九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野教授 大会長 神庭 重信

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"不安"と"強迫"その最先端に触れる3月に第9回日本不安症学会学術大会 福岡で

【かんば・しげのぶ】 1980 慶應義塾大学医学部卒業 同精神神経科入局 1982~1987 米国メイヨークリニック精神科レジデント修了 アシスタント・プロフェッサー 1993 慶應義塾大学医学部精神神経科講師 1996 山梨大学精神神経医学講座教授 2003 九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野教授

 3月10日(金)、11日(土)、日本不安症学会学術大会が九州大学医学部百年講堂で開かれる。テーマは「不安と強迫〜そのスペクトラムの病理と治療〜」。大会長を務める九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野・神庭重信教授に、見どころと思いを聞いた。

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◎111年の歴史を背景に

 九州大学大学院医学研究院精神病態医学講座は、京都帝国大学福岡医科大学(九州帝国大学の前身)の創立3年目に当たる1906(明治39)年に精神病学講座として開講。第4代教授の桜井図南男先生、第5代教授の中尾弘之先生、第6代教授の田代信維先生のころから、葛藤や神経症の研究に精力的に取り組んできました。

 「神経症」は、今で言う不安症や強迫症などに当たります。長年の教室の流れ、伝統に恥じない日本不安症学会学術大会を、この福岡の地で開催したいと思っています。

◎あらゆる精神疾患に関わる「不安」

 2013年に公開されたDSM-5(アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアル)では、これまで不安障害の中に含まれていた強迫性障害が不安障害から独立しました。それに伴い、それぞれの呼び方の日本名も不安症、強迫症へと変更になっています。

 そこで今回の学術大会では、研究が進み、違いがはっきりしてきた不安症と強迫症に迫るべく「不安と強迫〜そのスペクトラムの病理と治療〜」をテーマとしました。

 「不安」という情動は、あらゆる精神疾患に関わってきます。不安症、強迫症はもとより、統合失調症、うつ病、アルコール関連障害(依存症)などの患者さんも不安を抱くわけです。不安が出発点となる疾患もあれば、二次的に生まれる不安症もある。さらに不安は、人間がリスクを回避するために大切な情動で、正常な「不安」もあるのです。

 今回の大会は、その不安の治療に欠かせない行動療法、森田療法、精神分析、認知療法などの各種精神療法に触れられ、会得していただける大会にしたいと準備を進めてきました。近年、話題となっている発達障害と不安や強迫の問題、著しく進歩している脳研究についても、タイムリーに取り上げています。

◎強迫症研究の第一人者による特別講演

 特別講演は、強迫症研究の第一人者で、スウェーデン・カロリンスカ研究所のDavid Mataix-Cols 教授にお願いしました。David 先生の研究は、DSM-5での強迫症の独立の大きな後押しになったと言えるでしょう。当日は、強迫症と不安症の病理についてご講演いただく予定です。

◎多岐にわたる教育講演

 依存症治療の中核施設である国立病院機構久里浜医療センターの院長、樋口進先生は、「インターネットゲーム障害の診断と治療」と題して講演されます。 樋口先生は、現在改訂が進められているWHO(世界保健機関)のICD-11(疾病および関連保健問題の国際統計分類)に、インターネット使用による障害を収載したいと努力されています。ICD-11の方向性や同センターでの治療についてお聞きできる予定です。

 また、近年、新しい治療法として期待されている「fMRIニューロフィードバック」について、広島大学の岡本泰昌先生にお話しいただきます。

 この治療は、脳の機能をモニターしながら、望ましい機能に近づけるよう、自律的に学習するトレーニングです。欧米では、てんかん、発達障害、不安症や強迫症などのさまざまな精神疾患の療法として用いられ、症状改善効果も認められています。

 岡本先生の講演「神経回路病態に基づく精神疾患の診断・治療法の開発」は、その最新動向について聞くことができる、よい機会になると思います。

 さらに、「ネガティブ・ケイパビリティの力」と題してお話しいただくのは、精神科医・作家の森山成彬(ペンネーム:帚木蓬生)先生です。"ネガティブ・ケイパビリティ"とは、「性急に物事を割り切ろうとせず、不確実のなかに居続けられる力」を意味します。患者さんと医療者をつなぐ、大事な力「ネガティブ・ケイパビリティ」について、理解を深めることができると思います。

 このほか、日本の精神分析の第一人者、西園昌久先生による「不安神経症の精神分析」、そして森田療法創始者の森田正馬先生と、精神分析の父、フロイトをテーマに語っていただく「森田正馬とS.フロイトの比較文化病跡」(山田和夫・東洋英和女学院大学教授/横浜尾上町クリニック院長)もあります。

◎願いは、知識と技術のフィードバック

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 不安というのは誰もが持つ情動です。自分の身を守る大事な情動の一つで、それがない人は、無鉄砲なことをしてけがをするようなことになってしまいます。ただ、その不安を自分で制御できなくなり、日常生活に支障が及ぶようになったら、「不安症」と言っていいと思います。

 強迫(こだわりや確認)も、必要な本能的な行動です。強迫は、ミスを減らす上で大事なことですが、それが度を越してくると、「強迫症」ということになるのです。

 どちらも本能的な情動や行動である一方、幅広くいろいろな精神疾患に現れてくる、大事な障害です。治療には、幅広い知識と技術が求められます。多彩なプログラムを用意していますので、さまざまな職種の方にご参加いただき、身につけた知識と技術を患者さんにフィードバックしていただければと願っています。

九州大学大学院医学研究院 精神病態医学分野
福岡市東区馬出3-1-1
TEL:092-641-1151(代表)
https://www.med.kyushu-u.ac.jp/psychiatry


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