医療法人 春秋会 城山病院 福本 仁志 理事長・院長

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地域完結型医療の実現 急性期病院としての役割

【ふくもと・ひとし】 1978 大阪医科大学卒業同胸部外科学入局 1989 大阪府三島救命救急センター 2008 医療法人春秋会城山病院院長 2015 同理事長

 病院理念「城山病院は患者さまのために存在します」の通り、時代とともに変化するニーズに対応し、救急医療をはじめとした質の高い医療を提供してきた城山病院。福本仁志理事長・院長が考える「南河内医療圏における在り方」とは。

―城山病院の概要を教えて下さい。

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 1978年に開設し、来年で40周年を迎えます。昨年取得した7対1看護基準で240床の急性期病床とICU8床の高度急性期病床、それに回復期リハビリテーション病床51床から成る299床の急性期を主体とした病院です。55人の常勤医を含めて職員数は600人を超えます。

 外来の患者数は再来も含めて年間13万人。入院患者数は約10万人にのぼります。ここ羽曳野市の人口は11万3000人。人数だけで見ると、市民全員が年に一度、当院の外来を受診し入院している計算になります。

 1カ月の新規入院患者数は520人ほどで約3分の1は救急車で搬送されてくる患者さんが占めています。ベッド稼働率は91〜92%ですが、冬場は心筋梗塞などが増えるためほぼ満床状態になるなど、高水準で推移しています。

―急性期医療に力を入れているそうですね。

 1955年以降に自動車交通が急速に発展したことで主に車対人の交通事故による死亡者数が日本全国で激増。1959、1960年の2年間の死亡者数の合計が日清戦争の戦死者数を上回り「第一次交通戦争」と呼ばれました。1970年代に一時収束するも、1978年に当院を設立してすぐの1980年からは主に車対車による交通事故が増え続け、1988年に交通事故による死亡者数はまた1万人を突破。「第二次交通戦争」と呼ばれました。

 脳神経・心臓血管・整形外科の領域は救急医療における依存度の高い分野です。

 当院では内科と外科が協力して診療を行うべく臓器別診療センターを開設。脳外科・脳血管内治療科・神経内科から成る「脳・脊椎・神経センター」、循環器科・心臓血管外科・不整脈科から成る「心臓血管センター」、消化器外科・消化器内科・乳腺外科から成る「消化器・乳腺センター」と三つのセンターを立ち上げ、専門性の高い医療の提供に取り組んでいます。

 救急車の受け入れ台数は地元3市から成る「柏原羽曳野藤井寺消防組合」圏内の40%に匹敵する年間4700台を受け入れています。

 手術室は6室あり、年間の手術件数は2500件。血管造影室でのカテーテル手術を合わせるとその数は3000件を超えます。三つのセンターに整形外科を合わせた四つが当院における診療の柱となっています。

―地域における在り方を教えて下さい。

 この地域内で多くの医療を完結させるために、他の医療機関との協力が欠かせません。今年の4月からは、地域のことをよく把握している看護副部長を地域連携室の副室長に任命しました。積極的に連携医療機関を訪問して改めて当院を知ってもらうことでさらなる連携の強化に努めるとともに、連携医師紹介カードの更新といった地道な活動に取り組んでいます。

 当院は1978年に近鉄「古市」駅の近くで開院しました。2006年、現在の地に移転してくる際、向かいには主に産婦人科・小児科・呼吸器の分野に特化した「大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター(現:大阪はびきの医療センター)」があったため、診療科の競合を避けるために当院の産婦人科を廃止。大阪はびきの医療センターにはない整形外科や脳外科に力を入れることにしたのです。

 各医療機関がそれぞれの立場で役割を果たしながらも協力体制を築いていく。結果として大阪市内に足を運ばなくてもできるだけ多くの医療がこの地域の中で完結するようになり、ひいては地域貢献につながると考え、実践しています。

―人材育成や退院後の患者さんのケアにも力を入れているそうですね。

 柏原羽曳野藤井寺消防組合圏内では唯一の基幹型医師臨床研修施設で、現在は3人の研修医を受け入れています。

 さらに同圏内では唯一、救急救命士の気管挿管実習を当院で行っています。この3市における院外心肺停止症例の約80%、年間100人前後を当院で受け入れて、一部の方は社会復帰を果たしています。

 看護師の採用について、以前は民間の紹介業者を通じて採用することが多かったのですが、福利厚生や奨学金制度の充実を図り、昨年7対1看護基準を取得してからはこの地域の人たちの応募や就職が増えてきており、大変嬉しく感じています。

 患者さんが退院後、安心して療養に移ってもらえるよう2003年、富田林市に120床の「介護老人保健施設きし」を開設しました。2010年には回復期リハ病棟をつくり急性期を脱した患者さんのADLの回復に取り組んでいます。

 診療における四つの柱に付随するものとして、病院の敷地内に訪問看護ステーションとケアプランセンターを5月に造りました。病院での治療後は患者さん一人ひとりの病状や回復具合を見て今後の後方支援をプランニング。治療が必要な場合は地域の医療機関につなぎます。「退院後も自宅を訪問しリハビリなどのケアをするので安心してください」と言うことができるようになり患者さんが不安を抱くことなく退院できる環境作りが一歩進んだと感じています。

―病院の今後の展開。

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 当院はこの南河内二次医療圏における約20%の救急車を受け入れています。診療実績では、脳卒中をはじめとする神経疾患、心臓血管疾患の1カ月当たりの退院患者数は、この医療圏では近畿大学医学部附属病院に次いで第2位で、整形外科(外傷)は第1位です。

 933床と当医療圏で最も規模の大きい近畿大学医学部附属病院は、2023年に現在の大阪狭山市に300床規模の病院を残し堺市に移転する計画です。そうなるとこの地域から高度急性期の医療機関の大半がなくなり新たに急性期の医療機関が300床増えることになる。それがこの地域の医療にどう影響するのかは未知数ですが、今後の各病院の役割が少なからず変わることを懸念しています。

 当院では2010年に消化器内科を開設し、がん診療に力を入れ始めました。医師を十分に確保できていないなどの課題を克服しながら、脳腫瘍の放射線治療装置であるガンマナイフやPET-CTにより幅広くがん診療を行っています。

 救急搬送されることの多い脳神経、心臓血管、外傷といった疾患とは異なり、がん診療は患者さんの意思やかかりつけ医の紹介で治療する医療機関を選択することがほとんどです。そのためまずは当院を知って、訪れてもらうために今後はより一層の地域連携と広報活動に尽力していきます。

 これまで培ってきた急性期医療の技術を守り発展させながらも、時代や地域のニーズを察知し、質の高い医療を今後も提供していきます。

医療法人 春秋会 城山病院
大阪府羽曳野市はびきの2-8-1
TEL:072-958-1000(代表)
http://www.shiroyama-hsp.or.jp


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