鈴鹿市初 緩和ケア病棟開設地域のがん治療の充実へ
2015年に鈴鹿中央総合病院の院長に就任後、3カ年計画を進めてきた森拓也院長。計画の区切りの年として、病院の増改築工事事業に取り組んでいる。11月の開設を目指すプロジェクトについて聞いた。
―病院の増改築工事が進んでいます。
病院本館と、隣接する厚生棟の増改築工事を進めています。大きく変わるのは旧厚生棟です。ここには職員向けの食堂や休憩スペースがあったのですが撤去。新たに4階建て、延床面積約5500㎡の新棟を建設しています。
1階には内視鏡センターとリハビリテーションセンターを設置。2階には会議室、休憩室、食堂など職員向けの厚生施設を設けます。
3階は透析センターと外来化学療法室です。
当院はがん診療に力を入れており、2010年には地域がん診療連携拠点病院の承認を受けました。外来で化学療法を受ける患者さんも増えていますので化学療法室のベッドも増床し、これまでの10床から20床に増やします。
4階には新たに緩和ケア病棟20床を開設します。鈴鹿市で初めての緩和ケア病床となります。
2016年に緩和ケア内科を開設し、緩和ケア専門医が早期から患者の身体的、精神的な苦痛を和らげる治療に取り組んでいます。
病棟では、外来と同様、緩和ケア専門医を中心に看護師、薬剤師などがチームで患者さんを支えていくことになります。病棟で緩和ケア医療に取り組んでみたいという志のあるスタッフを集めてチームづくりを始めたいと考えています。
また、救急センターを本館内に移動、拡充。2017年は年間8300人の救急を受け入れるなど、高齢化に伴って、今後も患者さんが増加すると予測しています。
―働き方改革に力を入れていますね。
医師事務作業補助者の雇用を積極的に進めるようにしています。2、3年前から少しずつ増やしていて、現在は25人ほどになりました。外来を担当する医師全員に1人の補助者をつけたいので、今後、倍くらいには増やしたいと考えています。
医師事務作業補助者が医師につくことで、これまでその役割を担っていた外来の看護師に余裕が生まれます。外来の看護師には病棟に上がってもらうことができるようになりました。
医師事務作業補助者向けの勉強会は頻繁に開いていいます。当院の診療体制をしっかり理解できるような事務職員を育てていかなければなりません。保険診療のことや疾患について、医師や医事課職員が講義をしています。
医師事務作業補助者の導入は、医師に大変好評です。今後は、事務処理の負担が大きい看護師のサポートもできるようにしたいと思います。
―3年間を振り返ってみて課題などは。
医療情勢が目まぐるしく変化するなか、当院の将来展望を見極めなければいけません。鈴鹿市の高齢化率は24%と全国平均(27.4%)と比較すると比較的低くなっています。ホンダグループの工場など、雇用の場も鈴鹿市内にありますので若い世代も多く住んでいます。
そのようなことから、当院は、引き続き急性期医療を柱にした病院運営に取り組みます。特に、救急とがんに力を入れていきます。
高齢の患者さんも増加しており、回復期リハビリなど、急性期を終えた患者さんを受け入れてくれる後方病院が少ないのは課題です。鈴鹿で生活をしている住民の医療を地域で完結するためにも、病棟の機能再編も今後考えていかなければなりません。次の3年間も引き続き新たなテーマに「職員と心をつなぎながら」取り組んでいきたいと考えています。
三重県厚生農業協同組合連合会 鈴鹿中央総合病院
三重県鈴鹿市安塚町山之花1275-53
TEL:059-382-1311(代表)
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