三重県こころの医療センター 森川将行 院長

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より良い、こころの健康づくりを目指して

もりかわ・まさゆき▶大阪府立北野高等学校卒業、奈良県立医科大学卒業/奈良県立医科大学精神医学教室を経て、1992 宝樹会小豆島病院精神科 1993 奈良県立医科大学附属病院 臨床研修医、南風会下市病院精神科 医員 1995 陽和会吉川病院精神科 1998 奈良県立医科大学 助手 2002 ワシントン大学研究留学 2005 奈良県立医科大学 講師 2008 堺市こころの健康センター 所長 2014 三重県立こころの医療センター 院長心得、奈良県立医科大学 臨床教授 2015 三重県立こころの医療センター 院長、鈴鹿医療科学大学大学院薬学研究科医療薬学専攻 臨床教授、三重県立看護大学 客員教授

 三重県立こころの医療センターは、「県民のより良いこころの健康をめざし、三重県の精神科医療をリードします」という理念のもと、外来治療、入院治療とあわせて相談窓口を充実させている。若者のための相談窓口であるYMSC‐MIE(Youth Mental SupportCenter MIE)の機能を中心に話を伺った。

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病院機能
診療科目=精神科、内科、歯科許可病床数=400 床(救急40、急性期52、認知症50、療養104)指定=応急入院指定病院、認知症疾患医療センター、臨床研修指定病院、飲酒運転ゼロ条例指定医療機関

 YMSC‐MIEは原田雅典前院長が2008年に開設し、若者の精神保健問題についてさまざまな支援を展開しています。これまでは、思春期の若者がなにか相談したいと思ったときに、それを受けとめる医療機関がほとんどありませんでした。通常、民間病院では医療システムに該当する方しか対応できませんので、思春期特有の相談について受け入れにくいという現状があります。しかし、たとえば100人の相談を受ければ、ある程度の割合で必ず精神疾患の初期症状を呈している方がおり、統合失調症などは早期の5年以内に治療しないとその後の人生に大きな影響を及ぼす可能性もあります。相談することで楽になる方もいますので、窓口の開設は非常に重要であり、公的機関である当院が役割を果たすべきでしょう。

 相談窓口とあわせて、中学校などで精神科医療の啓発活動も行っています。幻聴やうつ病の症状などについて知ってもらい、思春期なのだから悩んであたりまえ、「悩んだり困ったことがあったらすぐに相談する」という風土を作っていきたい。小さな活動ですが、じつは自殺防止対策の大きなカギになっていて、「悩んだらSOSを出していい」ということを伝えてあげると、心理的な重荷を軽くすることができます。海外でも、自殺防止として相談窓口に来た方を見逃がさずにサポートし続けるという取り組みが重要とされています。

 こころの病に関しては、「この病院に来ればなんとかなる」という安心感を与えたいですね。実際に、民間の病院から長期入院の患者さんを受け入れるなど、さまざまなパターンに対応しています。職員全員が研鑽を積み、公立病院として県民の期待に応えていきたいと思います。

これからの精神科医療

 現時点の精神科医療においては、医学モデルが中心になることがほとんどですので、どうしても病気かどうかという線引きが必要になります。一方、きちんとした病名がつかない場合でも、悩んだ場合は相談にのりますという体制をとることで、こころの病に苦しむ期間が短くなることがあります。最近では、「病気とともに歩む」「病気になったことで得られることもあった」とおっしゃる患者さんもいます。病気の治療はもちろんですが、病気を抱えつつも前向きに生きることに対しての支援も大切になってくるでしょう。

 精神科は「待つ」姿勢が当然とされてきましたが、これからは地域に出ていく必要があります。病院だけではなく、精神保健福祉センターなどの社会資源と協力・連携して、複数のセーフティネットを重ねていかなければなりません。単独のネットワークでは必ず漏れる方がいますので、異なるネットワークを何枚も重ねて、どこかの網で助けてあげたい。

 たとえば、生活保護家庭で両親がうつ病になった場合、悪くすれば子どもの教育機会が奪われることがあります。私も幼いころに父を亡くし、母子家庭で育ちましたので、そのような悲劇は可能な限り無くしたい。縦横の関係が緊密につながって、誰も落とさないような仕組みをもった社会を目指したいですね。


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