― 患者さんが求めているのは「答え」ではなく「支え」―
福岡市中央区天神の天神ビルで8月23日と24日、「未来プロジェクト2014」が開かれた。主催はNPO法人ハッピーマンマ。将来の医療従事者にチーム医療の大切さを学んでもらうことを目的に2008年から始まり、今年で7回目。
集まったのは福岡県内9校8学部の医療系学生59人と、参加経験のある実行委員17人、医師やがん患者ら30人の合計106人。講義のほか、他職種の学生が10グループに分かれ、チーム医療について学んだ。患者の体験談を聞く「医の原点」では質問も多く寄せられた。
参加学生の主な感想は次の通り。
- 【医学部】
- 患者さんのことを一番に考えられる医師になりたい。
- 他業種の仕事をよく理解し、患者さんの治療のために最善を尽くしたい。
- 実力を早く付けるだけでなく、患者さんの心を癒やす気持ちを忘れないでいようと思う。
- 患者さんに「病院ではなく、医師との出会い、相性・信頼関係が大事」と言われたことを忘れずにいたい。
- 挨拶、笑顔というちょっとした所作が周りの人に元気を与えることが分かった。極力気を付けたい。
- 【薬学部】
- 知識のことばかり考え、一番大切な患者さんについて考えていなかったことに気づいた。
- 薬剤師になろうとは考えても、「どのような薬剤師か」は考えなかった。それをしっかり持ちたい。
- チーム医療について、患者や他の医療スタッフとのコミュニケーションの取り方など、考えていくことが多いと感じた。
- 患者さんが求めているのは「答え」ではなく「支え」だと実感した。
- 患者さんの不安や悩みは私が考えているよりずっと大きく、退院後も闘病生活は続くのだと改めて思った。また患者にとって、患者会の存在や元気になった患者の話が心の大きな支えになるのだということを知ることができた。
- 【看護学部】
- 大学で学ぶチーム医療は看護師が中心だが、他職種の学部と関って、より患者さんに大切な医療を考えることが出来た。今後も看護師としてチームを引っ張っていきたい。
- 看護師は他職種間の橋渡しが出来ると思う。患者さんの意見を尊重し、伝えてチームケアが出来るようになりたい。
- 2日では足りないというのが正直な思い。初めてのメンバーともっと知り合うことができたら、ディスカッションも深めていけると思う。
- 将来働き出した時、今回の班のように自分の意見をしっかり伝えられ、それぞれの能力を高め合えるチームになれば、最終的に患者さんに満足してもらえると思った。
- 【心理学科】
- 心理士の専門性を、他職種にも患者さんにも理解してもらい、信頼される医療従事者になりたい。
- 笑顔、挨拶も「目に見えるチーム医療」として大切だ。心理士は「注射器を持たない医師」だと患者さんに言われたことがとても印象に残った。
- 患者さんと医療従事者が横一列になって一緒にゴール( 目標) に向かうという考え方もあることが印象に残った。
- 将来の医師や看護師、薬剤師と初めて集って非常に勉強になった。来年も参加したい。
- 【療法学科】
- チーム医療の中心にいるPTになりたい。
- 他分野の人と話すことができ、よい経験になった。学校に持ち帰ってクラスメイトへ伝えていきたい。
- 各疾患の特徴をしっかり知り、患者の要望や困っていることに、適切なアドバイスが出来るようになりたい。気持ちをいかに前向きにさせるか、今この瞬間を生きている喜びを感じてもらえるようなコミュニケーション力を勉強したい。
- 他職種の人と関わって学ぶことが多く、OTの強みを改めて知ることができた。また患者さんの話を通してOTに求められていることが分かり、自分の仕事に誇りを持てるようになりたいと思った。
- 【栄養学科】
- やはり栄養士の仕事の知名度は低いと思った。自分から何ができるかを発信していきたい。そのための知識や技術をつけていかなければと思った。
- 【その他の意見】
- 2日間とっても楽しかった。いくつものセッションを通して意見を交換することでうち解けられたし、懇親会では先生方や患者さん、学生さんと話が出来てよかった。
- 今後も何らかの形でこのプロジェクトに携わっていけたらと思う。
- とても貴重で濃い2日間だった。意識の高い学生が身の回りにたくさんいる。自分も頑張ろうと思った。
- 自分の将来にとって良い刺激になった。この経験を活かして自分が本当になりたい医療従事者になれるように日々勉学に励んでいきたい。
- ここで知り合った人とのつながり、学んだことを大切にしながらこれからにつなげていきたいと思う。
(取材協力=NPO法人ハッピーマンマ事務局)