充実のリハビリ機能と緩和ケアを活用し地域医療の中心に
1月1日に病院名変更、藤田保健衛生大学七栗記念病院の再出発
病院名変更の経緯
旧病院名の「サナトリウム」という名前には療養的なニュアンスがありますが、1987年に開院する際に、総長の藤田先生がドイツの温泉保養地の「バーデンバーデン」を模した一大リゾート健康施設を建てたいと考えたことに由来します。
以来、療養的な機能を中心にコントロールされてきましたが、2000年に赴任した際に私が考えたのは、より専門性を際立たせた病院にしたいということでした。そこで、高 機能な医療機関であることがわかる「病院」と名乗ることにしたわけですが、今後は、回復期リハビリ病棟の病床数を増やす(109床→150床)ほか、ハイブリッド緩和医療の実施などを予定しています。併設する予定の「七栗記念ホール」は、地域住民や医療関係者の交流の場にしたいと考えています。
地域医療構想に備える
昨年から地域医療構想の策定が始まっています。これについて、私は当院の病院長としての立場と、回復期リハビリテーション病棟協会の会長としてのふたつの立場で向き合っています。
構想では、回復期機能が3倍増になるとされていますが、これが回復期リハビリテーションとしての充足数を指すのかは議論のあるところです。協会では回復期リハビリテーション病床について数字を出していて、全国で6万床くらい、10万人あたりにつき50床程度が適切ではないかと提言しています。じつは、その数字はすでに超えているのですが、さらに3倍増になるという事態は予測がつきません。
もちろん、回復期ではなく地域包括ケア病棟が増える可能性もありますが、あれだけの数を増やすということは、回復期リハが増えるということであろうし、そうなると、数を満たすだけという時代は終わっていますから質の部分が非常に重要になります。
では、「質」とはどのようなことでしょう。たとえば、肺炎が治ったかどうかということはわかりやすいかもしれません。しかし、リハビリの場合、完治とはいかず、ある程度しょう害が残るなかでより良い状態になっていただくという、本当に良いリハビリがなされたのかどうかがわかりにくい評価になることが多いのです。だからこそ質を高めることが重要だともいえます。
理想のリハビリを追求
当院は、2000年ごろから週7日の訓練や、土日も休まないリハビリテーションを実施しており、全国の、休日にリハビリを行う病院のさきがけとなりました。今後も運動学習理論に基づいた質の高いリハビリを行うとともに、ロボットを活用した最先端リハビリ訓練室の増設などを予定しています。
リハビリ以外の特徴としては、栄養サポートチームが緩和ケアと協働していることがあげられます。「栄養リッチな緩和ケア」と言うべきか、たとえば他の緩和ケアですと、痩せ細ってきても割とそのままにすることもなきにしもあらずです。しかし、栄養サポートチームの働きもあって、当院ではぎりぎりの状況のほんの少し手前までは非常に質の高い生活を送っていただいています。
栄養サポートチームはリハビリの全患者さんも対象としますので、特徴としているものをうまくミックスして、とにかく患者さんのためになる医療を提供できているのではないでしょうか。
また、リハ部門は、母体である藤田保健衛生大学のリハビリテーション医学Ⅰ講座、才藤栄一教授を中心にトヨタとジョイント研究を行っています。ウィングレットというトヨタ版のセグウェイ(立ち乗り2輪車)がバランス効果を高めたり、従来の天井から吊って歩行をサポートする器具でも、いざ倒れるときのみシートベルトのようにサポートするロボット機能を採用するなど、実践的な研究に励んでいます。
リハビリを行う際には最大限の効果を生むよう試行錯誤しますが、その際も「治す」と「補う」機能を可能な限り並行して行います。すなわち、最初から両面に目配りし、医療知識と運動の知識を融合させて常に患者さんにとってのベストを考えるのがリハビリ専門医なのです。
ひざの病気があって、かつ脳卒中になった場合、手術すべきかどうかなどのベストな選択を運動学習に戻って考えられる医師であり、複数の科を横断する横糸になる医師や療法士、看護師がいるのが当院です。ぜひ、当院を選んでいただきたいし、選ばれるに足る病院であり続けるために、病院機能の向上にむけて努力してまいります。
日本医療機能評価機構認定病院・七栗記念病院
三重県津市大鳥町424 番地の1
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