みどりの杜病院 原口 勝 院長

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「いま」を自分らしく 生きることに寄り添う

【はらぐち・まさる】 久留米大学附設高校卒業 1981 九州大学医学部卒業 九州大学医学部第二外科入局 2003 九州がんセンター消化器外科部長(緩和ケアチームで身体症状緩和を担当) 2005 那珂川病院緩和ケア部長 2015 みどりの杜病院院長

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◎ターミナルケアの中心として

 当院の母体は公立八女総合病院企業団です。当院は、330床だった八女総合病院の30床を移管し、独立したホスピスの病院として6年前に開設しました。

 背景には、八女地域にホスピスが必要だという時代の要請があったと思います。加えて、公立八女総合病院はがん診療連携拠点病院であり、がん患者さんの終末期ケアという意味でもホスピスが必要だったのです。

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病院内の設(しつら)えには八女地方特産の木材が使われている

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居室に備えられた浴室

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居室

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映画鑑賞やカラオケに使うオーディオルーム

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ロビー

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家族の宿泊部屋

 八女地域が直面しているのは約34%まで上昇した高齢化問題であり、過疎化の問題です。地域の主要産業であった林業・農業などに携わる方が少なくなり、若者が福岡市や久留米市などの都会に流出しています。

 八女はお茶に代表される農業で知られていますが、ほかに大きな産業がないこともあって、八女地域は人口減少が続いています。必然的に高齢者医療を充実させる必要があり、当院には八女地域のターミナルケアの中心としての役割が期待されているのです。

◎八女地域唯一のホスピス

 当院は独立型ホスピスであり、病院全体がホスピスであることが特長です。八女市と筑後市、八女郡広川町を合わせた地域で唯一のホスピスとして30床のベッドがほとんど埋まっており、患者さんは70代から80代が中心になります。

 通常、ホスピスといえば入院がメインになりますが、当院は2年前に在宅医療推進室を作って訪問診療をしており、在宅での緩和ケアを提供しています。在宅で終末期を過ごしたい、または最期を迎えたい、入院はしたくないという方もけっこういらっしゃいますので、需要は高いですね。

 厚生労働省も在宅医療を推進する方針で、それには質・量ともにスタッフの充実が必要になります。訪問看護ステーションはこの付近だけでも24時間体制のものが3カ所に増えました。

 ただし、訪問診療できる開業医の先生がなかなか増えないのが課題で、当院は八女地域で一番多く在宅での看取りを担当しています。年間、新規に70例余りの訪問診療を行っていますが、その中の30例余りが在宅での看取りです。

 八女地域の東部は大分県との県境に接して山間部にあたります。旧八女郡の矢部村、黒木町や私の出身地でもある星野村などは、当院から行って帰ると2時間以上かかります。一人の患者さんを診るのではいわゆる採算が合わず、それが開業医の在宅看取りが少ない背景にあるのでしょう。

 八女筑後医師会の会長からも、山間部の在宅医療は公立病院で担当してほしいと依頼されていますので、公立病院の使命として続けていく必要があります。病床が埋まって黒字経営を維持しているため、黒字分で在宅医療を支える体制をとれているのは当院の強みともいえるでしょう。

 当院の医師は私のほかに2人の3人体制をとっています。訪問診療については当院からは私1人と、公立八女総合病院の非常勤医師1人の計2人で担当しています。常時だいたい15人から20人の患者さんを診ており、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんもいますが、ほとんどがんの患者さんです。

 今年4月から病棟にもう1人医師が増えました。病棟の医師3人で30床を診るというきちんとした体制が整いました。

◎全人的ケアを提供

 ホスピスケアの特長とは、「全人的」ケアにあると思います。医師として病気だけを診るのではなく、患者さんの人格を尊重して一人の人間として捉えるという意味であり、生活全体を支援するような診療が必要になるのです。

 体の症状を緩和したり体が不自由になっているのであれば身の回りのお世話をします。がんを抱えていると不安などの心のつらさを感じますので、それらを和らげるお手伝いもします。さらにそういった心のケアだけでなく社会的苦痛に対する配慮も重要になります。

 がんの治療のために仕事を辞める、休みが多くなる、あるいは家事ができなくなるといったことに対するストレスともいえるもので、人はこういった苦痛に対して想像以上に弱いものなのです。

 患者さんが寝たきりになると、「こんな体で生きていても家族に迷惑をかけるだけ」「自分がおらん方がいい」などと、自分は生きていてもしょうがないというような考えに取りつかれてしまうこともあります。スピリチュアルペインと呼びますが、こういった「痛み」についても医療者として、しっかりと向き合わなければなりません。

 これまでの人生を振り返ってもらい「あなたには生きてきた意味があった。今この瞬間も生きている意味があるのだ」と、生きる意味を見いだすお手伝いをします。

 「死んだらどうなるのか」という問いかけには医療職が答えることは困難です。そのため、当院では今はボランティアですが臨床宗教師の方にチームに参加していただき、患者さんの心の平穏を保つようなお手伝いもしています。

◎切れ目ない緩和ケア

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 われわれが掲げているテーマは「切れ目なく緩和ケアを施す」ということです。

 抗がん治療中であれば外来通院で患者さんを診ることから始まり、病気があっても生活や仕事がうまくできるように、外来で心身の症状を和らげる薬を処方する。通院できなくなればその方のご希望に応じて在宅なのか入院なのか、入院するとすればホスピスなのか一般病棟なのか、選択肢を提供してご自分で決めてもらうということを重視しています。

 超高齢社会を迎えるにあたって、ホスピスの需要は確実に高まります。納得して最期の在り方を決めていただくこと。ホスピスとして希望に沿った場所で希望に応じたケアを提供すること。それこそが自己決定権の尊重であり、当院の最終的な役割だと考えています。

公立八女総合病院企業団 みどりの杜病院
福岡県八女市立野362-1
TEL:0943-23-0002(代表)
http://www.yame-midori.jp/


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