社会復帰のフラッグシップに

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医療法人済世会 河野正美理事長

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【Profile】
1990 愛知医科大学医学部医学科卒業
2001 医学博士(九州大学)
1998 医療法人済世会河野病院院長
2005 より同法人理事長に就任し、あわせて河野名島病院、河野粕屋病院など関連施設を統括指揮。
2010 薬院河野クリニックを開設。
・福岡県病院協会 理事(2007年-)
・粕屋医師会 理事(2010年-)

昭和21年、河野正美理事長の父、故河野正氏が、精神科専門病院として糟屋郡篠栗町に開院した河野病院。今では県内に河野名島病院、河野粕屋病院、および薬院河野クリニック、メディカルサポート薬院を展開する。今般、宇美町にある河野粕屋病院のリニューアルにより、新たな医療体制が完成した。「医療法人済世会のフラッグシップにしたい」と語る河野理事長にねらいを聞いた。

1982年に河野粕屋病院が設立された当時は、精神病は不治の病とも言われたために、患者の面倒を最後まで看る病院をコンセプトとして、自然に包まれる1万535坪の敷地に建設され、体育館、陶芸、グラウンドなど、さまざまな環境を整えてきました。

ところが2000年あたりから抗精神薬が飛躍的に発展し、精神病はもはや不治の病ではなくなりました。さらに統合失調症の軽症化などとも言われ、患者の多くは1年以内に退院できるのです。したがって、短期入院の患者が増えてきて、建物も老朽化して、河野粕屋病院の当初のコンセプトは通用しなくなってきたわけです。

そこで、新たなコンセプトで河野粕屋病院を作りました。まず大自然の中で、心を病んだ方が短期間の療養をする場として。次に、認知症のうちBPSD(認知症に伴う徘徊や妄想、攻撃的行動、不潔行為などの行動、心理症状)のある患者は精神科で診療する必要性がありますから、そんな患者のケア施設に。さらに、統合失調症の患者のうち、短期では退院できない人も受け入れる入院施設です。

新病院では、今まで以上に患者のための病院設計をしました。従来からある遊歩道も、患者を車いすに乗せて森林浴をさせてあげたいとスタッフから要望が出たので、道路も再整備しました。225床ある病室もさまざまな患者に対応できるように、ヤフードームや博多湾の見渡せるシティビューと、落ち着いた山側の風景の見える部屋を備えています。プレミアムルームも備えており、公的病院の多くの先生方から、富裕層の認知症患者も入院できる、一昔前みたいな精神科病棟ではない、ホテルのような病院を作ってほしいとの要望にも応えられたと思います。

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10535 坪の広大な敷地に、地上5 階、地下1 階建ての建物が完成し、延べ床面積は2239 坪。ベッド数は225 床で、1 室あたりの床面積は従来の1.5 倍。ストレスケア棟や認知症対応病棟も備える。竣工内覧会も大勢の出席者でにぎわった。

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最近の時勢は、認知症や統合失調症の患者は早く退院させて地域でみようなどと、長期入院に否定的ですが、現実に長期入院せざるを得ない患者さんがいて、家庭で看れない患者さんがいるのだから「それは誰が看るのか」という時に「うちが看ます」と直ちに言える病院を作りたかった。私自身も精神疾患についてのさまざまな勉強会や委員会の役員を務めて、現実がきれいごとだけでは済まないことを知っているからこそ、本当に患者さんが必要な環境を整えたかったという思いがあります。よく認知症や精神病患者を地域で看ろと言いますが、そのための施設は遅遅として進んでいない。その理由は、新たに施設を作るよりもわが国では入院費の方が安いからです。精神科の病院に入院した場合、高額医療の還付を利用すると、患者の実質負担額はおよそ月10数万円。しかし、退院してからの生活経費の方が、はるかにそれを上回るのだから、外で看るなんて現実には困難です。国は地域で看ろなどと言うが、わが国の現状では非常に困難な話です。

福岡県でもうつ病の患者は増えていますが、一、二週間の短期入院をされると、多くの方は改善します。そうはいっても退院した次の日から会社に出勤できるのかというと、現実にはむつかしい。そこで、毎朝スーツを着て、ネクタイを締めて会社へ行くように、都市部にある薬院河野クリニックに来院してもらって、徐々に復職するためのデイケアを行なっています。

このような数週間で復職を目指すリワーク・プログラムも3年目を迎えました。今までのところ、全ての患者が復職されています。また、もしも長期の入院が必要な患者がいる場合には、より環境が整った河野粕屋病院が引き受けることが可能になりました。

河野粕屋病院をフラッグシップとして、医療法人済世会の4施設と連携して、心を病んだ方の社会復帰はもちろん、本当の患者目線に立った総合的な精神医療を提供していきたいと思います。


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