独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 院長 佐藤 利雄
岡山市の中心から北へ約10㎞、桃太郎伝説で名高い笹ヶ瀬川と山野に囲まれた閑静な環境にあり、岡山駅より約8㎞、山陽自動車道岡山インターより約0・5㎞、岡山空港から約10㎞という交通の便にもめぐまれた立地条件にある岡山医療センター。病床数は609床、診療科は26。「人にやさしい病院」の理念のもと、患者、地域住民、職員にやさしい病院を目指している。
今年の4月から院長に就任しました。
先ずは2025年問題に備え、新しい診療体制を確立し、継続していかなければならないと考えています。
全国の約1500の急性期病院が参加している「診断群分類包括医療費支払い制度」において、難度の高い手術や、医師研修の実施、重症患者に対する診療の実施などの要件を満たす高診療密度病院群(Ⅱ群)90病院の中に前回選ばれ、今年3月にもⅡ群99病院の中に選ばれました。これからも当院は、急性期高度専門医療を主体に各科の連携のもとに総合的な診療を提供します。命の瀬戸際とも言うべき判断に迫られる時、信頼されて選ばれる病院でありたいと考えています。
在院日数短縮の取り組みで現在、平均在院日数が、11・5日とその努力
このたびの診療報酬改定で、短期入院の手術・長期入院のカウント方法が変わります。当院は短期入院の手術は少ないので、それほど大きな影響はないと予測しています。長期入院の患者さんには病病連携・病診連携のパイプを太くし、患者さんにとって必要な治療を続けていきたいと思います。
これからの病院は「機能分化」と「地域連携」がキーワードです。当院が担っている急性期、高度医療を強化し、慢性期や回復期リハビリテーションなどの領域は、医療圏内のそれぞれの診療所や病院などと連携を深めていきたいと思っています。
当院は岡山市北区御津金川にある金川病院も運営しています。もとは町立病院だったのですが、市町村合併に伴い市立病院になり、平成24年に岡山市からの運営委託を依頼され、運営することになりました。金川病院には地元医師会地域医療連携室があるので、地域医療の要になるものと考えています。
岡山県は、県南東部、県南西部、県北にと3つに分かれています。県南東部は岡山市が中心で、500床クラスの病院がたくさんあり、大学病院もあります。県南西部は倉敷市が中心で、倉敷中央病院や川崎医科大学付属病院があります。我々が属する県南東部は慢性期病院が少ないのが現状です。
当院は岡山市中心部から北と県中部から東部の患者さんを中心に診ているので、地域の各医療機関との連携を今後ますます深めていかなければなりません。
病院の敷地内に附属看護学校があります。当院が岡山駅の近くから平成13年にこの地に新築移転した時にいっしょに移転してきました。
当初、看護学科は定員80名でしたが、現在は120名に増加しました。平成23年からは助産学科を設けました。定員は20名で、2つの科を合わせて定員140名で運営しています。
卒業したみなさんが全員当院に入ってくれたらいいのですが、県外から来る人も多く、なかなかそうはいきません。
看護師の確保が当面の課題になっています。
看護師と医師のチームワークが悪いと、円滑な診療ができませんから、本当の意味でのチーム医療を確立しなければなりません。フルタイムで夜勤可能な看護師が不足しているので、最近は医師が看護師のサポートをするなど、それぞれの負担を軽減する体制を作っています。
本来、医療はやりがいがあり、努力に応えてくれる仕事です。医療従事者全員がそれを感じられるような職場環境作りを心がけています。
医師になって30年がたち、日本の医学の進歩をひしひしと感じています。私は呼吸器内科で、医師になった当時は肺癌、喘息など、なかなか治らない疾患が数多くありました。医学の進歩に伴い、いい薬や機器が開発され、昔なら長生きができなかった患者さんも寿命が延びました。呼吸器の癌も他の臓器の癌に比べると治療がむつかしかったのですが、治療法が格段に進歩をとげています。しかし間質性肺炎など、治療がむつかしい病気もたくさんあり、臨床の現場においても我々がより良い診療を求め続けることが大切だと考えています。
人はどう生きたら幸せを感じることができるのか。自分の課題として考えるようになりました。