佐賀大学 宮﨑 耕治 学長

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地域密着型大学として、地元の期待に応える
CT教育と教養教育

【みやざき・こうじ】 佐賀県立佐賀西高校卒業 1974 九州大学医学部卒業 1995 佐賀医科大学外科学教授 2008同附属病院長 2009 佐賀大学副学長 2015 佐賀大学学

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◎地の利を生かす

 今年の入試も無事に終わり、4月4日に入学式を迎えました。本学と合わせて他の国立大学の志願者数変動などをみると、はっきりと少子化の影響がうかがえます。

 九州山口では全体的にかなり減少しています。福岡県内がかろうじて横ばいで、本学は福岡に近いこともあってほぼ横ばいを維持しています。

 一方、九州他県の大学では減少が続いています。私見ですが、少子化の影響に加えて、本気で大学進学を志向している層が東京など大都市の私学に流れているのではないでしょうか。その分、地方大学ほど少子化の影響を如実に受けるようになっている。

 本学の志願者数がそれほど減っていないこと自体は歓迎すべきことですが、その背景にどんな要因があるのかまで考えてみると、それほど安穏としてはいられません。なによりも、九州最大の都市である福岡市への交通の便の良さが、志願者減を食い止めていると分析しているのです。たとえば、九州大学には届かないが、国立で福岡にアクセスの良い佐賀大学なら合格しそうだ、と。

 もっとも、決して悲観しているわけではありません。受験生が都会志向にシフトしていく中で、佐賀大学は「地の利」をいかして都会の大学に離されないように食いついていく、これは大学生き残りの作戦としては「あり」なのかもしれません。

 全学でみれば北部九州からの入学者が多い傾向にありますが、医学部に限っては東京からの入学者もある程度いる全国区の学部になっています。ただ、県外から入学した学生たちがそのまま佐賀に残ることは少ないですね。加えて、県内出身者にしても「ずっと佐賀にいたから外の空気を吸いたい」と、流出することも多い。

 医学部地域枠の学生もかなり増えましたが、彼ら彼女らが必ず地域にとどまるかというとそうでもない。奨学金を出しているから残ってもらわないと困る、ということで県から対策をお願いされています。県自体も毎年学生にコンタクトを取るようにしていて、成績をチェックするなどのフォローアップを綿密にしているようです。距離を近くすることで卒業後の流出を食い止める狙いがあるのでしょう。

◎アジアへ目を向ける

 2016年度、文部科学省は大学を3類型に分けて予算配分などに反映させることを決めました。「地域と特色分野の教育研究」(地域)と、「特色分野の教育研究」(特色)、さらに「卓越した海外大学と伍(ご)した教育研究と社会実装」(世界)の3類型を提示して、各国立大学に目指すべき道をそれぞれ選ばせたわけです。

 本学は「地域」を選択しています。もっとも、グローバリゼーションに特化はできないものの、純粋な距離でいえば佐賀とアジアは近いのでもっと地の利をいかして佐賀や福岡の大学はアジアへ目を向けていくべきだと考えています。

 国際情勢は複雑になっていますが、個々の学生たちに大きくは関係ありません。本学にも中国と韓国の留学生が多くいますが、あまり気にしている様子はなく、大学が萎縮することはないと思いますね。

◎優良中小企業の発掘

 国立大学の授業料はそこまで高騰していませんから、全国的にこれまでは授業料が安いから黙っていても来てくれるだろう、という姿勢だったと思います。正直に申し上げて、本学でもそれほど広報などに力を入れていたとは言えません。

 現在は私立大学の授業料も安くなりましたし、就職率の良さをアピールするなどして積極的に学生を集めようとしています。

 本学としては、地域密着型の大学として、まずは地元に子どもを残したい保護者の期待に応えることを考えていくべきでしょう。長男であるとか、女性であるとかの理由で都会には出さずに、地元で公務員になってほしいという風潮は根強いものがあります。少子化に加えて公務員の給与水準が民間に比べて相対的に高水準になっていますので、公務員人気は高いのです。

 そういった風潮をわれわれも出口としてうまく使って、入口拡大にもっていく必要があります。ただ、佐賀県出身者のために公務員の枠を広げるというのは、公平性の観点からいって難しい。ですから、本学は公務員になれなかった学生のために、佐賀県内の優良企業を紹介する取り組みを始めています。これはCOC(Center of Community)大学の大きなミッションの一つであり、数値目標まで与えられて若者を地元に残すことが課せられているのです。

 私自身も県内企業をまわっているのですが、佐賀出身の私ですら知らなかった優良企業がたくさんあるのです。規模で都会の大企業には太刀打ちできないが、世界に打って出ている中小企業は多く、将来は有望です。

 学生が知らないそういった企業の魅力を伝えるのは、本学のいわば「営業」といっていいかもしれません。

◎ICTと教養教育

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 本学は国立総合大学として初めて美術館を設立した特色を持ちます。昨年4月には文化教育学部を改組し、佐賀県立有田窯業大学校を統合して、芸術地域デザイン学部を開設しました。

 ICT(情報通信技術)教育にも力を入れています。学部を問わずに受講できる、デジタル表現技術者養成プログラムは非常に人気があります。これまでのように、自分が所属する学部の専門分野にとらわれることなく、ICT技術を武器にして就職を達成したOBも出ています。こういった実績が文科省にも認められてICT教育の全国共同教育拠点に認可されました。

 就職に直結する実学の需要が高いのは当然ですが、個人的には、せっかく大学に入学したのだから、きちんとした教養も身に付けて卒業してほしいと思います。

国立大学法人 佐賀大学
佐賀市本庄町1
TEL:0952-28-8113(代表)
http://www.saga-u.ac.jp/


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