独立行政法人 国立病院機構 福山医療センター 岩垣 博巳 院長

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周産期、救急、在宅も
医療圏の「こども」を守る

【いわがき・ひろみ】 1980 岡山大学医学部卒業 同第一外科入局 岡山済生会病院 1985 福山第一病院 1991岡山大学医学部第一外科助手 1999 同講師 2007独立行政法人国立病院機構福山医療センター副院長2013 同院長

 備後地区唯一の日本小児外科学会認定施設である国立病院機構福山医療センター。近隣病院との診療連携によって、地域完結型の新生児・小児医療を目指す。岩垣博巳院長、長谷川利路副院長、小児の在宅医療に力を注ぐ村上敬子・医療連携支援センター部長に、同院の取り組みを聞いた。

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◎病院の理念

岩垣院長 当院の理念は「国立病院機構の一員として、医の倫理を守り、患者さまの権利と意思を尊重し、安全でしかも満足の得られる、質の高い医療をめざす」です。

 2013年の院長就任以降は、「1F5S」を心掛け、病院を運営しています。

 「F」はFunctional(機能的)。組織として徹底的に無駄を省き、機能的な病院運営を目指すという意味です。

 5つの「S」には、「仕事は笑顔で( Smile )、てきぱきと( Speed )、真心を込め( Sincerity )、患者さんの痛みに共感する感性を磨き( Sympathy )、自らの専門性を高める( Speciality)努力をする」という意味を込めました。

 今年度は、新たに70人の職員を迎え、800人を超える大所帯となりました。

 広島県東部(福山市・府中市・尾道市・三原市)と岡山県西部(笠岡市・井原市)を合わせた約100万人を擁する備後圏域が当院の診療圏です。"Learn together andBring up together (共に学び、共に育つ)"を合言葉に、職員が一丸となって、備後地区の中枢的病院として、地域完結型の医療の実現に向けて取り組んでいます。

◎今後の展望

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長谷川利路 副院長【はせがわ・としみち】1981 大阪大学医学部卒業 1996 医学博士 1997 大阪大学大学院小児外科助手2006 大阪府立母子保健総合医療センター小児外科副部長 2009 独立行政法人国立病院機構福山医療センター小児科医長 2014 同診療部長 2017 同副院長

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村上敬子 医療連携支援センター部長・内科医長【むらかみ・たかこ】 1991 東京慈恵会医科大学卒業 1994 岡山済生会総合病院 1996 国立福山病院(現:独立行政法人国立病院機構福山医療センター)内科医師 2014 同内科医長 2017 同医療連携支援センター部長

 備後地区では、年間約8000人の子どもが生まれます。

 新生児の手術症例や超低出生体重児は、県東部唯一の日本小児外科学会認定施設である当院に集中しており、昨年度、当院の新生児センターへの入院患者数は442人(極低出生体重児22人、超低出生児体重児4人含む)。

 NICU(新生児特定集中治療室)稼働率は90.8%、GCU(継続保育室)稼働率は67.5%と高く、場合によっては満床で他府県に搬送せざるを得ないこともあります。また、昨年、当院で手術を受けた15歳以下の患児は、443人。5年前の1.7倍に増えています。

 今後は、福山中心部の基幹病院として、成人小児2次救急、産科3次救急医療体制を強化する考えです。

◎高次小児救急拠点化と総合周産期母子医療センター化

長谷川 副院長 総合周産期・高次小児救急拠点化に向け、現在、小児病棟と産婦人科病棟がある2階フロアを、新生児センターと小児センター、2病棟体制の「Children'sfloor」に改築しようと計画中です。すべての診療科の15歳以下の患児を一つのフロアで受けられるようにする計画で、改築工事は来年秋に完成し、12月をめどに運用を開始します。

 新生児センターの改装整備計画では、NICUを12床から15床に、GCUを12床から18床にそれぞれ増床。小児病棟には、呼吸器不全、循環器障害、脳症、過大侵襲術後児を受け入れるPICU(小児集中治療室)を新たに3床設けます。

 一般小児病床も24 床から38床に増やし、アレルギー、循環器疾患、術後患児に対応する「非感染症チーム」と「感染症チーム」の二つに分けて運用。ゆくゆくは、化学療法室やレスパイトケア室の他、女性医師支援プログラムの一環として、院内病児保育室の開設も視野に入れています。

 この地域の小児を含めた2次救急は、当院のほか三つの病院が担当しています。2014年、備後、府中地域に小児救急2次輪番の空白日ができてしまいました。これを解決するために、2015年、広島県と福山市が出資して「岡山大学小児急性疾患学講座」を開設。同講座から当院に小児科医が派遣されるようになったことで、当院が小児救急を担当する割合が51.2%(2014年)から56.6%(2016年)に増えました。

 しかし、同講座は来年3月に終了します。それ以降も、この地域の小児救急医療の質を維持するためには、小児科医、産婦人科医、麻酔科医などの確保が大きな課題です。

 当院が中心的な役割を担い、行政と輪番4病院の円滑な連携を図りながら、地域完結型の小児医療に取り組んでいきたいと思います。

◎小児在宅医療が課題医療・介護・行政との連携強化

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村上医療連携支援センター部長 本年度、地域医療連携室を「医療連携支援センター」に改称しました。昨年度から全病棟にMSW(医療ソーシャルワーカー)と、退院調整に専門的にかかわる看護師を配置。入院当日から退院調整をするようになりました。

 病棟専任のMSWと退院調整看護師は、入院から3日以内に退院困難な患者さんを抽出。7日以内に本人とご家族を交えて面談します。多職種チームでカンファレンスを開き、病棟巡回も毎日実施しています。

 この二つを徹底したことにより、2015年度は363人だった介入患者数は、昨年度には505人に増えました。介入までの平均日数は、14.9日から12.5日に。平均在院日数は、9.5日と、10年前の21.9日に比べると2分の1以下に短縮することができました。

 後方病院の確保も重要ですので、地域の医療機関との連携強化も心掛けています。

 今年度の目標は、地域の医療機関、介護福祉施設、行政などと密に情報交換し、早期の転院・退院を推進すること。そして、紹介患者の予約、逆紹介、情報管理などの業務を見直し、スムーズに対応できるようにすることです。

 重度の疾患や障害がある小児患者の場合、高度医療機関や地域の医療施設だけでなく、福祉、教育といった多職種連携によるケアが求められているにもかかわらず、それをコーディネートする人がいないのが現状です。

 そこで昨年、福山市の在宅専門クリニックの内科医の先生方に、小児への在宅医療支援をお願いすることにしました。現在は主に3人の先生が診てくださっています。

 内科医が子どもの在宅療養にかかわったのは初めてのことで、とても画期的なことだと思います。

 今後は、小児患者とその家族を支える訪問看護、そして重症心身障害児を診ていただける在宅医の開拓にも力を入れていきたいと考えています。

独立行政法人 国立病院機構 福山医療センター
広島県福山市沖野上町4-14-17
TEL:084-922-0001(代表)
http://www.fukuyama-hosp.go.jp/


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