手術、リハビリ、ジムで生活・競技復帰をサポート
整形外科分野の拡充に注力する中江病院。理学療法士ら50人近い陣容を誇るリハビリテーションセンターやスポーツ整形外来を擁し、増え続ける高齢患者の治療だけでなく、スポーツ選手の競技復帰もサポートしている。
―整形外科に力を注ぐようになった経緯と、これまでの取り組みを。
当院は、先代が消化器科を専門としていたこともあり、内科をメインに展開してきました。今も強みの一つです。
ただ、私は日本赤十字社和歌山医療センターで整形外科医として勤務していた2000年ごろから、当院周辺地域には整形外科で外科的治療を施せる病院が少ないと感じていました。そこで、当院に戻るに当たり、整形外科を充実させようと思ったのです。
2012年の理事長・院長就任後、まずは手術室の整備に着手。その後、看護師の育成などにも注力してきました。
2015年には、スポーツ傷害に関する知識が深く、膝や肩の関節鏡視下手術の技術に優れた、元同僚の井上悟史先生を当院に招き、膝関節・肩関節治療センターを開設。同時に院内に「スポーツ治療チーム」を立ち上げ、理学療法士、作業療法士らのセラピストを増員しました。
週2回のスポーツ外科専門外来日を設けたところ、小学生から高校生の来院数が大幅に増えました。リハビリテーションセンターの充実も、地域のニーズに合っていたのだと思います。
現在、外来患者さんは1日平均で120人に上っています。スポーツ外科外来は施術に時間がかかるため、経営面では難しさがあるのも事実です。しかし、子どもたちや親御さんが喜ぶ様子を目にすると「本当に良かった」と、やりがいを感じるのです。
和歌山県は野球が非常に盛んで、スポーツ傷害で来院する患者さんの7割ほどは野球関連です。近隣の橋本市や南部の新宮市からもお見えになります。
当院の整形外科の患者さんは、手術をしない保存療法で治る方が全体の70%です。リハビリ部門の人材が育ち、脳血管系疾患がある患者さんに対しても、十分なリハビリを提供できる態勢が整っているという自負があります。基幹病院で手術を受けた患者さんの紹介も増えています。
―2017年には、ジム運営を始められましたね。
リハビリで効果が得られた高齢の方の中に、リハビリを終了すると、数カ月で痛みが再発するケースが相次ぎました。けがをしたスポーツ選手に対しても、負傷部分のリハビリだけしていては、万全な状態での競技復帰が難しいことがわかっています。
そこで、病院併設の「ANHメディカルアスレチックジム」を開設しました。リハビリ後の高齢者の運動能力を維持、底上げし、疾病を予防すること、そして、スポーツ傷害の選手を早期に、できれば負傷前よりもパワーアップした状態で競技に復帰させ、その後のけがを防ぐこと。この二つが大きな狙いです。
当院でリハビリを受けた方がジムを利用する際は、患者さんの状況についてセラピストとジムのトレーナーが情報を共有しています。大会への出場予定なども考慮した、一人ひとりに合ったサポートが可能になっています。
―次々と新しい挑戦をする理由は。
患者さんに還元するのはもちろんですが、スタッフのモチベーションも上がるのではないかと思います。
来ていただいた患者さん、利用してくれる方に対して、その時、考えられる最善のものを提供するのが私たちの使命。それをメディカルスタッフにもトレーナーにも伝えています。これからも努力を重ね、地域の方から「絶対にないと困る」と言われる病院、施設にしていきたいですね。
医療法人愛晋会 中江病院
和歌山市船所30-1
TEL:073-451-0222(代表)
http://www.nakae.or.jp/