博多区医師会 九州大学の増田健太郎教授が医療現場のストレス管理を語る
福岡市博多区医師会と福岡市医師会は、1月20日午後7時から中洲のアクア博多で、医療現場のストレス管理を学ぶ学術講演会を開き、医師ら60人が集まった。座長は永島クリニック(博多駅前1丁目)の永島隆一院長が務めた。
講師は九州大学で実践臨床心理学を教える増田健太郎教授=写真左。臨床心理士の立場も踏まえ、「医師や看護師など対人援助職は『感情労働』従事者。相手に特定の精神状態を創り出すため、自分の感情も誘発または抑圧し、本来の感情に乖離が生まれて、燃え尽き症候群になりやすい」とし、2007年に全日本病院協会が調査した資料を示し、「およそ半数の病院が、暴言などの精神的な暴力を経験し、身体的な暴力も3割ある。未だにそうではないか」と推測した。
さらに「勤務医は組織のストレス、開業医は資金繰りや人の管理で神経を使い、訴訟リスクもつきまとう」とした。
また「感情労働で摩耗していく心をどう守るかが課題。学生のうちからセルフケア・デーを設けるなど、ストレスから解放する文化も必要ではないか」と話した。
そして、「ストレスを、モチベーションアップのチャンス到来だと見る人もいる。その人に合った、肯定的なフィードバックをすれば、モチベーションは上がっていく。人を育てるうえで、ほめるにしても叱るにしても、目線を相手と同じにし、思いのこもった声かけが大切。自分が認められていると知ることは、成長の肥やし」と語った。
博多区医師会会長で古寺内科医院の古寺重喜院長(写真左=博多区南八幡町) は、「どの会員にも役立つ研修にした。ストレスとうまく向きあってほしい」と訴えた。