地域と交流を深めて選ばれる療養型病院に
出雲の地で300年以上医業を継承し、現在に至る「耕雲堂 小林病院」。今年6月、39歳の小林祥也院長が就任した。若き新院長に現状の認識と今後の展望について聞いた。
―院長就任から3カ月。今感じることは。
これまでは診療だけでよかったわけですが、運営や収支、スタッフの調整や人事などさまざまな事柄を頭に入れながら診察をすることにまだまだ大変さを感じます。自分で決めなければならないことが飛躍的に増えた気がしています。
周囲から求められる院長という立場と年齢のギャップは自分自身が一番感じていますが、こればかりは場数を踏まなければどうにもなりません。
院長になって病院の顔として外に出る機会が増えました。他の院長先生方とお話しをする機会も増え、自分はまだまだ経験不足だと感じることも多くあります。それでも「小林病院は変わった」と世代交代をアピールすることが大事だと思っています。これからも積極的に外へ出ていきたいと考えています。
大学時代、そして卒業後に過ごした東京に比べると、ここ出雲は患者さんの高齢化が顕著です。老老介護などの問題もあり、介護力の乏しさを目にすることもあります。ただ、医療機関や医療従事者の数は十分足りていて、医療資源には恵まれている地域だととらえています。
―病院の運営方針は。
幅広く診察ができる「かかりつけ医」として地域の方のお役に立ちたいという思いがあります。モットーにしたいのは、「選ばれる病院に」ということです。患者さんご本人はもちろん、ご家族からも選ばれる病院を理想としています。
医療療養病床を持つ病院ですから、ここで亡くなる患者さんも多くいます。安心して、穏やかに最期を迎えてほしい。そのために、島根大学など近隣の急性期病院と密に連携を取って、早い段階から介入することも大切にしています。
出雲圏では出雲圏域病病連携会議という連絡会が発足しています。ソーシャルワーカーが中心の集まりなのですが、私も参加しています。やはり顔と顔を合わせる機会は貴重だと毎回感じます。
そうした月に1回のコミュニケーションの場を大切にし、信頼される存在にならなければなりません。病院同士の関係を深めていくなかで、地域医療を確固としたものにするお手伝いをしながら、理想的なタイミングで患者さんを迎えられる病院でありたいと願っています。
―短期的な展望と中長期的な展望を。
近い将来で言うと、「消化器系、内視鏡なら小林病院」と思っていただけるようになりたい。
私自身、がんセンターなどで内視鏡の検査、治療を数多く行ってきました。2017年に最新の内視鏡、超音波検査装置を導入。患者さんの苦痛軽減のため、鼻からの胃カメラも実施しています。
消化器および肝臓疾患領域の専門医として研さんを積んだ自らの経験を生かす意味でも、「小林病院の内視鏡は負担がなかった」と言われるように外来や検診に取り組んでいます。
中期的な目標は経営を安定させていくこと。重症患者さんの引き受けを進めていきたいと考えています。給与や賞与などでスタッフに還元したいという思いも強くあります。院長としてモチベーション管理も大切だと痛感しています。
長期的には、「この病院をどう維持していくのか」がテーマです。療養型の病院を維持していくのか、それとも別の機能への転換を考えなければならないのか。目の前の診察や経営に一生懸命取り組みながら、将来の決断も視野に入れておかなければと考えているところです。
医療法人社団耕雲堂 小林病院
島根県出雲市今市町510
TEL:0853-21-5230(代表)
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