自治体の助成制度 九州で拡大
福岡県内は今年度から宮崎、大分は拡大
白血病などの患者に、骨髄・末梢血管細胞を提供したドナーを経済的に支援する市町村の助成制度が九州で広がりをみせている。「日本骨髄バンク」への登録者数増と、それに伴う移植推進が狙い。2016年度からは、福岡県、大分県、宮崎県内の計4市2町で新たにスタートした。
同バンクによると、ドナーの登録者数は全国で約45万人。移植をするためには白血球の型(HLA)が一致する必要がある。移植希望患者の9割に適合者が見つかるものの、実際に提供に至るのはその6割弱にとどまり、登録者数増は大きな課題だ。
助成制度は、骨髄等の提供のために必要だった通院や入院の日数に応じて、提供者である住民に自治体が助成金を支払う。国内では、埼玉県ですでに全市町村で始まっているという。
九州・沖縄ではこれまで、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎県内の複数の自治体で導入。福岡県にはこれまで同様の助成制度がなかったが、今年度から柳川市、みやま市、新宮町、大木町の2市2町で始まった。
宮崎県では、えびの市、三股町で、大分県では宇佐市で開始。大分県内は、提供者を雇用している事業所にも、助成金1万円が支払われるという。
ドナー募集業務を行う日本骨髄バンク(事務局東京都千代田区)広報の小島勝さんは「非正規雇用、自営業の方から、『収入のことや雇用契約のことを考えると、ドナー登録に踏み切れない』という声を少なからず聞く。提供しやすい環境を自治体が整備するのは、ありがたい」と話し、さらなる拡大に期待している。