医療法人愛精会 あいせい紀年病院 森 隆夫 理事長

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医療が届かない部分にもっと目を向けてほしい

【もり・たかお】 1982 日本医科大学卒業 同精神医学教室入局 1987 医療法人愛精会あいせい紀年病院理事長 1996 日本医科大学連携准教授 2004 日本精神科病院協会常務理事 2017 同副会長

 今年、開設70年の節目。これまでの歴史や取り組みを振り返るとともに、森隆夫理事長が「いい医療」のために大切にしていることを聞いた。

―開設は1948年。

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 まだ県内に精神科病院が少なかった時代です。地域における精神科医療の必要性の高まりを背景に、名古屋大学の要請で、祖父が所有する土地に病院建設計画が持ち上がりました。前身の「愛精病院」です。

 医療者の家系だったわけではありませんから、病院長には名古屋大学の医師が就任。祖父は出資者として運営に携わりました。その後、医療法人となり、2代目として理事長に就いた父にしても、本業は発明などに打ち込む実業家。私自身も、もともと医師を目指していたわけではありませんでした。

 転機を迎えたのは16歳のころです。骨肉腫を患い右足を切断しました。医師を志すようになったきっかけです。日本医科大学の精神医学教室に入局後、母が他界し、父に末期のがんが見つかりました。私が継がなければ、病院が存続できなくなってしまう―。

 そんな状況になり週の半分は大学での教職、もう半分は理事長職と、17年ほど東京と名古屋を往復する生活が続きました。大学で担当した患者さんについても責任をもって診療したいとの思いから、現在も定期的に日本医科大学付属病院での外来診療を続けています。

―精神科医療の課題は。

 高齢化に伴って精神科領域でも転倒による骨折の事例が増えています。しかし手術を受けた医療機関に精神疾患に対する体制が整っていなかったために、リハビリが十分でないまま退院。結果、歩行が困難な状況となって当院に戻り、再び入院生活が始まる。そんな患者さんが少なくなかったのです。

 そこで、自分たちでなんとかできないだろうかと考え、2001年に整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科を開設しました。現在、県内全域から患者さんを受け入れています。

 精神疾患の患者さんに必要な医療や介護は非常に多岐にわたります。数多くの患者さんがいる疾患を対象とした診療のシステムなら、さまざまな仕組みが確立されている。でも精神疾患のように、一人一人への細やかな対応が必要なことに対しては、なかなか手を差し伸べる人がいないというのが現実だと思います。

 整形外科などを開設したのも、それを少しでも変えることができればと始めた取り組みです。「現在の医療が届かない部分」に目を向けてくれる人が、もっと増えてくれればと願っています。

―院内での取り組みは。

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 私の専門領域は脳。体の複雑な機能を束ねる脳のように、当院で働くエキスパートたちの力をうまく統合し、また誰もが情報を共有できる仕組みを整備したいと考えました。

 そうした発想を出発点として構築した院内ネットワークシステムは「透明化」を重視しています。職種にかかわらず、すべての職員が、あらゆる端末からアクセス可能。各種の会議の内容、各病棟で起こっていること、院内の図書館の本の貸し出し状況など、できうる限りの情報を一元的に管理しています。一部の役職者には会計情報も開示しています。

 病院がどんな方向を目指しているのかが分かりますし、そこに自分たちの役割や働きがどう関係しているのかも理解できる。そんな効果を期待しています。

 患者さんにいい医療を提供するには、患者さんを支える職員がいい環境で働いていることが大事。だからこそ透明性の高い経営を心掛け、職員の頑張りに応えたいと思います。

 人口減が加速し、将来的に病院はダウンサイジングせざるを得ないでしょう。そのとき、職員をしっかりと守ることができるよう、国の動きや未来に目を向けることのできる経営者でありたいと思います。

医療法人愛精会あいせい紀年病院
名古屋市南区曽池町4-28
TEL:052-821-7701(代表)
http://www.aisei-hp.or.jp/


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