「四国の先生」と呼ばれた医師

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

広島市立安佐市民病院  院長 多幾山 渉

1969 修道高校卒 1975 広島大学卒 広島大学医学部付属病院原医研外科研修医 1976 広島赤十字病院外科 1978 広島大学医学部付属病院原医研外科医員 1980 同助手 1982 同医局長 1983 国立病院四国がんセンター外科 1987 同外科医長 1999 広島市立安佐市民病院外科主任部長 2005 同副院長 2010 同院長 安佐医師会副会長■日本外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医 日本食道学会評議員・暫定食道外科専門医・食道科認定医 日本胸部外科学会指導医 日本胃癌学会 日本乳癌学会認定医 日本癌治療学会臨床試験登録医 日本がん治療認定医機構暫定教育医 日本内視鏡外科学会 日本臨床外科学会 日本臨床腫瘍学会暫定指導医 日本医療マネジメント学会 広島大学臨床教授 剣道4段

 広島市立安佐市民病院の建て替え問題は、現在広島市議会の重要案件の1つだ。広島市北部の中心的な病院で、23診療科527床。安佐北区に多機能な病院はほかになく、重篤な患者が集まっている現状がある。県北部や島根県からの患者も多く、経営状態は良好だと広島市は発表している。病院を移転させることで市北部を活性化させようという狙いが市政にあるが、病院近隣住民に反対者は多い。

 今年4月、広島市立の4病院は独法化する。人員の確保や給与体系の見直し、状況に即応できる予算措置など、運営は病院に適した形に変更が可能になり、広島市立安佐市民病院の重要度は今後増すと予想される。

31.jpg

広島市立安佐市民病院  院長 多幾山 渉

 当院の医師は、ほとんど広島大学の出身者で、私も広島大学原医研外科出身です。いわゆるナンバー外科ではなく、広島大学原爆放射線医科学研究所という機関に所属する外科です。

 学生時代は医学部に剣道部を作り、初代キャプテンを務めました。その時部長になってくれた細菌学の松尾吉恭教授(故人)に外科志望だと言うと、原医研外科の服部孝雄教授(故人)を薦めてくれ、入局しました。

 その後、四国がんセンター(松山市)で16年、医師としての腕を磨きました。今は広島大学出身の医師も少なくないのですが、当時はまだ少数で、外科で赴任したのは私が最初でした。当初は広島大学の外科医が珍しく、いろいろな科の先生が私の手術をのぞきに来られました。しかし出身大学は違っても医者同士。腕を認められたこともあり、信用してもらって仲良くなりました。地元の医師会の先生とも打ち解けた関係になりました。松山という町がとても私に合って、ずっとここで仕事をしたいと考えていたんです。

 四国に食道を専門的に診る外科医は少なく、食道癌関連の会議や学会に行くと都会の先生方から「四国の先生」と呼ばれたものです。それほど私は、松山の人間になっていました。外科医として一番充実する時期を松山で過ごしたわけです。しかし医局の人事で、当院に赴任することになりました。

 当院は昭和55年に開院しています。当時は私も広島にいましたから知っていましたが、190床の田 舎の病院という印象でした。16年間広島を留守にしていましたから、こんなに大きな病院になっているとは思いませんでした。そして大きな病院というだけではなく、頼られる病院だと分かりました。

 四国がんセンターでは救急を診ませんから、帰ってきたばかりの頃はそれが特に新鮮で、忙しさも気になりませんでした。急患は術前の準備や覚悟が全然違いますし、時間との勝負です。癌の診療機能を上げたいという気持ちで帰ってきましたが、急患に対応する時の緊張感は嫌いではなかったし、回復した時の満足感も、予定手術とは違った喜びがあります。

 また、私は外科主任部長で来ましたが、外科医がみんな頼もしく、良い病院に来たなという喜びもありました。

 当院の救急医療に対する役割は大きく、実質3次までを24時間365日受け持っています。救急車の受け入れ件数は年間3千500台程度ありますが、人員を今後も増強し、近いうちに年間4千台を受け入れ可能な体制に補強したいと考えています。

 一方、癌診療に関しては、平成22年に地域がん診療連携拠点病院に指定されました。最近では、県下で3番目、中四国で7番目に患者数が多いという実績もできました。各診療科や部門のスタッフ間の雰囲気や連携も大変良く、お陰で機能を充実させることが出来たと思っています。

 救急医療やその他の症例数の多さから、初期研修病院としての人気も高く、現在14名の初期研修医が当院で研修を受けています。多くの患者を経験させながら、1人1人をていねいに育てています。彼らの中から、毎年何人かは後期研修医とし当院に残っていることは、魅力のある研修体制が出来ている表われと自負しています。

31_02.jpg

移転の候補地は、北西約3㎞の安佐北区亀山南の荒下地区。平成28年に開業するJR可部線の電化延伸の終点に隣接する計画。

 当院には開院当時の建物が残っています。この部分が老朽化しており、早急な建て替えが必要です。当院に救命救急センターを作れない理由の一つは、この建物です。

 また速急な病院機能の拡張が必要で、医療施設や機器の整備が求められていますが、手狭のため、今後どのように解決していくかが悩みの種です。市議会では、現地建て替えと全面移転とで意見が分かれているようです。

 患者さんは広域から集まりますから、200台収容可能な駐車場がいつも満車で、本来なら拡充も必要です。近隣道路の整備をすれば、移転の方が設計の自由度が高いし、病院としての機能をより高いものにできると思います。また、竣工までの医療もやりやすいでしょう。

 しかし、移転か現地建て替えかは広島市が決めることで、現場としては、決まるのを待って全力を尽くすのみです。

 どこに建てるとしても、ハード面を画期的に改善する大きなチャンスです。建てる時の基準ではなく、20年から30年先の拡張を見越した、余裕ある設計を希望しています。

 二次医療圏の区分としては旧市内の病院と同じですが、実情は違います。広島市北部から島根県に至る広大な範囲をカバーする拠点として、より機能できる病院にしなければなりません。

 院長というのは、不測の事態に対応することも重要な仕事の1つですから、常に即応できる余裕がないといけないと思っています。すぐ動けるように時間的に余裕が必要というだけでなく、心にも余裕を持っておかねばなりません。

 医療の現場で起きた課題に対して、職員に余計な不安を感じさせないで、率先して解決して行くことができることこそ、院長に求められる資質だと考えます。そのために、院内の状況を常に把握することが、求められていると思っています。

 いよいよ、新年度より独法化されます。主目的は経営の効率化です。市民の財政的負担を出来るだけ少なくし、より良質な医療を提供することです。私自身、経験したことがありませんので、勉強しながら全力を挙げて進んでいきたいと思っています。必ずや職員も一つになって協力してくれるものと信じています。


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

楽採で医師の採用を「楽」に!

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【著者:仲野 徹】
イメージ:今月の1冊 - 75.こわいもの知らずの病理学講義
こわいもの知らずの病理学講義

Twitter


ページ上部へ戻る