飛耳鳥目 たばこの吸い殻

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 道を歩きながら、飲み終えたコーヒーの紙カップに、投げ捨てられているタバコの吸殻を拾い集めることがたまにある。

 善行でも美化運動でもない。そうしつけられて育ったわけでもない。若いころ自分が道ばたに捨てた吸殻を、今こうやって拾っているのである。だから、喫煙者のマナーが悪いとは思わない。それはかつての私自身のことなのだ。

 拾い歩いている間にいろんなことを考える。

 若い人が散らかして年寄りが片付ける。おそらくこれが健全な社会なのだ。逆に、年寄りが散らかして若い人が片付ける社会は不健全でゆがんだ社会だろう。今の日本はそちらに舵を切っていると言えなくもない。

 あるいはまた、日本の街は清潔でゴミが落ちていないとよく言われるが、それは総論として正しいとしても、「落ちている吸殻を見つける目」が備わると、案外あちこちにゴミが散乱しているもので、まるで私に拾わせるために投げ捨てたかのごとく、一か所にかたまっていたり、一・五メートル間隔でずっと落ちたりしている。それを身をかがめて拾いながら、この歳になって見えなかったものが見えるようになってよかったなと思う。

 考現学の観点から見たら、このあたりは低所得者がよく歩いているなとか、誰かを長い時間待っていたんだなとか、初めて買った銘柄がまずくて、それでこんなに長いのだろうと、事実かどうかには関係なく、想像をいろいろかき立てさせてくれる。

 ごくたまに私と同じように、手に小さな袋を持って吸い殻を拾っている人を見ることがあり、どんな理由があるにせよ、彼(もしくは彼女)にも見えるのだな、と思う。

 そして紙カップにいっぱいになったころ最寄りの駅に着き、私は駅員に了解を取って構内のゴミ箱に捨てさせてもらう。(川本)


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