藤田保健衛生大学 七栗記念病院 園田 茂 病院長

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患者さんの心を支えリハビリを実践

【そのだ・しげる】 開成高校卒業 1985 慶応義塾大学医学部卒業 同リハビリテーション科入局2002 藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅱ講座教授 2003 同七栗サナトリウム(現:七栗記念病院)病院長 2004 同七栗研究所所長兼務

 三重県の回復期医療を支えてきた七栗記念病院は、2017年に開設から30年を迎えた。同年8月には「先進リハビリテーション棟」の工事を完了。最新鋭の機器が使用できるリハビリテーション室も整備された。リハビリの新たな道を切り開こうとしている。

◎リハビリ医療と緩和ケア医療に注力

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 2003年に病院長に着任して以来、リハビリテーション医療と緩和医療を柱に、より専門性を打ち出すための病院運営を進めてきました。

 当院に緩和ケア病棟が設置されたのは1987年。1997年には大学病院としては全国で初めて認可されました。

 リハビリテーション医療と緩和医療は当院の車の両輪のようなもの。今後はこれに加えて認知症医療の充実も図ります。

 病院機能としては「回復期」を担う病院として三重県下の患者さんを支える役割を果たしながら、かつ得意分野をしっかりと強化していきたいと考えています。

 現在、病床数は218床。そのうち一般病床は48床、緩和ケア病床は全室個室で20床です。回復期リハビリテーション病棟は、109床を昨年増床して現在は150床になりました。

 緩和ケアにおいては、医師、看護師、管理栄養士などが構成する栄養サポートチーム(NST)の活用も重視。末期がんであっても、患者さん自身ができるだけ、口から食べることができるように、メニューや調理法などを工夫しています。

 さらに、病室や周辺環境にも配慮。患者さんが集う緩和ケア病棟1階のホールにはステンドガラスなどを配しています。ここでは入院患者さんのお子さんの結婚式をしたこともあります。

 また、一般病床の一部に当院独自の「ハイブリッド緩和ケア」という概念を取り入れています。緩和ケアの一環として、抗がん剤治療、腹水ろ過濃縮再静注法などを積極的に実施。症状の緩和やQOLの改善を図ります。

◎トヨタ自動車との共同開発機器も

 2017年8月に開設した「先進リハビリテーション棟」は3階建てです。1階には、約100人を収容できる七栗記念ホールがあります。

 当院は七栗リハビリテーションセミナーという医療関係者向けの講演会をこれまで100回以上実施しています。新ホールは内外に向けた研修会を開催するほか、地域住民の方への貸し出しも可能です。

 本館3階と先進リハビリ棟の2階は渡り廊下でつながっています。新棟には「第2リハビリテーション室」を整備し、最新のリハ機器などを10種類ほど設置しました。

 たとえば、トヨタ自動車と本学が共同開発をした歩行練習支援ロボットの「ウェルウォーク」。重度の片まひの患者さんに適応があり、早期からトレッドミルと言われる動く踏み台の上で膝関節をロボットで制御しながら安全に歩行練習ができます。大画面モニターで、患者さんが自分の足の動きを確かめながら歩行訓練が可能です。

 同じくトヨタ自動車と共同開発をしたバランス練習支援ロボット「BEAR」は、三重県内では唯一当院に導入されています。モニターに映るキャラクターが体の動きと連動。ゲーム感覚で楽しみながら体のバランス感覚を取り戻していくことができます。

 上肢のまひを回復する「イン・モーション」という訓練用ロボットも導入。アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)が開発したもので、テーブル上に設置された機器を使って上肢を水平に動かす訓練で機能改善を図ります。

 また、第2リハビリ室には、天井から安全懸垂装置を吊り下げました。歩行訓練の際の転倒を防いでくれますので、患者さんは安心して訓練に取り組むことができます。

◎七栗独自のリハビリプログラムを

 当院は、三重県で唯一のリハビリテーション医学講座を持つ大学病院として、臨床のほか、研究や教育にも力を入れています。

 当院のリハビリに携わるのは5人のリハビリテーション科専門医を中心に、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、リハビリ工学士、そして社会福祉士、介護福祉士など総勢180人です。摂食嚥下(えんげ)のリハビリでは、言語聴覚士のほかにも歯科医師や歯科衛生士なども加わります。

 180人のうちセラピストは85人です。回復期リハビリ病棟の場合、患者さんは土、日も含めて1日3時間近くのリハビリをしますので、セラピストはまだまだ足りない状況です。

 当院の回復期リハビリのコンセプトは2000年にスタートした「FIT(フルタイム・インテグレーティッド)プログラム」という独自のもので、週7日間、毎日集中的にリハビリに取り組みます。

 また、病棟とリハビリの訓練室が隣接する「一体型」になっているのも特徴。入院中の患者さんが、いつでもリハビリをできるような環境が整っています。

 当院に入院する患者さんの8割は脳卒中で、脳にダメージを受けています。リハビリでは、まひが改善しにくい場合でも残された機能によって上手に体を動かすことを目指します。

 ロボットなど先進機器を活用し、科学的な根拠に基づいたリハビリによって患者さんが、新しい動作を覚えるためのサポートを進めています。

 また、当院の回復期リハビリでは、年間600人程度が訓練を実施して退院します。これまでに蓄積された膨大な訓練データを集約、解析し、このデータに基づき、新たな患者さんの帰結の予測に活用。最適な治療の選択に活用しています。

 また、「手が上がった」というような「定性的」な見方ではなく、「手が何㎝、どの角度に上がった」といった「定量的」で、より科学的なリハビリの実現を目指しています。

 定量化することによって、訓練の結果が数値化されます。可視化することによって患者さんのモチベーションアップにもつながります。

◎患者さんの気持ちに沿って

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 患者さんの気持ちに沿ったリハビリを実施する心配りも必要です。

 回復期リハビリの場合、多職種チームで患者さんを支えるのが特徴です。スタッフは患者さんのリハビリがスムーズに実践できるように、チームで話し合いながら訓練に取り組みます。

 リハビリが円滑に進むためには、本人のやる気や、本人が障害に向き合う覚悟も重要な要素です。さらに、リハビリスタッフとの信頼関係も欠かせません。それらが基本にあって、初めて先進的なリハビリも生きてくるのです。

 しかし、このような心配りといった、目に見えない医療は、残念ながら診療報酬に反映することが難しい。リハビリの評価については、国もそのプロセスにもっと目を向けるなど多面的な評価を検討してほしいと考えています。

藤田保健衛生大学 七栗記念病院
津市大鳥町424-1
TEL:059-252-1555
http://www.fujita-hu.ac.jp/HOSPITAL4/


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