【広い視野で捉える】持続する病院

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迎えた変革期 考え方も転換を

 医療機関は「自院の経営課題」だけにとどまらず、「国」「地域」の課題とも対峙(たいじ)しなくてはならない時代に入った。膨大な情報が飛び交う中、何を注視して、どう次の行動につなげていくべきかー。おさえておきたいポイントを考える。

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2016年総務省「公立病院経営改革事例集」

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2016年厚労省「医療施設調査」

減り続ける病院

 全国各地、どこに住んでいても、等しく質の高い医療を受けることができる―。

 そんな医療環境の整備を目指して、国は「医療サービスをあまねく届ける」ための政策を推進してきた。「量」を重視した政策によって、病院数は増加。ピーク時の1990(平成2)年、約1万100施設に達した。

 高齢化、人口減少、経済成長の鈍化、地域格差の拡大といった社会環境の変化に伴い、病院数は漸減。現在、8425施設となっている(2017年9月厚労省)。

 なお、47都道府県別でみると、最多は東京都で648施設。最も少ないのは島根県で51だ。

高齢者はどこへ行く?

 65歳以上の高齢者人口のピークは2042年の3935万人。高齢化率は2065年に38.4%となる(2017年4月国立社会保障・人口問題研究所)。国民医療費も伸び続けている。在宅を後押しするために「治し支える」医療ニーズが高まるのは間違いない。

 ただ、あらためて踏まえておきたいのは「日本中が同じように高齢化、少子化していくわけではない」という点だろう。

 高齢者は都市部に集中する。2010年から2025年の間、高齢者人口が増加するうち、東京都をはじめ、大阪府、神奈川県、埼玉県、愛知県、千葉県、北海道、兵庫県、福岡県を合計しておよそ60%を占めると予測されている(2013年3月同研究所)。

 9都道府県と38府県の人口の開きは、急激に進んでいるのだ。

 人口動態が地域医療に及ぼす影響は大きい。単に「地域医療=高齢者に対応できる医療」と捉えるのではなく、将来的にどれだけの人が「残る」地域になるのか、そこでどんな医療が必要とされるのか。長期的な視点に基づく経営戦略が求められる。

 そうした中、地域における医療機関の柔軟な動きも目立つ。2015年10月から2016年9月の1年間で病床の規模を変更した病院は423施設。増床は122施設、減床は301施設あった。

 全国すべての病院の病床数を合わせると155万7958床。地域医療構想の推進などを反映して減少傾向にある。

 また、国は2015年に策定した「新公立病院改革ガイドライン」による公立病院の経営改善を進めている。

 内閣府は改革の効果を分析。報告書「公立病院改革の経済・財政効果について」(2016年8月)の中で、「距離の近い公立・公的病院との統合・再編や、公営企業法の全部適用を検討することも有効であると考えられる」としている。

 162病院の統合・再編などを主な要因に、2004年から2014年の10年間で、公立病院の数は999施設から881施設と「118」減少した。地方独立行政法人化( 69病院)、指定管理者制度導入(21病院)なども進み、経常収支が黒字の病院の割合が約3割から約5割に改善するなど、取り組みは一定の成果を上げている。

求められる「何ができるか」

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取材協力
平井公認会計士事務所
平井 恵介 所長

 医療機関を専門にサポートする平井公認会計士事務所(福岡市)の平井恵介所長は「国は『保健医療2035』(2015年)でも提言されているように、従来の量の拡大から、質の改善への転換を図っている」と語る。

 まさに医療の変革期に差しかかっている今、「まずは日本の現状、次に地域の動向、そして自身の病院と、マクロからミクロへ段階的に情報を整理していくことが重要だ」と強調する。

 また、「設備や人員配置を評価していた時代からアウトカム(成果)を評価する時代に移行していくだろう。医療機関に共通する課題は人材の確保。限られた医療資源をいかに効率的に活用し、成果を残せるかが問われる。リハビリを何時間やったかではなく、何ができるようになったか。そうした具体的な成果がますます重視されていく」。

 機能分化の中で「何ができるか」「患者が訪れるべき理由は何か」を明確に示すことのできる医療機関を目指す必要があると、平井所長は説く。

 「患者に選ばれることはもちろん、医療者に選ばれなければ質の高い医療は維持できない。さまざまな情報や経営のノウハウを学ぶ手段は多くあるが、最終的には、それを実行する人材の質に集約される。経営層がミッションとビジョンをしっかりと掲げている医療機関には、人が集まってくるのではないかと思う」

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