新病院を建設中 平成26年7月竣工予定

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広島医療生活協同組合 広島共立病院 院長  村田 裕彦

 昭和52年に建てられた広島共立病院本館は平成15年、増築計画の予備検査の際に実施された耐震性調査で「コンクリートの中性化が進んでいる」と診断された。中性化で圧縮加重を受け持つコンクリートの強度は変わらないが、アルカリ性によって中の金属を酸化から守る役割もあるため、大地震の際に倒壊する危険がある。加えて、多様化した病院機能を支えるスペースの不足や、新たな機能を持つために、病院は新築されることになった。今年3月に着工し、来年7月に竣工予定。

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村田院長の趣味は写真で、今回の記事にも1枚提供していただいた。音楽を聴きながらドライブして写真を撮りにいきたいが、なかなか行けないらしい。普段は院内にあるメディカルフィットネスで汗を流すのが楽しみ。
1976 年に修道高校を卒業し、1983 年鳥取大学卒。学生時代は合気道と、ボートを少しやっていた。大学卒業後は山梨勤労者医療協会入職。1985 年に広島共立病院着任。専門は循環器内科で「臨床一筋、ひたすら臨床ですね」とのこと。内科部長、副院長を歴任し2008 年に院長就任。広島医療生活協同組合では常務理事も務めている。実家も住居も、病院と同じ安佐南区にある。

―今新しい病院が建っている場所は、以前は何だったのですか。

 「いつか病院を作ろう」ということで駐車場にしていた土地に工事を始めました。駐車場にする前は農地です。この辺りは今広島のベッドタウンですが、以前は農業が盛んだったんです。現在は広島市安佐南区ですが、昭和40年代に合併した地区で、街に出ることを今でもこの辺りの人は「市内に行く」なんて言葉を使っています。ここも広島市内なんですけどね。医師会も郡部だったころの名残で、このあたりは安佐医師会という広島市医師会とは別の組織です。私も今、安佐医師会の理事をしています。

 当院の成り立ちには、この地区に医療を提供できる施設がなかったことが大きく関係しています。地域の要請が大きく、それで医療生協が病院を作ったわけです。一番古い本館を昭和52年に建て、昭和62年と平成16年に建て増しをしています。

―大きな病院にはアクセスのしやすさも求められますね。

 駅や国道183号のバス停には一歩近づきます。徒歩だからだいぶ違いますね。ここはアストラムライン(広島高速交通広島新交通1号線)の大町駅(JR可部線大町駅が併設)と古市駅のちょうど中間ぐらいです。どちらかにもっと近かったら良かったのですが。少し動いただけですが、公共交通機関へのアクセスは大きく改善されています。

 ここは以前農地だったので、道が狭いのが欠点です。新しい病院はできるだけ広い道に接続したかったのですが、国道は少し遠かったので、安川沿いにある土手の市道に接続できるようにしました。土手部分に橋を架け、2階の前を通って駐車スペースに下りられるようにします。広い道に接していますので、入りやすくなると思います。救急車も、2階の広い進入路に入れるようになります。

―救急医療に力を入れていますね。

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工事中の病院と、奥に現病院。安川に架かる小瀬歩道橋から撮影。手前に見える市道に病院への進入路が接続し、救急車が入りやすくなる。直上にある高圧送電線の影響で、工事は簡単ではない。(8月30 日撮影)

 現在も近隣に大きな病院は少なく、必然的に救急に力を入れている病院です。安佐南区の、救急車で病院に収容される患者さんの3分の1は、当院に搬送されています。入院患者の6割が当日の緊急入院で、急患の多い病院です。

 新しい病院では、2階に4床の処置室を持つ救急センターを作ります。CTやMR、血管撮影装置などの放射線センターや内視鏡、手術室が同一フロアにあるので、専門的な検査・治療にスムーズに移行できます。また、救急車で搬送される疾患は内科的疾患が多いですから、循環器と呼吸器を中心とした内科急性期病棟も同一フロアに置き、入院への移行もスムーズに進めることができます。高額機器が2階フロアにある理由には、洪水で川が決壊した時の被害を最小にするための対策という側面もあります。土手の市道から2階に橋を架けるので、救急車の入りやすさは今の病院に比べてだいぶ良好になります。外来のフロアは1階ですので、救急患者さんの搬入と一般診療の患者さんは交差しません。救急に限らず、急性期医療は充実させます。手術室も1室増設して4室にします。現在は外科と整形外科が使っていますが、将来的には診療科を増やしていきたいと思っています。急性期医療に加え、回復期リハビリテーション、緩和ケア、疾病の早期発見と予防の4つが、新病院で重点的に取り組む項目です。回復期リハビリテーション病棟は、制度ができてすぐに作りました。

 このほか当院は社会的な医療に力を入れています。青木克明前院長はまだ現役で、当院の健診センター長として、被爆者検診や被爆二世検診などの被爆医療に力を入れていただいています。福島の原発事故にも関心を持ち、病院でできることをやっています。

―病床数の増減はありますか。

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新病院を正面から見た外観透視図。右に鉄塔と、広島医療生活協同組合が運営するコープ共立歯科が描かれている。コープ共立歯科も増改築工事を行ない、今年5月17 日に完了した。広島共立病院の広報誌によると、「今回の工事で待合室やトイレが充実」したという。

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新病院は鉄筋コンクリート構造だが、1階の進入路部分は、鉄骨鉄筋コンクリート構造になる。進入路は、新病院の基本設計で一番難航した部分。左側に現病院が見える。(8月20 日に村田院長が撮影)

 13床減らして186床です。新しく緩和ケア病棟19床を作ります。

 約7千350㎡の敷地に建ぺい率60%、容積率200%の範囲で作らなければならなかったので、広いようで実はギリギリなんですよね。13床減らさなければ狭かったかも知れません。ベッドが減るのはつらいんですが。

 延べ床面積は、現病院のおおよそ1.4倍の約1万4千㎡。建築面積はだいたい4千200㎡です。鉄筋コンクリート構造の6階建てになります。

 1階は主に外来のフロアで、東西に幅4m、長さ90mの廊下が東西に走ります。

 2階の内科急性期病棟はHCU8床を含む41床。3階には急性期病棟41床と回復期リハビリテーション病棟44床を配置します。4階には急性期病棟41床と緩和ケア病棟を置きます。全部で5病棟です。5階は医局、薬局、セミナールーム、6階は厨房と検体検査室で、病棟はありません。3階の急性期病棟が、整形外科、小児科、糖尿病内科。4階の急性期病棟には、外科と消化器内科が一緒に入ります。

 現病院では個室は22室しかありませんが、54室に増やします。病床数からの割合で言えば、11%だったものが29%になります。ですが緩和ケア病棟はオール個室ですし、実質はそんなに増えていません。個室の広さは現病院が10.45㎡であるのに対し新病院は18㎡ですから、こちらは増えています。

―現病院はどうなりますか。

 新病院が出来たら、昭和52年に建てられた部分は壊して、駐車場にします。建て増しで作った部分は残して、病院ではない施設に転用します。今院内にあるメディカルフィットネスは、新しい病院には持っていきませんから、現病院のリハビリテーション訓練室に移設しようという案があります。

 メディカルフィットネスは平成21年に作りました。平成18年から心臓リハビリテーションもやっていますが、保険診療は日数が限られていますから。他院に通院している方や病気を持たない近所の方も通っていて、好評なんですよ。22時まで開いていて、毎日100人くらいの利用があります。私も平均して週に2~3回利用しています。冠動脈の治療をする医師としては、予防や再発防止をしてもらいたい気持ちがありますから、利用してもらうのは嬉しいですね。


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