愛媛大学大学院医学系研究科脳神経外科学 國枝 武治 教授

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最大のアドバンテージは「人」

東京都立西高校卒業 1993 京都大学医学部医学科卒業 同附属病院脳神経外科・研修医 大津赤十字病院脳神経外科・研修医 1995 同医員 1996 京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座 1999 米国クリーブランドクリニック・リサーチフェロー 2001神戸市立中央市民病院脳神経外科・副医長 2007 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科・医長 2010 市立長浜病院脳神経センター・責任部長2011 京都大学医学部附属病院脳神経外科・助教(院内講師) 同特定講師 2013 同大学院医学研究科脳神経外科学・講師 2016 愛媛大学大学院医学系研究科脳神経外科学・教授

 来年で開講40周年を迎える愛媛大学医学部脳神経外科。

 5月に四代目教授に就任した國枝武治教授に、今後の抱負、脳神経外科の特徴などを聞いた。

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脳外科の魅力を伝えたい

 教授に就任したことで、県全体の医療を考えるべき立場になりました。まず力を入れなければならないと感じているのが人材の確保です。若い人を集めて、教室の将来を担ってもらう必要があります。

 2018年度から新専門医制度がスタートします。最初のテストケースに該当する人たちは、どの科を選択するにしろ、キャリアアップを参考にできる先輩がいないことになります。そこに不安を感じている人がとても多いのではないでしょうか。

 当科では、着実に一人前へと育て上げる研修プログラムを用意しているので、安心して学ぶことができると思います。

 残念なことに脳神経外科は、あまり人気のない科の一つです。「しんどい、きつい」というイメージを持たれていることが要因に挙げられるでしょう。たしかに「きつくない、楽な科だ」と言えばうそになってしまいます。しかし、著しくワークライフバランスを損なうようなことはありません。そして、何よりも学べる領域が幅広く、奥の深い領域です。

 どの診療科もそうですが、その科を選択したからには、30年以上は、その領域をやることになります。私の仕事の一つに、いかに脳外科が魅力があり、やりがいのある科であるかをアピールしていかなければなりません。

 私の専門は脳腫瘍外科手術と機能外科治療です。脳の機能には、まだまだ未知の領域がたくさんあります。これからも研究の余地が残されている領域なのです。

 脳外科の責務として目の前の患者さんを救うことはもちろん大切ですが、将来の患者さんに、どういう貢献ができるかを考えるのも重要です。研究によって、脳の機能について、もっと分かるようになれば、10年後、20年後の患者さんを救うことができるのです。

研究の重要性

 私は臨床と教育は必ずしも大学だけの仕事ではないと思っています。もちろん医師としての姿勢、倫理などの基礎的な教育は大学の責務です。しかし、実際の診療技能や手術戦略は、実症例に当たらないと勉強できません。一般病院でも一定数の指導医がいる施設であれば、充実した教育が受けられると思います。

 大学に求められるのは臨床、教育以上に研究だと思っています。大学院生が中心になって基礎的な研究をしていくのが大学の役割だと言えます。

 昨今は「学位は必要ない、大学院に行かなくてもいい」という風潮が一部にあります。それを完全には否定しません。しかし、長い医師人生の一時期、研究に没頭することは決して無駄にはならないと思います。

 研究をした経験があれば臨床の場面で経験したことがない珍しい症例にも対処法を見出せると思いますが、研究経験がないと見過ごしてしまいます。研究経験がない医師が増えている現状に一抹の不安を感じていますね。

実直な姿勢こそが重要

 教室員にはリサーチマインドを常に持ち続けてほしいと言っています。今は、インターネットで最新の論文を閲覧することが可能な時代です。極論ですが、欧米や日本の有名な施設でやっていることと、ほぼ同じことが、ここ愛媛でもできる時代になりました。都会か田舎かは関係ありません。目指すべきは世界の一流に並ぶことですね。

 前任教授の大西丘倫先生は集束超音波治療機器にいち早く着目し、松山市の貞本病院と共同で最先端の治療をしてきました。

 当教室は、その領域においては、他施設よりもアドバンテージがあります。ただ、これだけ情報発信が盛んな時代にあっては、そのアドバンテージが、わずかなものであることもたしかです。

 当教室の最大のアドバンテージは教室員が、みな実直で勤勉なことです。私は、それこそが最も大事な姿勢だと思います。目指す道が正しく、今まで通り地道に頑張り続けていれば、自ずと結果はついてくるはずです。着実に一歩一歩進められることが、何よりも重要です。

充実した指導体制

 当教室は、たとえ地方であっても、しっかり研究ができる体制が整っています。脳外科には、脳腫瘍、脳血管疾患、血管外腫瘍、脊椎、小児、機能外科などたくさんの領域があります。それらの領域それぞれを指導する先生が揃っているので、責任を持って一人前の脳外科医を養成することができます。

 専門医取得後、どのサブスペシャリティーに進むにしてもしっかりとサポートをします。また留学の希望があれば、快く送り出すつもりです。

制度改変の狭間で

 2004年に始まった医師臨床研修制度の導入以降、大学の医局に属さない医師が増えました。その結果、特に都市部で専門医になったが年齢、実力に応じたポストに就けない医師が相当数いることが考えられます。

 彼ら、彼女らは制度改変の狭間でキャリアアップを妨げられ犠牲になった不遇の世代だと思います。

 確約はできませんが、愛媛出身で地元の医療に貢献したいと願っている人に対して、何らかのお手伝いができればと思っていますね。

愛媛大学医学部附属病院
愛媛県東温市志津川
TEL:089-964-5111
http://www.hsp.ehime-u.ac.jp


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