四国で最初に腎臓内科を標榜した伝統を守る
香川大学医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科 河野 雅和
毎年3月の第2木曜日は国際腎臓学会と腎臓財団国際協会によって、「世界腎臓デー」(今年は3月13日)に定められている。今回は腎臓特集として、日本慢性腎臓病対策協議会香川県支部長を務める香川大学医学部の河野雅和教授に話を聞いた。
―教室の特徴を教えてください。
以前は第二内科と呼ばれていて、名前のとおり循環器内科部門と腎臓内科部門、脳卒中内科部門の3つがあります。それぞれに刺激しあって研究している、活気ある教室です。
循環器内科部門では、平成13年の救命救急センター設置後、急性冠症候群の症例が増えました。結果として、冠インターベンションや、カテーテルアブレーションなど、心臓の治療法が急速に発展しています。
平成19年度には新しい心カテ室が新設されており、またアブレーションに関連する最新鋭機器も導入されて、香川県でも質・量ともにトップレベルを維持しているように感じています。
今年の4月1日からは心臓血管学講座とも病棟を同一にします。新病院の新棟3階にCCUを含む心臓血管センターとして、新しくスタートします。
心臓血管センター開設を記念して6月4日午後7時からJRホテルクレメント高松で開設記念祝賀会を開催します。
ゲストにピアニストの鈴木華重子さんや、公益財団法人心臓血管研究所所長の山下武志さんの記念講演を予定しています。
腎臓内科部門では、血液透析の症例数が大変増え、シャント狭窄例に対するPTA施行数や、腹膜透析症例数の増加もあり、院の内外より高い評価を受けています。腎内レニン―アンギオテンシン系を中心とした基礎研究でも素晴らしい成果を上げています。
四国で最初に腎臓内科を標榜した伝統ある部門ですから、これからも四国をリードできるように発展しようと、常々言っています。
この2つの部門では、県内外の中核病院である香川県済生会病院、高松赤十字病院、国家公務員共済組合連合会高松病院、香川県労災病院、心臓病センター榊原病院などに、循環器内科部長や腎臓内科部長を派遣し、平成25年4月からは、岩藤泰慶講師が香川県済生会病院副院長として運営を任されることになりました。15年経たない間に、2つの部門から東北大学医学部と日本体育大学の教授が出ています。
また副科長の大森浩二准教授も香川大学病院教授に昇任しています。
今後も、教授職に着任できるような人がたくさん出る教室にしようと考えています。
脳卒中内科部門は平成25年より、附属病院中央診療部門の脳卒中診療部として新しくスタートしました。
この部門は、脳神経外科学講座と救命救急センター、それに旧第二内科が協力して、脳卒中の専門的な治療を行なう事を目的として組織されました。
新病院においてもこの方針を継続して、県内の脳卒中診療を発展させていきたいと考えています。
―新たな国民病と言われるCKD(慢性腎臓病)の予防法を教えてください。
世界的に末期腎不全による透析患者が増加していて、医療経済上も大きな問題となっています。その中でも糖尿病性腎症からの末期腎不全が世界的に増加しています。日本の成人人口における患者数は約1千330万人で、全国民の12・9%と推計されています。
発症には糖尿病などの生活習慣病による動脈硬化が関与していて、心血管疾患による入院および死亡の危険性が高く、国民の健康が脅かされています。微量アルブミン尿を含む蛋白尿、または腎機能の低下で診断されます。
発症のリスク要因としては、尿異常、脂質異常症、高尿酸血症、高血圧、糖尿病、肥満およびメタボリックシンドローム、膠原病などがあります。これらの要因を持つ方々は、発症前から高血圧、糖尿病などの治療や生活習慣の改善を行い発症予防に努めることが重要となります。