大切なのは患者さんの心情を斟酌すること

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産業医科大学医学部脳神経外科 教授 西澤 茂

1978年 信州大医学部卒、京都第一赤十字病院研修医 1980年 浜松医科大医学部脳神経外科学講座助手 1981年 清水厚生病院脳神経外科1983年 焼津市立総合病院脳神経外科科長1985〜87年 浜松医科大医学部脳神経外科学助手、米国マサチューセッツ総合病院脳神経外科脳血管研究センター研究員 1995年 浜松医科大医学部脳神経外科学講師 1997年 文部省短期在外研究員スロベニア大脳神経外科 2001年 浜松医科大医学部脳神経外科学助教授 2006年〜現在 産業医科大医学部脳神経外科学教授 2011〜2014年3月 産業医科大学病院副院長

言葉遣いなどマナー教育も徹底

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 産業医科大学病院脳神経外科は、脳腫瘍の患者さんが圧倒的に多く、それ以外に脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などの方がいます。救急で365日24時間、絶対に断らないで患者さんを受け入れることを心がけています。

―なぜ脳外科医に

 意識状態が悪くなった患者さんを診るのは、誰にでもできるわけではありません。どういう状態で、何をしなければならないのかというのは、意識がある人が訴えて、それに対応するのとは全然違いますから。訴えることができない人の問題点を診察して、画像の検査をして、ということができるようになれたらいいなというのが脳外科を選択した理由ですね。

 われわれは、仕事の対象がものやお金ではなく、人です。失敗した時、その人個人が責任をとったり、お金で解決したりできる場合もあるかもしれませんが、私たちの失敗は、患者さんの生命、障害などの機能予後につながってしまうんです。患者さんが責めを負わなければいけなくなる、そこが他の仕事との1番大きな違いだと思います。

―印象に残った患者さんは

 思い入れのある患者さんというのは2つの場合がありましてね。1つは「これはできるんやろか」という手術をなんとかやり遂げて、元気に帰っていただいたとき。喜びや思い入れは大きいです。

 もう1つは、一生懸命に手術をしたけれど腫瘍が取りきれなくて、または再発を繰り返して手術を繰り返さないといけないという時ですね。外来で診るたびに心が痛みますし、再度手術する必要があると伝えなければならないこともありますから。ずっと思い浮かぶのはそういう方たちです。

―人材育成で気を付けていることは

 マナーです。患者さんに対するマナー教育は徹底してやっています。上から目線ではなく、患者さんの立場に立った対応、言葉遣い、そういうことにはとても厳しいです。できるだけ、その方の心情をきちんと斟酌(しんしゃく)できるようにということは、非常に注意していることですね。

 脳外科の患者さんというのは、脳の病気ということで、人一倍神経質になられている方が多いです。術前の方や、術後に何かしら障害を負われている方には、特に注意しています。

 脳腫瘍については、普段と違う頭痛を感じて受診する方が多いです。脳ドッグで見つかる方もいます。腫瘍の大きさ、症状、年齢、良性か悪性か、それを診ながら、手術をするのか経過観察するのか、われわれの考えも含めてお話します。

 良性の場合には、「数か月から半年に1回、MRIを撮って様子を見ましょう」と手術をしないで経過を見ることもあります。また、あまり症状がなくても腫瘍が大きくて放っておけない場合もあります。それぞれの状況に応じて、自分たちの意見を伝えつつも、患者さん自身に意見を持って選択してもらえるように心がけています。

 術前の説明では、危険性や合併症をすべてお話します。でもそればかりでは、患者さんは不安に陥ります。実際に同じような状況で手術をした時にどれぐらいの成功率なのか、合併症が起こる割合はどうなのかなど、自分の経験もお話しするようにしています。

 手術中の緊張は慣れですね。若い方々が術者になって、「今度はあなたですよ」と振り分けられる時は緊張すると思いますが、そういう時に対処できるように、ラボで顕微鏡下で手術したり、ご遺体を使った手術トレーニングをしたりを欠かさないようにしています。

 でもトレーニングはあくまで動物や機械やご遺体が相手。実際の患者さんを手術するのとは全然シチュエーションが違います。それでも手術の状況に慣れるように、心の鍛錬もしているということです。

 手術には段階があり、私がする手術はハードルが高いので、かなりの緊張感を持ってやります。それがなくて、手術をされる方はいないんじゃないですかね。緊張感がない手術だとしたら、それは、いい加減なような気がします。

―忙しい日々の過ごし方を教えてください

 週3回は外来をやり、少なくとも3日は手術をしています。健康管理でできるだけ通学は歩いています。20分ぐらいなんですが。朝6時半ごろには大学に来て、帰りは午後5時。夜は10時か11時くらいに寝ます。睡眠は非常に深いので、朝、起きれば、前日の疲れはまず残っていません。

 食事は朝しっかり食べるようにしています。昼は外来が延びれば午後4時までかかることもありますから、そうすると全然食べられませんね。夜は帰宅が遅い日を除いてなるべく食べるようにしています。食生活はけっこう不規則です。

 食べるものにも気をつけています。できるだけ野菜をとるとか油ものを控えるとか。お酒は寝る前にちょっと軽めのものを飲むぐらいで、翌日に大きな手術がある時は控えるようにしています。

 手術前には食事をとるようにしていますし、集中していますから、手術している時に空腹が気になることは一切ありません。術中に顕微鏡をのぞいている時の集中は、周りの人が声をかけるのがはばかられるぐらいだと思いますね。顕微鏡を離れると急に空腹を感じることはあります。医者、特に外科系はそういうものじゃないですか。

 もともとスポーツは柔道やテニス、ジョギングなどをやっていたんですが、今は土日も大学にいますから、なかなかする時間がないですね。趣味は音楽と読書。気分転換に、推理小説など軽めの本を読んでいます。

―最後に、脳外科医とは

 脳外科の医者は、非常にマナーのいい、患者さん思いの優しい医者が多いと思います。特に脳外科の患者さんは、言語や意識が不鮮明だったりします。その状況でどのようにすれば気持ちよく過ごしていただけるのかということを斟酌するのは、われわれ医療人の仕事。要望を言えないことが多いですから、私たちがそれを心に留めて、心遣いを払わなければいけない、そのことは常々言っています。


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