社会医療法人 中央会 尼崎中央病院 吉田 純一 理事長

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軸足は急性期医療 ケアミックスの進化型

【よしだ・じゅんいち】 1995 近畿大学医学部卒業 大阪大学第一内科学教室入局 大阪労災病院 1998国立大阪病院 2005 赤穂中央病院 2006 尼崎中央病院循環器内科医長 2009 同副院長 2017 社会医療法人中央会理事長

 JR神戸線尼崎駅から徒歩3分。前身の潮江病院が設立した1951年以来、地域に開かれた病院として親しまれてきた尼崎中央病院がある。急性期医療に軸足を置き、在宅まで担う「スーパーケアミックス」がこれから進む方向性を、吉田純一理事長に聞いた。

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―理事長に就任して1年経ちました。現状はいかがですか。

 前理事長の吉田静雄が会長となり、職務を引き継いだのが2017年1月。私は2009年に副院長に就任して以降、病院経営の大部分に携わってきました。引き続きこれまでやってきたことを突き詰めるべく、伊福秀貴院長と方向性を共有して、病院づくりに取り組んでいます。

 この10年間を振り返ると、当院は199床の規模から急性期病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、医療療養型病棟からなる309床のケアミックス病院へと成長しました。また、グループとして二つの介護老人保健施設をはじめ、短期入所施設、訪問看護ステーション、地域包括支援センターなどを展開しています。

 一般的にケアミックス病院といえば、急性期よりも慢性期の比重が高い傾向にあると思います。当院の特色は、急性期医療をメインにしていることです。

 割合としては全体の3分の2程度を占め、特に高度急性期医療の体制整備に注力。年間で2000件ほどの救急搬送患者を受け入れているほか、循環器疾患、脳神経外科対象疾患に対する緊急カテーテル検査や外科的治療なども積極的です。

 ハイブリッド手術室の開設や、MRIとCTを各2台体制にするなど、着々と設備面も充実させてきました。医療のレベルとしては、地域の基幹病院と同等を維持することを心がけています。

 高齢者が増加している今、医療機関の役割はただ治して終わりではありません。ご自宅に戻るまでのサポートも求められていますので、急性期医療を軸にしっかりと治療し、回復期、慢性期、介護、さらに在宅まで、あらゆるプロセスで患者さんを支えていく。いわゆる「スーパーケアミックス」のさらなる確立を当法人の柱としています。

 国は地域医療構想の策定や地域包括ケアシステムの構築を推進していますが、各地域に根付くにはまだまだ時間を要すると思います。

 当院としても行政や地域の医療機関との協力を進めていくと同時に、グループであることの強みを生かし、法人内での地域包括ケアシステムの整備を進めています。関連施設間での患者さんの情報共有や、入退院のスケジュール調整など、さまざまな面で臨機応変に動くことができます。

 患者さんの中には、退院後のことに不安があっても、なかなか私たち医療者には打ち明けづらいという方もいらっしゃるでしょう。そこで「何かあったら、すぐに私たちがバックアップしますから」という一言があれば患者さんも安心できると思うのです。

―ワークライフバランスにも力を入れている。

 幸い経営的には堅調ですから、私たちが目指している医療は間違っていないのではないかと思います。その根幹をなすのは、やはり人材です。少子高齢化で働き手が減少していく中、これからの主な課題の一つは、いかに働きやすく魅力的な環境を用意し、人材の確保を継続できるか。

 2011年に、当院はワークライフバランスの実現において先進的な取り組みを実施している企業や団体を対象とした「仕事と生活のバランス企業表彰」(ひょうご仕事と生活センター)を受賞しました。

 その前の何年間にもわたる当院の一番の悩みと言えば看護師不足。一時は離職率が20%を超えていたこともありました。医療界で長らく問題となっている看護師の離職率の高さは、いまだ根本的な解決には至っていない状況にあります。

 当院は「看護師が辞めない職場づくり」をスローガンに、看護部長を中心にした働き方改革に着手しました。スタートにあたって、280人の看護師一人一人と面談。意見や要望を集約する中で単に給与や福利厚生の面だけではない工夫が必要だということが分かりました。例えば、私たちは従来の「日勤と夜勤の両方で働ける人」という発想に縛られていることに気づかされました。

 そこで、思いきって新たな勤務形態を導入。3交代制で月8回だった夜勤を、2交代制の月4回に変えたのです。保育園のお迎えに間に合うように、始業時間を10分前倒しにするなど、細かな調整も重ねました。

―どのような効果がありましたか。

 改善を図った結果、現在、看護師の平均残業時間は月に約3時間。有給休暇の取得率はおよそ90%に達しています。職員を募集する上ではもちろん待遇も大切な要素なのですが、気持ちよく働けるのか、仕事とプライベートはきっちりと分けることができるのか。若い人をはじめ、そうした点を重視して勤務先を選ぶ人が増えてきました。

 働き手のニーズに応えるワークライフバランスの推進によって、看護師の気持ちにも余裕が生まれ、より行き届いたケアを提供できるようになりました。「働きやすい病院」との声が広まっていくにつれて、求人に対する応募数も増えてきましたし、職員が友人の看護師に「一緒に働こう」と誘って入職するケースもあります。

 看護師の働き方に限らず、退院調整を担う部門の機能を強化するなど、業務の分業化を推進。医師に本来の業務に専念してもらうための環境も整えています。地域連携室には看護師が2人、事務員が3人、社会福祉士が5人。マンパワーが必要なところを見極め、人材の投入を徹底しました。

 働き手の負担を軽減するには、人員を多めに配置することが必要なのです。経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)では成立しません。経営面とワークライフバランスはどちらかを優先させるものではない。実際、ワークライフバランスが浸透していくのに伴い、収支の面でも改善が見られました。両輪として位置付け、いい循環をつくることが大切だと思います。

―あらためて、今後のイメージなどを。

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 当院の名称に「尼崎」を含めているように、私たちは市民のための病院でありたいという思いが第一にあります。月に3回開く外来ミニ講座や、ショッピングセンターでの健康相談フェア、ミニコンサート、子どもたちを招いての体験学習、クリスマスパーティーなどの季節のイベント...。常にみなさんと接点をもち、何か役立てることはないかと、職員が知恵を出し合っています。

 最近の動きとしては2017年4月に股関節センターを開設しました。小児から成人まで、幅広い層を対象に保存療法、手術療法を実施。股・膝の人工関節手術にも力を入れています。

 地域の期待に応えていくためには、介護部門の拡大は欠かせないでしょう。医療者と同様に、介護スタッフの不足も各地域が直面している問題です。看護師の働き方改革で培ったノウハウを活用して、選ばれる存在になりたいと考えています。

 「断らない救急」があり、高度急性期医療の追求があり、介護部門の底上げがある。グループ施設の相乗効果を最大限に引き出し「法人内地域包括ケア」の構築に努めつつ、他機関との連携にも取り組む。そして患者さんと職員の満足度を向上する。欲張りだと言われるかもしれませんが、私たちが挑むべきことだと信じています。

社会医療法人 中央会 尼崎中央病院
兵庫県尼崎市潮江1-12-1
TEL:06-6499-3045
http://www.chuoukai.or.jp/


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