国立病院機構 熊本医療センター 菊川 浩明 泌尿器科部長

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熊本県内随一の患者数 "泌尿器疾患はすべて診る"

【きくかわ・ひろあき】 1990 熊本大学医学部卒業 同泌尿器科入局 1997 熊本大学大学院医学研究科外科系卒業 1998 同医学部附属病院泌尿器科病棟医長 2000 熊本泌尿器科病院 国立熊本病院(現:国立病院機構熊本医療センター)泌尿器科医長 2013 同泌尿器科部長

 熊本医療センターの泌尿器科は、あらゆる患者を受け入れ、珍しい症例を含む数多くの疾患を治療してきた。県内の開業医や研修医から注目されている。

ー熊本医療センター泌尿器科の特徴を教えてください。

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 熊本医療センターには二つの大きな柱があります。一つは救急医療、もう一つはがん診療です。

 救急外来を訪れる患者数は年間約2万人。うち泌尿器科の患者数は700人ほどで、泌尿器科が受け入れている救急患者数としては、熊本県内で最も多い人数です。

 救急外来としては珍しく精神科医による対応が可能なため、認知症のBPSDが強く現れている人や、精神疾患で暴力的になっている人にも対処し、治療ができる。そこが、大きな強みになっていると思います。

 泌尿器科の救急で最も多いのは尿管結石ですね。感染尿がたまることで引き起こされる腎盂腎炎や尿路性敗血症もよく見られます。

 そのほか、交通事故による尿道断裂や腎臓破裂など泌尿器系の外傷の治療、前立腺肥大で尿が出ない状態になった人やがんの急性増悪にも対応します。

 当科では研修医に感染症のような内科的治療から、腎臓破裂や血尿に伴う膀胱タンポナーデなどの外科領域まで幅広い症例を経験してもらっています。他の診療科でもさまざまな技術を学ぶことができるため、当院は多くの若い先生たちに研修先として選ばれてきました。

 病院のスローガンは、「1年365日24時間、断らない」こと。救急隊や開業医から患者の受け入れ先として信頼されているという実感があります。

ーもう一つの柱であるがん治療については。

 泌尿器の主ながんに膀胱がんと前立腺がんがあります。膀胱がんの患者さんの受入数は年間およそ300人で、熊本の医療機関ではトップ。九州では2番目に多い数字です。手術、放射線、薬物といったすべての治療手段を持っています。

 前立腺がんでは、前立腺を切除しない密封小線源治療「ブラキセラピー」を推進しています。前立腺に放射線の線源を埋め込み、内部に直接当ててがん細胞を破壊する方法で、手術と比べて失禁や男性機能喪失のリスクが低い、患者さんのQOLを保つ治療法です。

 今、国内では手術支援ロボット「ダビンチ」が爆発的に広がっていますが、前立腺がんでは手術と放射線治療で、再発のリスクに大きな差がないことがわかってきました。放射線治療を希望する方が増え始め、われわれのセンターにも多くの方が訪れています。

 がん以外でも、新しい治療法を取り入れています。2015年に結石治療の最新機器「ホルミウムレーザー装置」を導入。軟性尿管鏡を使った治療ができるようになりました。レーザーで結石を破壊し、カテーテルで取り除くので、高い排石率を誇ります。

 また、前立腺肥大症の治療にグリーンライトレーザーによる前立腺レーザー蒸散術を用いた方法を熊本県で初めて取り入れました。出血や合併症が少なく、入院期間も短縮できます。

ー男性の不妊治療にも取り組んでいると聞きました。

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 晩婚化が進み、不妊に悩む夫婦が増えています。原因は男性と女性の両方に可能性がありますが、県内には男性の不妊治療ができる病院がありませんでした。そこで、産婦人科の「福田病院」と協力して治療環境を整えている最中です。

 当泌尿器科では精子減少の原因の一つ、精索静脈瘤の治療を実施しています。ただ、精子が減少したり、全くいなくなったりする人のうち7、8割は原因がわかりません。治療するためには人工授精が必要です。県内でも精巣から精子を取り出す「精巣内組織採取」のための、特殊な顕微鏡を設置する計画が進んでいます。

 少子化が進む中、不妊治療の重要性は高まっています。医療機関同士が連携し、男性不妊に取り組んでいく必要があると思っています。

国立病院機構 熊本医療センター
熊本市中央区二の丸1-5
TEL:096-353-6501(代表)
http://www.nho-kumamoto.jp/


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