地域がん診療連携拠点病院は機能に応じた「3分類」へ医療安全、PDCAサイクル確保がポイントに
地域がん診療連携拠点病院を中心とする医療提供体制の整備で「がん医療の均てん化」が進んだが、診療の質を評価する手法はまだ確立されていない。
「格差」が生じていることも課題として浮かび上がってきた。医療安全の確保に関する問題点も指摘されており、がんゲノム医療など、一定の集約化が必要な分野もある。
◎「格差」の解消へ
国は2017年8月「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」を設置。今年7月、「がん診療連携拠点病院等の指定要件の見直しに関する報告書」として議論を取りまとめた。
「2次医療圏に1カ所」を原則としている地域がん診療連携拠点病院は、2017年、都道府県が定める医療計画で「2次医療圏と異なるがん医療圏の設定」が可能となったことを踏まえ「がん医療圏に1カ所を原則とすべき」とした。
地域がん診療連携拠点病院の類型は診療機能や実績に応じた3分類に変わる。
指定要件を満たしていることに加えて、がん相談支援センターや緩和ケアの取り組みが充実しており、医療圏内で最も診療成績に優れている医療機関を「地域がん診療連携拠点病院(高度型)」とする。
指定要件をすべて満たした病院を「地域がん診療連携拠点病院」、指定要件を満たさなくなった病院を「地域がん診療連携拠点病院(特例型)」とする。
現行制度では具体的な手続きは定められていないが、新整備指針では都道府県による指導の勧告や指定類型の見直し、指定の取り消しが可能になる仕組みが整えられることになる。
◎変更のポイントは
今回、指定要件に「医療安全体制の確保」が新設されたこともポイントだ。「組織として明確な医療安全管理部門」の設置を求めており、医療安全管理者として「常勤の医師、看護師、薬剤師を配置すること」としている。
「PDCAサイクルの確保」も見直される。都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録部会によるQI(Quality Indicator)研究に参加してがん診療の質の向上に生かすこと、拠点病院間で情報共有や相互評価を行うことが望ましいとされた。
2019年4月以降は新たな整備指針に基づき医療機関ごと、地域ごとの実情に即して指定が行われることになる。院内の体制の再構築や新たな人材の獲得が必要になるケースもあるだろう。地域のがん医療が、新しい局面を迎える。