな分野を扱っています。

 地方都市の医学部の特徴とも言えると思いますが、さまざまな分野をすべてカバーする必要があり、医局員は幅広く知識を身につけられる、それが特徴だと思います。

―研究について教えてください

 がんに関するものが中心となっています。がんが増殖するためには血管新生が必要です。また、がんの浸潤や転移には血管新生がきわめて重要な役割を担っています。そこでがん治療のヒントを得られないかと、この分野に関しての研究に、長年力を入れています。腎がん、膀胱がんで業績を上げており、最近では前立腺がんに取り組んでいます。

―治療についてはどうですか

 2002年から、長崎市と市医師会、われわれ長崎大学泌尿器科の3者が協力して、前立腺がんのPSA検診を始めました。まず、二次予防、早期発見ですね。

 早く見つかると、いい点として「根治できるチャンスが増える」、「治療の選択肢が多い」、その結果「侵襲の低い治療を選択できる」ことが挙げられます。

 低侵襲根治療法としては、2005年、前立腺に放射線を出すカプセルを埋め込む「密封小線源治療」をやり始めました。

これは治療自体は1日、入院も5日間ぐらいで済みます。

 それからIMRT(強度変調放射線治療)という外照射。これは通院で2か月ぐらいです。腹腔鏡による前立腺がんの手術もやっています。早期発見した場合にできるすべての治療法を駆使して取り組んでいます。今年、手術支援ロボット「ダヴィチ」が入ったことで、さらに根治治療のレパートリーが増えています。

 近年、前立腺がんが増え続けています。2020年には日本の男性のがんで罹患率が1位になるとの予測もあるほどです。食生活の欧米化、高齢化などを背景に、日本で最も増えているがんで、この病気に対する対応は非常に重要です。力を入れて取り組み、早期発見、早期治療で死亡数を減らしていくことにつなげたいと考えています。

 もうひとつ取り組まなければならないのが、がんの集学的治療です。長崎大泌尿器科でやっているのは、膀胱がん。一般的に、進行したものは膀胱を全摘し、腸を使って膀胱の代わりになるものをつくったり、ストーマをつくったりすることが必要です。でも、膀胱を失うと患者さんの生活に制限が増えてしまいます。

 そこでうちでは、膀胱を温存し、抗がん剤と放射線を併用した治療をしています。抗がん剤は点滴ではなく、カテーテルを使って膀胱の動脈に注入します。そうすることで膀胱がんに抗がん剤がたくさん集まり、一方で全身の副作用を軽減できます。それに放射線治療を併用することで、腫瘍が完全になくなる場合もあります。患者さん全員にその治療ができるわけではないですが、かなりいい成績を上げています。

 進行した患者さんは、QOLが非常に大事です。教室としては、これを重視した治療をいつも心がけています。

―人材育成については

 泌尿器科を志す若い人が減っています。外科系全般に少ないということもあり、うちの教室でも教育に力を入れています。

 病院実習の際には、許される範囲内で学生に処置を手伝ってもらったり、手術室に一緒に入ってもらったり。そうすることで、学生もやりがいを感じられると思います。ダヴィチにも非常に興味を持ちますね。

 とにかく泌尿器科学に興味を持つような実習や講義を心がけていますし、医局員全員がそういう気持ちで学生の教育に参加する、ということが大事だと思います。

―若い人たちに望むことは

 常々「エンタープライズを持ってほしい」と話しているんです。進取の気性、起業家精神、とでも言うのでしょうか。

 例えば、日常の診療で疑問を持ったら、それを解決するために、考え、発案して、実行する。小さなことでいいんです。自分で、どうしたらいいか考えて、動いてみる、その積み重ねが、いい医者をつくっていくと思うんです。それを続けることで、患者さんを観察する眼も肥えていくと思います。

―今後の目標は

 目指すのは、「元気な高齢化社会」です。そのためには、われわれ泌尿器科の担う部分がとても大きいと思っています。

 高齢者にとっての排尿障害はQOLを低下させ、さまざまな制限につながります。がんの治療もそうです。高齢者は当然病気にはなります。でも、その中でも、患者さんが楽に生活していかれるような医療を、泌尿器科がますます担っていかなければいけないし、そのために努力をしなければいけないと考えています。

―忙しい毎日、リラックス方法は何ですか

 なかなか行かれていませんが、温泉旅行ですね。ぬるっとしたなめらかな湯ざわりというんですか、そういうお湯に当たると、うれしいですね。


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