3月以降、東京と大阪でワクチン被害弁護団が集団訴訟をにらんだ会見を行うなど、子宮頸がんワクチンの副反応被害をめぐる動きは今年に入って大きく動いている。九州でも、3月5日、福岡市中央区の天神ビルでシンポジウム「子宮頸がんワクチンの副反応問題を考える」が開かれた。主催は薬害オンブズパースンタイアップグループ福岡。参加者は主催者発表で130人。
シンポジウムで基調講演を行った隈本邦彦・江戸川大学教授は、「HPVワクチンは、局所感染を一生防ぎ続けるという、非常に高い目標をクリアするために作られた」と述べ、「HPV感染は極めて普通にみられるもので、大部分は自然に治る感染症。まれに子宮頸がんを引き起こすが、その予防のために重篤な被害のおそれのあるワクチンを接種する必要があるのか」と述べ、「公費を投入して被害を拡大させた」と、国の姿勢を批判した。
パネルディスカッションで副反応被害を報告した十代の女性は、身体中の激痛や倦怠感で通学困難になった体験とともに、「複数の病院で検査を受けたが、数値では正常とされることで生じる無理解や偏見に苦しんだ」と告白。「他の人には同じ苦しみを味わってほしくない」と語り、現在は自費で行っている治療費の公費補助などを訴えた。
国は2010 年11 月から子宮頸がんワクチン接種への公費助成を始め、13 年度からは小学6年~高校1年の女子を対象に定期接種(原則無料)とした。厚生科学審議会資料によると、2014 年11 月までに中高生女子を中心に338 万人が接種を受け、うち2584 人(0.08%)が副反応を訴えている。副反応は、頭痛、倦怠感、関節痛、筋力低下など。厚労省は、相次ぐ健康被害の訴えを受け、定期接種を開始した2カ月後に積極的奨励を中止している。