多角的な分析で、医療と経営の質を向上

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メディカル・データ・ビジョン株式会社

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MDV九州支店営業部営業第2ユニット長の水口建二郎さん。中四国の病院に出張することも多いそうだ。

 診断群分類包括評価が全国82の特定機能病院において開始された平成15年、メディカル・データ・ビジョン株式会社(以後MDV)は、医療や健康分野のICT化を目指して設立された。データが活用されることによって医療の質が向上し、医業者だけでなく、患者や生活者など社会全体が潤えば良いと考えたという。現在は医療機関向けだけではなく、製薬会社や健康保険組合を対象としたサービスも提供している。医業を対象とした単なるIT企業ではなく、社内には医療機関向けのセミナーや勉強会を開催する部署や、分析を担当する部署を持っている。2次利用を許諾している131の急性期病院から提供された詳細なデータをもとに、薬剤処方の実態を知ることができるサービスは、製薬会社に重宝されているという。

 MDVの主力商品は、医療機関向けに提供されるDPCベンチマーク分析システムEVEで、全国の702病院で利用されている(平成25年11月末)。医療経営コンサルティング会社である㈱グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンと共同開発したシステムで、他院と比較することによって、自院の特徴を把握し改善項目を明確化させるサービスだ。一番の特長は、疾患・症例別に利益を出している病院を参考にし、適切な在院日数や投薬・注射・処置・検査・画像診断の検討が出来ること。活用することによって、無理に在院日数を減らすことも避けられるだろう。グラフで分かりやすく表示されており、数値や文字列を見慣れていない職員が見ても簡単に理解できる。個別症例の詳細表示が出来るだけでなく、診療科別、担当医別のデータも示すことができるため、病院全体の意識改革に用いられることもあるという。機能評価係数指標を表示し、Ⅱ群病院になるための要件や、機能評価係数Ⅱを上げる指標を知ることもできる。コーディングのサポートも行ない、請求漏れや過剰請求もなくすことが可能だ。院内感染率などのデータも示すことができるため、経営だけではなく、医療の質を上げることにも貢献している。利用する個々の医療機関に専用サーバを置くので、処理速度は早く、ストレスを感じることもない。

病院向け経営支援システム Medical Code

 MDVのEVEが、出来高請求とDPC請求の差額分析、患者数や在院日数などの各種指標を分析するシステムであったのに対し、Medical Codeは収入とコストを比較するためのツールだ。

 ほとんどの病院は原価計算をしておらず、また計算している病院でも活用できていないケースが多い。活用できない理由は、原価の元データを整理できていないことと、診療科別など大雑把な情報でしかなく、経営に利用できるデータではないことだ。MDVでは細かいデータを用いることで、経営を改善させることを提案している。

 診療科別の損益指標を一覧にできるほか、診療科別に外来と入院で収益と費用、利益を月別推移グラフで表示することができる。人件費や材料費、設備関連費などの費用内訳を視覚的に表示し、収益が少なかった月の原因も理解しやすい。機能性指標や収益性指標など、病院経営指標を他院と比較することによって、自院の立ち位置を理解できる。

 利益の目標は分かりづらいが、損益分岐のグラフを見ることによって、売上高に換算することも可能で、目標利益を入力しシミュレーションさせることによって、患者数や診療単価の目標を表示してくれる。目標が分かれば、達成のための方法も考えやすい。

 このサービスの最大の特徴は、患者毎に日別の損益を表示でき、それを疾患別、DPC別、病棟別、診療科別、クリニカルパス別などといった多彩な方法で集計し、改善のための指標が見えることにある。

 その病院にとって「経営上何日で退院させると最も利益が出るのか」「検査の外来移行が本当に必要なのか」「どのタイミングで亜急性期病棟に移せば利益が出るか」「化学療法は外来と入院のどちらで行なう方が、利益をより出せるのか」などを疾患別に知ることができる。疾患によっては、入院が伸びても利益が出る場合もあるし、在院日数が1日伸びることによって、急激に損益へと転じるものもある。当然患者によっては、最も利益の出る方法で対応できるとは限らないが、医師がそれを知っているのと知らないのとでは、診療に大きな差が出るだろう。

 また病院の収益は、医師だけの努力で改善するものではない。

 このサービスでは原価計算以外にも、肺血栓塞栓症予防管理料、薬剤管理指導料、栄養食事指導料、救急医療管理加算などの算定状況を把握する機能もある。他院と比べることによって、自院が出来ていない部分が明確化されるし、人員の補充計画も立てやすい。人員一人当たりの算定件数も、他院と比較することができる。各種加算を増やすことによって、医療の質と患者満足度を上げ、経営も改善することができるが、薬剤部などの各関連部署にデータを示すことによって、算定率向上につながるだろう。

 そのほか後発医薬品への切り替えなど、薬剤処方の状況も知ることができる。他院の状況を参考に、改善の計画を立てるために活用ができる。

 その他DPCと電子レセプトのデータを使って、様々な指標を作成することもでき、事務の効率化をはかることもできる。

 このサービスの月別推移データを基に、ボーナスの査定をしている病院もあるそうで、アイデア次第では経営改善以外の目的に使うことも可能だろう。

 問い合わせはTEL:03(5283)6911(代表)まで。(取材=平増)


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