国立病院機構 菊池病院 木村 武実 院長

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熊本県認知症疾患医療センターにも認定 地域の認知症医療を担って

【きむら・たけみ】 1984 宮崎医科大学医学部卒業 熊本大学医学部神経科精神科研修医 1986 宮崎県立宮崎病院精神科研修医 1991 熊本大学大学院医学研究科修了 国立療養所菊池病院(現:独立行政法人国立病院機構菊池病院)臨床研究部研究員 2002 熊本大学医学部附属病院神経科精神科講師 2003 医療法人明和会東家病院副院長 2007 独立行政法人国立病院機構菊池病院臨床研究部長 2014 同院長

 超高齢社会を背景に、需要が高まる認知症医療。菊池病院は、1977(昭和52)年に認知症治療病棟を設置。当初から、認知症の人の状態に合わせた「理にかなったケア」を提唱するなど、認知症への対応に注力してきた。木村武実院長に、同院の取り組みなどを聞いた。

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◎ケアに注力

 初代院長の室伏君士(くんし)先生の時代から一貫して認知症者のケアに力を注いできました。

 1988(昭和63)年には、西日本の厚生労働省認知症高齢者対策研修モデル施設に認定されています。

 認知症高齢者対策研修では、医師コース、看護師コース、精神保健福祉士コースの3コースを毎年実施。研修を通じ、認知症医療に従事する方の専門知識と技術の養成を図ります。

 この取り組みもあって、現在では認知症医療、特にメンタルケア領域において、西日本の精神分野の医療従事者から先端的施設だと認識されていると思います。

◎BPSDへの対応

 認知症の症状で、ご家族が最も困っているのは、徘徊(はいかい)、暴力、暴言などのBPSD(周辺症状)です。BPSDは介護者の疲弊につながります。これらの症状が出ている場合には、できるだけ早く受診してもらうよう、患者さんやご家族に呼びかけています。

 暴力、せん妄などで緊急性が高い人に対しては、入院措置をとっています。

◎セミナーを定期開催

 菊池医療圏内の精神疾患に携わるメディカルスタッフを対象にした「セミナー in 菊池」を毎年開催しています。認知症の総論を講義後、基本的なメンタルケアについて話をさせていただき、その後、事例検討会をします。

 昨年の7月1日には、熊本県認知症疾患医療センター(地域拠点型)の指定を受けました。まずは地域の診療所との連携を深めなければなりません。そこで地域医療連携室の職員が地域の医療機関、地域包括支援センター、介護施設などに定期的に訪問し、連携深化に努めています。

 こうした取り組みの結果、紹介患者も増加してきました。

◎在宅医療の強化

 今後は介護施設の運営を関連業者と協働して検討したいと思います。幸いなことに当院の敷地は広く、まだまだ余裕があります。空いた土地を有効利用して、地域の在宅医療を支えていきたいですね。

 現在は、地域医療連携室所属の看護師が訪問看護をしています。これからは医師会の皆さんのご理解をいただいたうえで、地域に訪問看護ステーションを設置することも考えています。

 地域の認知症高齢者のうち、当院を受診している方は一部だと思います。BPSDがあって、なかなか来院できない人、家族が勧めても受診を拒否している人など、潜在的な患者さんは多いと思うのです。

 当院がある合志市の認知症関連の会合や認知症の人と家族の集まりでは「往診してくれる医療機関があると助かる」という意見を多数聞いています。訪問看護や往診などの需要は今後ますます高まるでしょう。しかし、それに応えるには、さらなるマンパワーの確保が必要となります。

◎認知症の知識が必須の時代に

 高齢化に伴い、入院患者のほとんどが高齢者という総合病院も増えてきました。高齢者には必然的に認知症の人も多数含まれます。これからは認知症の人へのケアができない医療者は、総合病院で働きにくい時代だと言えるかもしれません。

 当院では2カ月に1回、初期研修医を対象にした認知症の研修会を開いています。研修後のレポートでは「今後医師として仕事をしていく中で、どの科に進んでも必ずBPSDの症状を訴える患者さんに接することがあると思います。その際に、薬剤や感染症のほか、甲状腺機能低下症やビタミン欠乏などさまざまな病態が原因になることを知っていれば、適切に対応できると思います」「H2ブロッカーや向精神薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、抗コリン薬を高齢者に使う際には、BPSDを起こし得ることをあらかじめ念頭に置き、注意して投与しようと思います」などの感想を多数いただきます。

◎身体合併症への対応

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 認知症の人にする合併症の治療を、どの程度まですべきかについては、今後、議論の余地があると考えています。

 例えば肺炎の場合、本人に肺炎の自覚はありません。だから点滴をすると自己抜去してしまいます。では、どうするかというと一時的に身体拘束をして点滴をするのです。

 もちろん精神保健福祉法で認められている行為ですが、本人に治療されている認識はありません。「しばられて、虐待されている」と感じる人もいるでしょう。

 認知症の人の身体合併症への対応や食べられなくなった時にどうするかなど、認知症の人のエンドオブライフ・ケア、看護について今後、真剣に検討していかなければなりません。

 以前、がん専門病院の院長と、認知症の人に対するがん治療についてお話しする機会がありました。私たちと同様、どこまで治療をすべきか、苦悩している様子でした。

 今後、同病院のような身体科の病院と、お互いに意見交換をして、より良い治療方針を模索していかなければと考えています。

◎見守ることも必要

 もの忘れがひどくなった人のご家族が、それを過剰に心配し、医師に薬物治療を求めた結果、症状が悪化し、BPSDが出てくるケースが増えてきています。そして薬をやめたとたん、状態が落ち着くのです。

 高齢になると認知症でなくても、もの忘れが増えてきます。自然の摂理だと捉え、静かに見守ることも必要です。もの忘れの進行を無理に止めようとするのは、時として逆効果になってしまうのです。

独立行政法人 国立病院機構 菊池病院
熊本県合志市福原208
TEL:096-248-2111
http://www.kikuchi-nhp.jp/


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