小児がん患者を中心に治療する「兵庫県立粒子線医療センター附属神戸陽子線センター」が12月1日、神戸市中央区に開設する。
小児がんへの陽子線治療は2016年に一部保険収載。同センターは県立こども病院に隣接し、連携する。子ども専門病院と連携する陽子線治療施設は西日本初となる。
建物は鉄筋コンクリート造りの4階建て、延床面積約6千㎡。「照射室」を2室設け、うち1室は小児専用。もう1室では成人も治療する。
同フロアには小児、成人の診察室を設置。小児と成人の患者の治療の動線を分けることで、抗がん剤治療などで免疫力が低下した小児がん患者の感染の予防をする。
小児専用照射室は、壁にイラストを描くなど子ども向けに装飾。治療中の患児が照射室外で見守る家族とタブレット端末を通じて互いの様子を見たり、会話したりできるシステムも導入する。
今回導入された陽子線の治療機器は最新型。一つの照射ノズルから、ブロードビーム、スキャニング、積層原体という3種類の照射ができるため、患部の形状に合わせたより精度の高い照射が可能となる。
また、治療中に装置から出る「駆動音」の大きさを従来の2分の1程度に抑えられたことで、治療を受ける子どもの不安軽減も期待できるという。
2018年3月に本格的な治療を開始する予定。総事業費は103億円。放射線治療の専門医や麻酔科医、医学物理士など専門のスタッフ19人が治療にあたる。
11月12日には、開設記念式典が同陽子線センターで開かれ、関係者約100人が出席。副島俊典・陽子線センター長が「小児がん治療では陽子線治療の重要性が高まっている。最新機器による高度な治療、患児や家族に寄り添う温かみのある医療を提供したい」とあいさつした。