大阪医科大学 脳神経外科学教室 黒岩 敏彦 教授

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関西が世界をリードする 次世代治療、本格始動へ

【くろいわ・としひこ】 1979 大阪医科大学医学部卒業 1985 米モンテフィオーレ病院留学 2000 大阪医科大学脳神経外科学教室教授 2012 同大学附属病院病院長 2013 同病院がんセンターセンター長 2018 関西BNCT共同医療センター副センター長

 大阪医科大学脳神経外科学教室の黒岩敏彦教授がセンター長を務めるがんセンターは、開設されて5年。今年度は、次世代がん治療「BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)」の拠点となる関西BNCT共同医療センターも稼働、副センター長を務めている。

センターで強めたつながりと発信力

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―がんセンター設立の経緯と特徴は。

 がんセンターができる以前から大阪医科大学ではすでに各診療科が、がん治療に力を入れていました。

 大腸がんの高度な腹腔鏡下手術での年間手術数は全国トップクラスですし、これまで膀胱(ぼうこう)全摘を余儀なくされてきた浸潤性膀胱がんに対する膀胱温存療法では、QOLの向上のみならず転移の予防により生存率の向上も立証されています。子宮がんでも腹腔鏡下手術、脳腫瘍では新しい治療法であるBNCTの治験も始めていました。

 私は2012年に大阪医科大学附属病院の病院長に就きました。「がんに強い大阪医科大学」をアピールする狙いもあり、2013年、がんセンターを開設したのです。

 高度な治療を集約した「先端医療開発部門」を設置したのがこのがんセンターの最も大きな特徴です。化学療法センター、緩和ケアセンター、がん相談支援センターなどの部門も設けました。臨床や研究だけでなく、がん登録を推進するがん登録室、市民公開講座による啓発などを実施する広報・教育部門なども、このセンターに一元化しています。

 スタートから5年が過ぎ、今、感じているメリットは、各診療科間、また他のがん診療拠点病院との連携など横のつながりが強化され、まとまりができてきたことです。センターでは全部門が集まるミーティングを週1回開催。他病院との情報交換会も年2回ほどのペースで開いています。

関西中心に発展「BNCT」

―6月、関西BNCT共同医療センターが誕生しました。BNCTの現状は。

 がん細胞だけに取り込まれるホウ素化合物を体内に点滴し、体外から中性子線を照射。ホウ素と中性子が核反応を起こしてがん細胞を破壊する治療法が「BNCT」です。

 ホウ素をもってない正常細胞に対しては、中性子は影響を与えません。がん細胞は壊すけれど、隣の正常細胞は壊さない、「がん細胞一つ一つをターゲットにした治療」です。

 浸潤性がんなどでもがん細胞を選択的に破壊できる点、繰り返し照射できる点が画期的と言えるでしょう。照射は1回、しかも短時間で済むため、入院は必要ないほどです。

 BNCTはアメリカで1950年代に研究が頓挫、その後、日本で花開いた治療法と言えます。

 日本がリードする治療法として脚光を浴び、日本の企業が開発した小型のBNCT用加速器は、2013年には安倍内閣の医療輸出戦略第一弾として、ロシアへの設置が提案されました。

 特に関西の大学では、京都大学複合原子力科学研究所を拠点に、大阪大学、大阪府立大学、本学が全国に先駆けて研究してきた実績があります。大阪府も協議会を立ち上げ、実用化推進に注力、独立した医療拠点の必要性が提言されました。

 そこで、20年近く臨床研究に携わり、脳腫瘍に対しては世界一の症例数を持つわれわれが名乗りを上げ、今年6月、地下1階、地上3階の「関西BNCT共同医療センター」が大学敷地内に開設されたのです。

共同がキーワード研究と教育の拠点

―展望を。

 BNCTの装置はまだ医療機器としての認可を受けていないため保険収載されていません。現在、治験によって有効性や安全性を検証している、いわば「準備段階」の治療法。現段階で治験の目標症例数が終了したのは、悪性脳腫瘍と頭頸部がんです。

 今後は他のがんについても保険収載となるよう、まずは先進医療を目指して実績を積み重ねながら検証を続ける必要があるでしょう。これまで治療成績の悪かったがんの治療に役立てたいですね。

 今後はセンターが拠点となり世界をリードして研究・開発を行うと同時に、人材育成の役割も担っていかなくてはと思っています。放射線治療専門医、専門の看護師、医学物理士...。全国からBNCT治療を目指す人が集まってくるようにしたい。センターは決して大阪医科大学だけのものではありません。多くの施設と共同で利用・研究をしていくつもりです。

摘出度を高め機能も守る

―脳神経外科教室のがん治療への取り組みを。

 悪性脳腫瘍の手術では、機能を温存しながら、腫瘍を可能な限り切除するため、独自に開発した顕微鏡を使用しています。腫瘍に集積する性質がある「5―アミノレブリン酸」を経口投与。赤色に光った腫瘍を、顕微鏡で確認しながら取り除きます。

悪性度高く進行も早い「神経膠芽腫」根治がかなう未来を描いて

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 開発の背景には、悪性脳腫瘍の中でも最も悪性度が高いとされている神経膠芽腫があります。進行が早い上に浸潤して、どれだけ切除しても、ほぼ間違いなく再発してきてしまう。生存期間の中央値は約15カ月。全国的に見るとここ20〜30年改善していませんが、近年、新しい薬の登場など新たな治療も少しずつ出てきました。

 私たちもいろいろと工夫を重ねています。15年ほど前にBNCTを開始し、神経膠芽腫の生存期間は従来のおよそ1・5倍へと延びています。しかしまだ根治には至っていないのが現状です。非常に難しい挑戦ですが、膠芽腫の根治、その実現が私の夢です。

大阪医科大学脳神経外科学教室
大阪府高槻市大学町2-7
TEL:072-683-1221(代表)
https://www.osaka-med.ac.jp/deps/neu/


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