宮崎大学医学部 発達泌尿生殖医学講座 小児科学分野 盛武 浩 教授

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世界に通用する小児医療を目指して

【もりたけ・ひろし】 宮崎県立宮崎西高校卒業 1993宮崎医科大学医学部卒業 2001 宮崎医科大学大学院医学研究科博士課程修了 2004 米セント・ジュード小児研究病院 2007 宮崎大学医学部小児科講師2011 同准教授 2017 同教授

 今年、宮崎大学医学部小児科学分野第4代教授に就任した盛武浩氏。小児がんを専門とする県内唯一の日本小児血液・がん学会専門医・指導医で、全国区でも活躍する。

 小児医学の発展と新規治療の開発に向けた研究を進めながら、後進の指導や学生教育にも力を注いでいる。

―盛武教授の研究について教えてください。

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 私の専門は、小児科の中の「血液・腫瘍」の分野です。研修医の頃に担当した急性骨髄性白血病の子が、造血細胞移植施設に転院後、亡くなった経験が契機となり、この分野をサブスペシャルティとして研究を進めてきました。

 九州がんセンターに国内留学したり、米国テネシー州にある小児病院で、臨床経験を積んだりしながら研究。その後は、ずっと出身大学である宮崎大学に在籍し、臨床・研究・教育に没頭する日々です。

 2002年に発足した「日本小児白血病リンパ腫研究グループ」には、発足当時からメンバーとして参加。2008年からは、急性骨髄性白血病委員として全国統一プロトコル(基準となる治療計画)の作成や解析に取り組んでいます。

 現在進めている「小児がん」に関する基礎研究は、大きく分けて三つ。

 一つ目は、日本全国の大学病院や小児がん診療施設から検体を集めて実施している、生殖細胞変異による小児がん発症に関する網羅的ゲノム解析です。

 生まれながらにして遺伝子にがんになりやすい素因を持っている患者は、小児がん患者全体の5%前後いると言われています。がんが多発する特定遺伝子の機能解析をして、その遺伝子がどのようにがん化に関わっているかを研究しています。

 二つ目は、既存の集学的治療では生存率が期待できない「小児の難治性固形腫瘍」に対して有効と思われる、細胞特異的な分子標的薬治療薬の動物実験。その結果に関しては、近く論文を発表する予定です。

 三つ目としては、がん代謝の研究にも力を入れています。

 あらゆる研究を通じ、未知の病態を解明し、創薬やがん患者にとって効果的な治療法の開発を目指しています。

―小児科の魅力は何でしょうか。

 小児がんをはじめとする小児の疾患は、医療の進歩とともに高い可能性で根治が見込めるようになってきました。治療を終え、元気になって成長し、未来を夢見て羽ばたく子どもたちの姿を見ることは、小児科医として大きな励みになります。また、新生児の生きようとする力には感動を覚え、未来へつながる命を支えることに、大きな喜びを感じることができます。

 小児慢性特定疾患への国のサポート体制が整い、患者さんやその家族が治療において経済的制約を受けることはほぼありません。経済的事情に左右されることなく常に最善の治療方法を提案・選択できます。

 さらに、臓器別に細分化された現代医療の中にあっても、小児科医はすべての臓器をトータルに診ます。つまり「全身を診る」ことができる。学問的にも興味深い分野だと考えます。

―新教授になっての意気込みを教えてください。

 当病院は、教育機関でもあります。教育と人材育成は医学の根幹です。全国の大学医学部でグローバルスタンダードに準拠した医学改革が行われる中、当医学部でも学生の負担を軽減できるよう努めながら、魅力ある医療を体験してもらえるように努めています。

 当大学のスローガンは、「世界を視野に地域から始めよう」です。"ネイティブデジタル"の学生や研修医たちにとって、論文や医学情報はインターネット上に読みきれないほど詰まっています。医療の現場でもウェブカンファレンスによって、遠隔地の医療機関とリアルタイムで情報共有する機会が増えてきています。

 正しい情報を選択しながら知識として取り込んでいくことで、医療の地域格差を解消することができる時代です。世界に通用する知識や技術を習得した医師を、さらにたくさん育成していきたいと思います。

―小児科医を目指す学生にアドバイスをお願いします。

 私は、医師のコミュニケーション能力を非常に重視しています。特に小児科医は、患者である子どもとの関係だけでなく、親をはじめとする家族との信頼関係の有無が、その後の治療に大きく影響します。

 コミュニケーション能力は、元来の素養もあるかもしれません。しかし、ポリクリやクリクラ(臨床実習)で、コミュニケーション能力が高い医師の患者に対する言動を自らに置き換えることで、レベルアップを図ることができます。人の気持ちを敏感に感じ、積極的に受け入れようとする努力も必要ではないでしょうか。

―医局の特徴を教えてください。

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 当病院は、宮崎県唯一の大学病院です。県内全域の中核病院に医局員を派遣し、県内の子どもたちが安心して治療を受けられる医療体制を整える一翼を担っています。

 そのために、血液、腫瘍、腎臓、神経、循環器、内分泌、代謝、免疫、感染、膠原病など各領域の専門家をそろえています。また、新医局員確保にも積極的に取り組んでいます。

 医局の標語は、「和と切磋琢磨(せっさたくま)」。先日の私の誕生日には、医局員が誕生会を開いてくれ、サプライズで似顔絵をプレゼントしてくれました。このような和気あいあいとした雰囲気は大事にしながら、一方で、医局員同士が刺激し合い、お互いの個性や能力をさらに伸ばしていける教室へと発展を続けていきたいと考えています。

 小児科医は、比較的女性が多く、当医局も半数が女性医局員です。子育て中の女性医師は、当直勤務するかどうかを、自身で選択できるようにするなど、女性医師が生涯を通じて自信と体力を維持しながら働ける環境整備にも努めています。

宮崎大学医学部発達泌尿生殖医学講座 小児科学分野
宮崎市清武町木原5200
TEL:0985-85-1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/pediatrics/miyazaki_ped/


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