「立ち位置」明確に 欠かせない病院になる
1983年筑波大学医学専門学群卒業。東京女子医科大学第二病院心臓血管外科、顕正会蓮田病院循環器科部長、三和会東鷲宮病院循環器・血管外科、副院長などを経て、2017年から現職。
新築移転から、約4カ月。ハード面のリニューアルは、職員の意識をさらに前向きにするきっかけにもなった。水原章浩院長は、「課題はまだまだあるが、自信を持って『この病院に来てください』と言える」と頬を緩ませる。
地域のニーズに応え4部門を強化
―移転をきっかけに充実を図っている部分を。
健診センター、リハビリテーション、透析、小児科を強化しました。
健診に関しては、新たにMRIを導入するなど、高性能の医療機器を整備しました。定期的に健診を受ける大切さや疾病の早期発見の必要性を訴えるなど、啓発活動にも力を入れ、地域の方の健康維持や疾病の予防に貢献したいと考えています。
リハビリでは、リハビリ室のスペースを広げ、スタッフも増員しました。患者さん一人ひとりに合ったリハビリの提供を通して、在宅復帰やADL向上を、後押ししています。
人工透析センターは、透析用ベッド、チェア合わせて37。オンラインHDF、夜間透析、腹膜透析や在宅血液透析にも対応しています。高齢化が進む中、さまざまな診療科と入院施設がある当院での透析の需要は、さらに高まると考えています。
小児科医も1人増員。入院は受けられませんが、外来はほぼ毎日、医師2人体制で診療しています。東京のベッドタウンとして、若い世代が多く移り住んでいるこの地域を、小児医療の面からも支えていきたいと思います。
電子カルテ導入をさまざまな利益に
―そのほかに変化は。
一番大きな変化は、電子カルテの導入です。同時に、外来を予約制に変更。試行錯誤しながら、電子カルテを活用し、患者さんの利益につなげていきたいと思っています。
検証は今後ですが、これまで2時間ほどかかっていた受付から会計までの時間が大幅に短縮できるのではないかという手ごたえを感じています。院内の情報共有や地域連携をスムーズにするためにも、力を発揮するのではないかと思います。
日中の常勤時間帯の救急は何が何でも受け入れたい
急性期から在宅までつなぐ「仲介役」を
―地域連携については。
高度急性期や急性期を担う「新久喜総合病院」「済生会栗橋病院」が、軽症の患者さんを診るということは避けたい。当院で診ることができる患者さんはここで診て、脳梗塞や虚血性心疾患など緊急性の高い患者さんは急性期病院に送るという役割をしっかりと果たしていきたいと思います。
私もかつて急性期病院にいました。急性期病院の忙しさが実感としてわかります。だからこそ、患者さんをまず診て、重症度や緊急度に応じて「振り分ける」部分は、当院が担いたいと思うのです。
ただ、夜間や休日は当直医が1人ですので、すべての患者さんを引き受けることは困難です。今の目標は、日中の常勤の時間帯の救急については、「何が何でも受け入れる」。さらに必要があれば急性期の病院へと送る。職員とともに、この徹底を図っています。
同時に、急性期病院には、治療を終えた患者さんでリハビリが必要な方や褥瘡(じょくそう)で困っている方がいれば、当院に紹介してほしいとお願いしています。とても良い連携がとれていると思っています。今や、医療は病院の中だけでは完結しません。訪問診療や訪問看護、介護も必要です。当院には訪問看護ステーション「コスモス」もありますし、訪問リハビリにも力を入れています。私も週1回、訪問診療に出かけています。居宅介護支援事業所「ケア・アシスト東鷲宮」も併設しています。
当院は現在、一般病床95床、医療療養病床36床、回復期リハビリテーション病床32床の計163床です。地域の中で、当院の立ち位置がはっきりとしてきました。急性期病院、在宅医療に関わる診療所や訪問看護ステーション、さらには介護事業所など、さまざまな施設をつなぐ仲介役でありたいと思います。
医療法人三和会 東鷲宮病院
埼玉県久喜市桜田2-6-5
TEL:0480-58-2468(代表)
http://www.washinomiya-hsp.or.jp/