波多江伸子さんに聞く 誰もが知りたい自分の最後

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「ここは私が小さかったころの遊び場でした」西南学院大学にある赤煉瓦作りの旧礼拝堂。父親の故村上寅次氏はこの大学の学長や理事長を務めた。取材日の6月12日は大学を見学する高校生でにぎわっていた。1948年福岡生まれ。自分も病みながら多くの人に寄添い、言葉に耳を傾け見送って来た。著作に「さようならを言うための時間」、「モルヒネはシャーベットで」などがある。

倫理学研究者の波多江伸子さんは、福岡の医師の間で有名だ。がん患者団体ネットワーク「がん・バッテン・元気隊」を率い、講演や講座の評判も高い。 死生学を教えている西南学院大学に彼女を訪ね、誰もが知りたいのに誰も教えてくれない、人の最期はどうなるのかという疑問を率直に聞いてみた。

―私(記者)の母親は80歳ですが、どんな心持ちで毎日を過ごしているのでしょう。

「多くの人は70歳を超えたあたりから自然に心が死の方へ向くようですよ。親しい友人や大切な身内がたくさん亡くなっているので」。
あの世の有無に関係なく、この世の知り合いがみんなそうなったから、ということのようだ。老いるほどに、自分の母親が向こうで待っていると思うと安心するらしい。
「高齢社会になって、死を語ることがタブーでなくなりました。私はカルチャーセンターで『大人のための終活講座』をやっていますが、中高年の方で賑わっています」。
特に女性は現実的で、老いや死への適応力に優れている。余命半年と言われたらまず貯金通帳と保険証書を調べるが、男性は人生を振り返って感慨を催すらしい。また女性は、自分の死装束や遺影を選ぶのを楽しむことができるそうだ。緩和ケアやターミナルケアをうまく受け容れることができるかどうかも、良く死ねる大事な条件だという。

では、働き盛りの壮年期や、まだ若い母親が、医師から余命を告げられた場合はどうだろう。冷静でいられるか、それとも取り乱してしまうか、その場に立たなければ分からないはずだが、波多江さんは、「その場に立たなくても、自分がどうなるかはだいたい予想がつきますよ」と話す。

というのは、「人は今まで生きてきたようにしか死ねない。死ぬときになって別人になるわけではありませんから」。

これまでの人生で遭遇した、失恋、離婚、リストラ、家族との死別など、挫折や喪失体験にどう対応してきたかで、自分の死の迎え方も予想できるという。人生の重大事をしっかり、でもユーモアのセンスを失わずに受け止めてきた人が一番強い。

「こんな話を学生にすると、死を学ぶことは、実は生き方を学ぶことだとわかるようですね」。

33歳と53歳で、2度の甲状腺がんを経験した波多江さん、糖尿病でインスリン治療をしながら、患者の立場でも医療を臨床研究できると気づき、現場に立脚した彼女特有の死生学や倫理学を確立してきた。人当たりも言葉も柔らかいのは「病気になってからですね。やるべきこともとても増えました」。


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