香川大学医学部・医学系研究科 内科学講座 血液・免疫・呼吸器内科学 門脇 則光 教授

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無限の可能性が広がる「がん治療」

【かどわき・のりみつ】 1986 京都大学医学部卒業 天理よろづ相談所病院レジデント 1991 京都大学大学院医学研究科血液病態学大学院 1995 同研修員1996 米国DNAX Research Institute ポストドクトラルフェロー 2000 京都大学医学部附属病院第一内科(現:血液・腫瘍内科)助手 2005 同大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学講師 2010 同准教授 2015 香川大学医学部血液・免疫・呼吸器内科学教授

 香川大学血液・免疫・呼吸器内科学講座は「血液内科」「膠原(こうげん)病・リウマチ内科」「呼吸器内科」という三つの専門科で構成されている。

 「臨床医学のサイエンスとアートを究める」をモットーに掲げる同講座の門脇則光教授に話を聞いた。

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◎幅広い領域が学べる

 内科の中でも患者さんの数が多い循環器分野と消化器分野は、一定以上の規模の病院であれば、「循環器内科」「消化器内科」といったように、その診療科の名前がついた科として存在しています。

 一方、それ以外は「内科」とひとくくりにされがちです。私たち血液・免疫・呼吸器内科学も、そうした科の一つです。

 しかし、当教室は血液疾患、膠原(こうげん)病・リウマチ疾患、呼吸器疾患と幅広くカバーしており、内科の根幹を成す科だと言っても差し支えありません。

 総合内科的なことを学ぶことができますし、血液、免疫、呼吸器それぞれの専門を深く学ぶことも可能です。

 血液疾患や膠原病などは外科系や消化器内科などのように、疾患を視覚的に認識できる科ではありません。データを基に頭の中で類推する能力が求められます。だから「何をやっているのか分からない」「難しそう」だと思われがちなのです。

 今後は、具体的にどんなことをしている科なのかを分かりやすく伝えていく必要性を感じています。

◎「謎解き」の要素

 当教室は、体を動かすことが好きな人よりも、どちらかといえば、デスクでじっくり物事を考えることが好きな人の方が性に合っているでしょう。

 臨床実習では、学生にデータを見せて「このデータから考えられることは何でしょう」とクイズ形式で講義をするようにしています。みなさん興味津々で聞いてくれますね。

 もちろんベッドサイドでの基本的な手技も学べます。血液内科では超音波検査、中心静脈のカテーテル、穿刺手技など。膠原病リウマチ内科では関節の超音波。呼吸器内科は気管支鏡検査などです。

◎進化した免疫療法

 高齢社会になって、がん治療の需要が増していくことは間違いありません。

 2014年に発売されたニボルマブ(商品名・オプジーボ)の登場で、がんの免疫療法は飛躍的な進化を遂げました。

 私は長年、がんの免疫療法に携わってきました。しかし、正直な話、10年ぐらい前には現在のように免疫療法が注目されているとは、まったく想像できませんでした。それぐらい予想をはるかに越えるスピードで進歩しているのです。

 免疫療法と他のがん治療(手術、化学療法、放射線治療、分子標的療法)を組み合わせた複合的ながん治療には無限といっていいぐらい発展の余地があります。

 今の若い人が中堅、ベテランになる10年後、20年後に、がん治療がどれほど進化しているかは予想できません。

 ただ、多くの手の施しようがない患者さんたちに良い医療を提供できているのは間違いないでしょう。

◎研究の意義

 この分野はベッドサイドとベンチが短い距離で、双方向でつながっています。研究したことが他の分野に比べて早く臨床応用されるのも特長です。また患者さんの血液や骨髄液などの検体が入手しやすく、研究環境に恵まれています。

 治療法の進歩が速く、のんびりしていると流れに取り残されてしまいます。だから、早く研究成果を出すことを心がけています。

 みんなが臨床だけをして研究をしなくなったら、医療の進歩は止まってしまいます。

 基礎研究者は臨床的な感覚が希薄なので、臨床の場で、その研究が実用的なのかどうか分からないのはやむを得ないでしょう。

 基礎研究だけをする人と、臨床だけする人しか存在しなくなると、医療は進歩しません。だから研究と臨床、両方の経験を持つ医師が必要とされるのです。

 研究をすることは重要です。最終的に臨床に専念するにしても、一時期、研究に打ち込む時期があれば、科学的に考える姿勢が身につき、診療のグレードが上がるでしょう。

◎留学のススメ

 当教室では国内、海外を問わず留学を奨励しています。外に出て行くと刺激になるし、視野が広がるからです。

 ずっと同じ場所で、同じメンバーといても、発展がないし、考え方に幅が生まれません。

 特に海外に出ると、とても能力が高い人に出会え、世界における自分の立ち位置を把握できます。

 私は1996年から4年間、アメリカに留学しました。留学して良かったと思うことは、日本という国を客観的に見られるようになったことでしょう。

 海外にいて、ほかに日本人がいない環境だと、「自分は日本人だ」と強く意識するようになります。

 また日本が他国の人からどう見られているかを知ることもできるようになりました。すごく貴重な経験でしたね。

◎働きやすい環境

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 当教室は、とてもまとまっています。教室員はみなさん自主性があり、やる気に満ちているので、私があれこれ細かい指示を出す必要がありません。

 院内の検査部門や病棟で働く、ほかの職種のスタッフとの関係も良好です。

 香川県は本州へのアクセスが良く、とても住みやすい土地です。気候が穏やかですし、平地が多く、面積が狭いので移動もしやすいですね。

 県内の医師同士の交流も密で、和気あいあいとしています。地域全体でみても、とても住みやすく、働きやすい環境だと言えるでしょう。

香川大学医学部・医学系研究科 内科学講座 血液・免疫・呼吸器内科学
香川県木田郡三木町池戸1750-1
TEL:087-898-5111(代表)
http://kagawa-ichinai.jp/


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