救急と急性期が柱 使命を再確認し一歩ずつ
就任2年目。東千葉メディカルセンターの増田政久センター長は「『救急と急性期を担う』という使命を思い出し、実践することに徹した1年だった」と振り返る。救命救急センター、災害拠点病院などの指定を受ける地域の中核病院は、このエリアの医療をどう守っていくのか。
―1年間の取り組みを。
まずは救急医療の充実のため、体制強化を進めてきました。脳神経外科、麻酔科の医師を増員。救命救急センターを有しているからと3次救急に特化するのではなく、2次も含めて、救急患者をどんどん受け入れる。そんなイメージを描き、体制を整えてきました。
この東千葉メディカルセンターは、もともと、山武長生夷隅医療圏の患者さんのエリア外搬送率が高いことから、その改善のためにつくられた病院です。重篤だから、という理由で管内で処置できない患者さんを減らそうというのがコンセプト。ですから、地域の中核的な病院として、高度急性期、急性期医療を担う使命も帯びているのです。
現在は開院5年目。その使命を改めて確認し合い、そこに向かって職員一丸で取り組んでいるところです。
救急患者の割合は、救急車による搬送が半分、ウォークインが半分。ドクターヘリで運ばれてくる人は全体の1%程度です。この1年で、ウォークインの患者さんが増えてきました。地域の方から「頼りになる」と思っていただけている証であればうれしいですね。
また、感染対策と医療安全について、他病院と相互にチェックするシステムをつくりました。自分たちの病院の中で一生懸命やっていても、見落としが出てしまうかもしれない。第三者である専門家の「目」が入ることで気づくこともありますし、他病院から学ぶこともあります。地域全体の医療の質向上にもつながってくると思っています。
―地域の現状は。
この地域の大きな特徴は、急性期と慢性期の病床が多いことと、医師や看護師など医療従事者が少ないことです。高齢化と過疎化も急速に進んでいて、今後もさらに進行すると推計されています。
医療資源を集中的に投入する必要がある「高度急性期」に該当する患者さんを診ることができるのは、当センターだけ。今ある20診療科では、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科などの高度急性期、急性期に対応できないため、開業医の先生方との機能分担を明確にした上で、開設していきたいと考えています。
5月には地域医療支援病院の認可を受けました。周囲の医療機関との情報共有の場や勉強会を通じて交流と相互の信頼を深め、患者さんの紹介または逆紹介を増やしていきたいと考えています。
この地域にはまだまだ「病院完結型」の医療が根付いています。月に1度開いている市民講座などを通じて、病院の役割や機能分化など、現在の医療体制を少しずつ知っていただけるよう、努力していきたいですね。同時に、患者さんが不便を感じたり困ったりしないよう、病院同士が話し合い、すみわけと協力をしなければならないと思っています。
―課題は。
救急で言うと、マンパワーの不足です。医師、看護師、メディカルスタッフと多職種のチームで協力し合い、みんな一生懸命がんばってくれていますが、24時間365日対応するとなると、まだ十分とは言えません。増員を急ぎたいと思っています。
限られた医療資源で、高齢化が進むこの地域の医療ニーズにどう対応するのか。病院運営が厳しさを増す中、良質な医療サービスを提供し続けるためには、どうしたらいいのか。難しい問題は山積しています。それでも求められる役割を果たしながら、一歩ずつ前進していくつもりです。
地方独立行政法人 東金九十九里地域医療センター 東千葉メディカルセンター
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