術後の状態を視覚的に患者さんに伝える / 3次元力学シミュレーションを独自開発

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香川大学 自然生命科学系(医学部)形成外科学講座 永竿 智久 准教授

【経歴】私立 開成中学校・高等学校卒 1990 年 慶応義塾大学医学部卒 1990 年 慶応義塾大学病院形成外科研修医1991 年 富士重工総合太田病院外科医員 1994 年 静岡赤十字病院耳鼻咽喉科・気管食道科医員1995 年 国立弘前大学形成外科文部教官助手 1996 年 慶応義塾大学形成外科専修医 1998 年 大田原赤十字病院形成外科副部長 2000 年 栃木県立がんセンター頭頸部外科医長 2002 年 慶応義塾大学病院形成外科助手 2005 年 慶応義塾大学医学部講師 2011 年 慶応義塾大学医学部専任講師 2012 年 慶応義塾大学医学部准教授 2014 年国立香川大学医学部准教授

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■香川大学形成の特徴

 香川大学形成外科には約10人の医師が所属しており、中四国地方ではもっともマンパワーの充実した形成外科のひとつです。

 形成外科全体の手術数としては、所属医師がほかの病院で施術する数も含めると、全身麻酔手術と局所麻酔手術を合わせて年間300例以上になります。また、形成外科手術は結果が外観でわかることが多いため、不安になりがちな患者さんのために、ホームページではふんだんに写真を使って手術についてわかりやすく説明しています。

■ライフワーク

 私自身は漏斗胸手術を専門にしており、いわばライフワークとしてこの手術を極めたいと考えています。

 漏斗胸の原因としては、遺伝的な要素もありますが、ひとつの原因だけで生じるものではありません。かつては1000人に1人が発症するまれな疾患だと思われていましたが、最近になって300人に一人程度までに患者さんの数が増えています。

 私見ですが、発症率は現在も過去も変わらないのではないかと思います。おそらく、「漏斗胸手術は難しい手術だ」という認識があったために放置していた例が多かったのでしょう。

 以前は手術法が確立されていなかったために大がかりな手術になりがちで、胸に大きな傷を作って、肋骨のくぼんだ部分を入れ替える手術が行なわれていました。

 しかし、現在の漏斗胸手術については技術革新が目覚ましく、内視鏡手術も格段に進歩しましたので、はるかに小さな傷で手術することができるようになりました。

 手術する際の身体に対する負担が減ったのは大きいですね。患者さんが増えたというのは、手術例が多くなったために患者さんが病気を自覚する率が増えたということなのだと思います。

■力学モデルの採用

 専門分野の漏斗胸に関しては、世界的にも珍しい先端技術を持っています。漏斗胸手術においては、たとえば、胸部のくぼんでいる部分を持ち上げる手術をする際に、どこを持ち上げるべきなのか、どの軟骨を切るのか、あるいは残すのかという手術設計がとても重要になります。計画をおざなりにすると、手術後の胸部がいびつな形になってしまうんです。

 形成も外科の一部ですので手術法に大きな差はありませんが、形成外科ではどの肋骨を取るのか、あるいは残すのかという「選択肢」が非常に多い。

 一方、無数にある選択肢からどの方法を選ぶのかについては、多くの場合は直観でやっているようです。それでうまくいく場合もありますが、患者さんの側に立てば、ほとんどが人生で唯一の手術ですから、もっと慎重にやるべきではないかと考えていました。

 そこで、オーダーメードの手術プランを提供するために私と慶応大学理工学部が共同開発したのが、コンピュータを用いた3次元力学シミュレーション(有限要素モデルを用いた解析)です。

 このシステムでは漏斗胸手術だけではなく、たとえば骨にボールがぶつかるとどういう経過を経て骨折が広がっていくのかということなどもCG動画でリアルに視認することができるんです。

 世界で香川大学だけが持っている技術で、この分野に関しては香川大学形成外科は日本一であると自負しています。

 ホームページにもCGを載せていますが、静止画ではなかなか伝わらないようですね(笑)。

 患者さんに最良の医療を提供するためになにをすべきか。必要であれば可能な限りのハイテク技術を駆使して、患者さんの人生の質を高めるために努力していきます。


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