新棟が4月に稼働 手術機能を大幅強化
1980年名古屋大学医学部卒業。癌研究会附属病院(現:公益財団法人がん研究会有明病院)、名古屋大学医学部第一外科、豊橋市民病院副院長などを経て、2016年から現職。
静岡と愛知の県境にある豊橋市民病院は「まだまだ進化していく」。そう力強く語る加藤岳人院長。今年4月の「手術センター棟」の開設や研修医に対するサポート体制の充実など、着実な発展を遂げている事実がその言葉を裏付ける。
―どのような役割を担っていますか。
当院は東三河南部医療圏で唯一の地域がん診療連携拠点病院であり、救命救急センター。地域に「都市部と同等」の高度急性期、急性期医療を届けられる病院づくりに注力しています。
例えば、患者さんの体への負担が少なく、高水準のがん治療の提供を目指して2016年に「高度放射線棟」が完成しました。
4次元放射線治療が可能なVero4DRT(強度変調放射線治療装置)を愛知県で初めて導入したほか、TrueBeam(汎用型放射線治療装置)、PET│CT、SPECT│CTなどをそろえました。
また、建物内にはスタッフの技術向上を図るためのシミュレーション研修センターもあります。
高度ながん医療を受けたいと希望され、名古屋市など地域外の医療機関に通っていた患者さんも少なくなかったのです。高度放射線棟のオープン後は地域内で充実した診断と治療を提供できるようになり、実際、放射線治療件数などが伸びていることから、皆さんの大きな期待を感じています。
近年の主な動きとしてはもう一つ、2015年6月に当院の血液・腫瘍内科が「日本骨髄バンク認定移植診療科」に認定されたことが挙げられると思います。
医師の確保など、なかなか十分な体制が整わなかったことで、非血縁同種造血幹細胞移植(非血縁同種移植)は他の医療機関に頼らざるを得ない状況が続いていました。
移植施設認定に向けた段階的な準備が実り、非血縁同種移植が可能な施設となりました。現在、年間5~6例を受け入れています。
―4月に稼働する「手術センター棟」について。
増加傾向にある内視鏡手術や、緊急手術への対応の強化を図ります。
当院では2013年に手術支援ロボット「ダビンチ」による手術をスタートしました。前立腺がん、消化器疾患領域、婦人科疾患領域と、保険適用の範囲が広がったこともあって、ロボット支援下手術は半年ほど待たなければ受けられない状況です。手術までの期間の短縮化は、これからますます求められるでしょう。
そこで手術センター棟には、内視鏡専用の手術室を2室設置しました。うち1室は、ダビンチの使用を想定した設計としています。また、血管撮影装置と組み合わせたハイブリット手術室を1室整備しました。
当院は総合周産期母子医療センターにも指定されています。小児科医、産婦人科医それぞれ2人ずつの当直体制により、緊急時の「30分以内の帝王切開」に努めています。
これまでは各科の手術室の使用状況と調整の上で対応していましたが、今後、手術センター棟に専用の1室が設置されます。
―人材の育成についてはいかがでしょうか。
さまざまな最新の医療機器を経験できますし、研修医1人に1台ずつパソコンを支給しています。できる限り若い医師たちの自己研さんをサポートしていきたいと考えています。
また、先輩ドクターが研修医の技術的な面はもちろん、精神的な側面もケアする「メンター制」を採用していることも特徴です。
2017年月にJCEP(NPO法人卒後臨床研修評価機構)の臨床研修評価を受審しました。評価委員会が「特に優れている」と評価した病院にのみ与えられる「エクセレント賞」をいただきました。
当院はこれからさらに進化を続け、地域のニーズに応えていきます。患者さんも医療者も、みんなの満足度が高い病院を目指したいですね。
豊橋市民病院
愛知県豊橋市青竹町八間西50
TEL:0532-33-6111(代表)
https://www.municipal-hospital.toyohashi.aichi.jp/