医療法人相生会 新吉塚病院 小西 淳二 院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

「境界線」を引き上げるリハビリテーションを

【こにし・じゅんじ】 1982 山口大学医学部卒業 1983 九州大学医学部整形外科入局 1986 九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院) 1990 九州厚生年金病院(現:独立行政法人地域医療機能推進機構九州病院)整形外科医長 1995 医療法人相生会宮田病院副院長 2013 同会杉岡記念病院院長 2016 同会福岡みらい病院副院長 新吉塚病院院長

 2015年6月の移転から1年3カ月を経て、リハビリテーションを中心に提供する新吉塚病院が福岡市博多区に戻ってきた。前身の林医院(1957年開院)から数えて約60年間、この地域と関わってきた同院。小西淳二院長は「以前にも増して信頼を勝ち取りたい」と意欲的だ。

k7-1-1.jpg

―再開の経緯について教えてください。

 2015年6月、新吉塚病院は福岡市博多区吉塚から東区のアイランドシティへ新築移転しました。

 旧病院の338床をそのまま移し、「福岡みらい病院」と改称して開院。2016年4月には、隣接するグループ病院の杉岡記念病院と統合し、418床となりました。

 東区は回復期病棟や療養型病棟が多く、福岡市内の35%程度が集中していると言われています。

 どれほどの患者さんが利用してくれるのか心配していましたが、リハビリの質や設備面の充実が差別化につながり、進出から1年ほどで軌道に乗せることができました。

 一方で、旧病院が立地していた博多区は、回復期病棟が多くはありません。2015年の移転にあたり、周囲の急性期病院から「退院後の患者さんの受け入れ先をどう確保したらいいのか」との声もありました。

 当初は、博多区やその近隣地区の患者さんもアイランドシティでの対応を想定していました。しかし、アクセス面がネックとなり、必然的に東区の患者さんが中心となりました。

 診療はしていませんでしたが、吉塚には、2006年にオープンした病棟がまだ残っていました。

 また、併設の介護老人保健施設「光」は、新吉塚病院の移転後も同じ場所で運営を継続。医療機関の密なバックアップがほしいとの要望がありました。

 地域に求められていることを確信し、博多区での再開を決定。「新吉塚病院」の名称は変えず、昨年9月に患者さんの受け入れを開始しました。

 回復期リハビリテーション病棟52床、療養型病棟47床の、計99床での再スタートでした。

―手応えは。

 1年3カ月の空白が埋まるのだろうか。そんな思いでしたが、ふたを開けてみれば、杞憂(きゆう)に終わりました。

 11月に入るころには急速に患者さんの数が伸び始め、病床の8割程度が稼働するようになりました。

 現在、急性期病院からの紹介数は200を超えました。回復期リハビリ病棟は9割ほどが埋まり、療養型病棟も空くのをお待ちいただいている状況です。想定よりも数カ月ほど早いペースでの達成ですから、驚いています。

 「以前、入院していました」とおっしゃる患者さんも多い。空白期間などなかったのではないか。そんな印象が深まっています。

 再開から9カ月が経ち、ようやくあいさつが終わった段階。今後は期待を「信頼」に変えていかねばなりません。

―力を入れている点は。

 当院の強みの一つは連携です。PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)、MSW(医療ソーシャルワーカー)、主治医、看護師。さらに患者さんのご家族も含めたチームが一体となって、在宅復帰に向けたカンファレンスを開いています。

 多くのご家族は、できれば自分たちで面倒をみたいとおっしゃいます。

 重症度によっては、一般的には在宅復帰が難しいと判断されるケースもあります。その「境界線」を少しでも引き上げるのが私たちの役目。多職種が知恵を出し合うことの意味はそこにあります。

 当院の在宅復帰率は約7割。厳しいかもしれないという状態から復帰を果たした患者さんも増えている実感があります。私たちが目指すチーム医療の方向性が、間違っていないということだと受け止めています。

 訪問看護部門、訪問リハビリ部門とも、毎月の会議で意識を共有しています。本当に大事なのは、退院後の生活。長く寄り添える体制に進化させていきたいと思います。

―今後は。

 ありきたりな言葉かもしれませんが、地域になくてはならない、この病院ならなんとかしてくれる。そんな存在でありたいというのが素直な思いです。

 地域に開かれた病院づくりの一環として、今年3月、地域のみなさんに向けた第1回健康教室を企画しました。私は専門が整形外科ですので、ロコモティブシンドロームを題材に講演しました。

 感覚的に今の60歳の活力は、昔の40歳に相当するのではないかと思います。元気で長生きする方が増えていることは喜ばしいかぎりです。

 だからこそ、予防の大切さをもっと訴えていきたい。日本整形外科学会の報告でも骨折は増加傾向にあり、「ストップ・ザ・ロコモ」を掲げて転倒防止の啓発に力を入れています。

 例えば大腿骨頚部骨折の患者さんは、反対側の足も骨折するリスクが非常に高い。継続的に情報を発信し、予防に役立ててもらいたいと思います。

―職員の育成について。

k7-1-2.jpg

 職員、特に若手にアドバイスするときには、院長の立場で話しているつもりはありません。

 長く生きている、一人の男の話として聞いてもらえたらと思っています。同じような場面を私も経験したが、こう乗り越えた。そんな伝え方を心がけています。

 若い人は少々打たれ弱い面があるかもしれませんが、素直さという魅力も持っています。当院にいる高齢者の方々も、彼らがひたむきに頑張っている姿をちゃんと見てくれていると感じます。

 リハビリテーションの基本は一対一で誠実に向き合うこと。患者さんとのスキンシップを通して、さまざまなことを学んでもらいたいと思っています。

医療法人相生会 新吉塚病院
福岡市博多区吉塚7-6-29
TEL:092-621-3706
http://www.lta-yoshizuka-g.jp


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る