鳥取大学医学部感覚運動医学講座 皮膚病態学分野 山元 修 教授

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皮膚病理ができる後進を一人でも多く育てたい

【やまもと・おさむ】 1982 鳥取大学医学部卒業 1984 産業医科大学皮膚科助手 1992 米ボストン大学医学部皮膚科 2001 産業医科大学医学部皮膚科助教授 2004 鳥取大学医学部感覚運動医学講座皮膚病態学分野教授 2018 同医学部長特別補佐

 開講70年を超える伝統が息づく鳥取大学医学部感覚運動医学講座皮膚病態学分野。2004年からこの教室を率いる山元修教授に、医局の特徴や最近のトピックス、今後の展望を聞いた。そこにあるのは、皮膚病理への強い思いだ。

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―医局の特徴は。

 私の教室づくりのお手本は、産業医科大学皮膚科元教授の故・西尾一方先生です。皮膚病理組織学の権威で、私は先生が亡くなるまで5年師事しました。

 当教室は、形態学(皮膚病理)、真菌研究、悪性腫瘍が3本柱。中でも形態学と真菌研究を行っている皮膚科の教室は全国的にも少なく、"絶滅危惧種"と言えるかもしれません。

 とはいえ、テーマは三つだけに限らず、自由をモットーにしています。チームも10人余りと少人数で、常に和気あいあいとしており、萎縮せずに思ったことを自由に発言し、自由な発想で研究することを奨励しています。

 最近は、スイスから帰国した杉田和成准教授と新しい試みに取り組んでいます。杉田准教授は免疫学が専門で、私は皮膚病理が専門。二つの学問はこれまでかみ合わなかったのですが、新しい解釈や知見をもとに両者の融合が可能ではないかと考えていますし、少しずつ形が見えてきました。

 優秀なスタッフには恵まれていますが、山陰全体で見ると人員が充足しているとは言い難いですね。鳥取大学の卒業生も残る率は少ないですし、さらに病理専門となると本当に少ない。人材の流動化が進んで都会から人が移ってきてくれるとうれしく思います。

―今、関心を寄せているテーマは。

 これまで皮膚腫瘍を中心に研究してきましたが、最近は炎症性皮膚疾患にも力を入れています。この分野は初期、極期、慢性期と時期によって見た目がバラエティーに富んでいるのが特徴です。

 代表的な尋常性乾癬(かんせん)もそうですが、特に初期から極期にかけての変化が非常に激しい。それがなぜ起こるのか、どういう状態なのか、実はよくわかっていないことも多い。ただ、じっくり比較すると真菌感染症に酷似していることがわかります。これを論理的に推測することに知的好奇心を覚えます。

 私が大事にしている言葉に「拾えるものは根こそぎ拾え」というものがあります。皮膚病理学者が行うことは、事件を推理して解決していくことと似ています。少々乱暴な言葉ですが、対象をじっくり観察して目にしたものを思い込みや先入観で除外したりせず、すべて拾うことが重要なのです。

 事実という証拠をできるだけたくさん集めて机に並べ、先人の教えを参考にパズルを合わせるように独自のストーリーを組み立てる。例えば、一部の慢性湿疹で中央が白色化するのはなぜなのか、化粧品で白斑が出るのはなぜか。観察で得られる事実には必ず意味や必然性があります。そのメカニズムを解明していく。ここに私は皮膚病理を掘り下げていく魅力ややりがいがあると思っています。

―今後の展望を。

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 私の最初の師匠である西尾先生は59歳でお亡くなりになられました。私はすでにその年齢を過ぎました。残された期間、皮膚病理の発展のためにこの身を捧げたいと強く思います。

 この仕事は職人芸のような部分があります。かつては「何も教えない。おれを見習え」という姿勢で後進と接するのが「当たり前」でした。しかし今は、それではだめだと思うのです。

 実際の病理画像を見せながら、丁寧に教える。そうやって基礎を固めることが必要です。そのあとには、1万例でも2万例でも病理組織を見せればいい。ポテンシャルを持っている人を一人でも多く開花させ、次の世代にバトンを渡したいと考えています。

鳥取大学医学部感覚運動医学講座 皮膚病態学分野
鳥取県米子市西町36-1
TEL:0859-33-1111(代表)
http://hifuhp.med.tottori-u.ac.jp/


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