福岡女学院看護大学 片野 光男 学長

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なぜシミュレーションセンターをつくったのか10年を迎える看護大の挑戦

【かたの・みつお】 大分県立別府鶴見丘高校卒業 1974 九州大学医学部卒業 同第一外科入局 1981 米カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校留学 1999 九州大学大学院医学系研究科腫瘍制御学分野教授 2003 同医学研究院先端医療医学部門教授 2011 同医学研究院長・医学部長2012 同医学研究院附属ヒト疾患モデル研究センター長2014 同医学研究院附属総合コホートセンター長 2015 福岡女学院看護大学学長

 2017年、看護シミュレーション教育センターを開設した福岡女学院看護大学。「九州最大規模」の同センターには、「国内の看護レベル向上に貢献したい」という、熱い思いが込められている。

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◎センターを基点に社会貢献につなげる

 このセンターは、看護学のシミュレーション教育の拠点にしたいと思っています。

 九州はもちろんですが、できれば、全国をリードする施設になっていきたい。今は、そのための"器"ができあがった段階です。

 国は医師をはじめとする医療従事者の養成を「見学型」から「参加型」へと移行しようとしています。しかし、教育機関である大学の現状はというと、多くの重症患者が日々、大学病院を訪れ、学生が実際に診療に携わる場面は、ごく限られてしまいます。

 そこで重要になるのが、シミュレーション教育ということになるのです。

 しかも、本学のシミュレーション教育センターは看護に特化しています。看護の現場で、本当に必要とされている教育が可能です。

 現段階では、われわれの大学の学生を育てるという目的が第一です。

 しかし、将来的には、本学ならではの新たな社会貢献領域を開発し、欠くことのできない看護大学へと成長していきたい。開発した領域、そしてセンター自体を、外部へ開放し、この国の看護分野の成長に貢献したい。

 そんな大きな夢を持って、歩んでいます。

◎全国初「看護シミュレーション教育学領域」

 4月、全国初の看護シミュレーション教育学領域を新設。専任の教授と教員が就任しました。

 さらに、この領域の教授や教員が中心となって、学生・センター連絡委員会、センター・臨地実習病院連絡協議会など七つの委員会・協議会を設置。教育システムの開発や指導者養成、教材開発に取り組んでいます。

 学生・センター連絡委員会では、学生の意見を聞き、センターの教育内容を確認。各学年2人の学生代表とセンターの教員が、実習先でシミュレーション教育が役立ったかなど意見交換し、双方向型教育システムをつくろうとしています。

 臨地実習病院との協議会は連携強化が狙いです。実習先の指導者と協議会をつくることで、本学の教員と実習先の双方で効果的な教育を施す体制を構築していきたいと考えています。

◎シミュレーション教育を担う人材を生み出す

 シミュレーション教育の成否を決める要素の一つが、「指導者」です。

 将来的には、シミュレーション教育の専門家として認定した看護師を、このセンターから誕生させたいと思っています。

 ここで講義を受け、認定されたシミュレーション教育の専門家とも言える看護師が、もとの所属先に戻って学生や若手の指導に当たる。これからシミュレーションセンターをつくろうと考えている大学などは、認定の有無を基準に、教員を採用することもできるでしょう。

◎センターが「模擬外国病院」に

 2018年度以降入学の学生のため、選択制の「多言語医療支援コース」を開設します。

 「医療観光」が成長市場として注目され、国も力を入れています。災害発生時などの対応を考えても、増加する外国人旅行客や在住外国人に適切なケアができる人材の育成が求められています。

 われわれは英語教育に力を注ぐ同系列の福岡女学院大学(福岡市南区)と連携し、同大学の国際キャリア学部で開講している英語の授業を3・4年次に受講するシステムを整えました。

 シミュレーション教育センターを「模擬外国病院」として、まずは英語しか使わない環境での体験を重ねる。英語で患者さんとコミュニケーションが取れ、文化を理解し、医療相談にまで応じられるような専門的な看護師育成を目指します。

 コース名に「多言語」と付けたのは、中国語や韓国語など、英語以外の言語にも、必要に応じて拡大していく、という意思表明でもあります。

◎次の10年を決める

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 本学は、小さな看護大学かもしれません。歴史も浅く、今年10年目を迎えたところです。

 しかし、それは逆に強みでもある。「良い」と思うこと、将来、社会で絶対に必要になるものを見つけ、追究していくためには、この柔軟性と身軽さが有利にも働くと考えています。

 職員も、目標に向かって「できる」と前向きに、楽しそうに取り組んでくれています。成功体験を積み重ねることで、一層、自信を深めていくでしょう。

 2025年ごろには、国内の医療環境も、大きく変わっているかもしれません。もしかしたら、病院より在宅での医療のほうが、中心になっているかもしれない。求められる「看護」も、変わってくると思います。

 このシミュレーション教育センターは、当大学の次の10年を決めていくセンターでもあります。世の中がどう変化していくか分かりませんが、このセンターを軸に、その時代の社会に必要とされる大学をつくる。今後2〜3年は、そのための大事な時期になるでしょう。

■シミュレーション教育センター
 「ICU」、「分娩室」、在宅看護を想定した「一般家庭の部屋」、病院で標準的な 「4床病室」の4シミュレーションルームを用意。患者のモデル人形の心音や呼吸音は状況に合わせて変えられる。
 学んでいる学生の様子を指導者がマジックミラー越しに見ることができる「コントロールルーム」、体験学習後の振り返り学習に使う「ディブリーフィングルーム」も用意。シミュレーション中の学生たちの動きは録画でき、振り返り学習やディスカッションにも役立てられる。

福岡女学院看護大学
福岡県古賀市千鳥1-1-7
TEL:092-943-4174(代表)
http://www.fukujo.ac.jp/ns/


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