九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

地域医療に貢献し続ける

獨協医科大学病院窪田 敬一 病院長(くぼた・けいいち)1981年東京大学医学部卒業。スウェーデン・カロリンスカ研究所移植外科研究員、東京大学医学部附属病院肝胆膵外科、獨協医科大学病院副院長などを経て、2020年から現職。獨協医科大学第二外科主任教授兼任。  栃木県のほぼ中央、壬生町にある獨協医科大学病院は、1195床の病床を擁する。2020年4月、病院長に就任した窪田敬一氏は、より高度な医療を提供しつつも、地域と連携し、「優しい病院」を目指したいと語る。 移植医療など新しい治療に挑む  栃木県の特定機能病院であり、地域の基幹病院としての責務を担う獨協医科大学病院。その役割の一つである救急医療に関しては、栃木県のドクターヘリの基地病院になっている。県内のみならず茨城県、群馬県、埼玉県北部の3次救急をフォローする体制を整えており、救命率の向上や後遺症軽減に貢献している。 「災害時に、すぐに対応できる医療チームを準備しているほか、がん治療・研究などに関しても、地域の中心的な存在として日々取り組んでいます」と、窪田病院長は語る。 臨床面の主な特徴としては、移植医療が挙げられる。生体膵移植、膵腎同時移植、肺移植など積極的に取り組んでおり、特に生体膵移植に関しては関東でも少ない認定施設の一つとなっている。「今後は糖尿病患者さんの治療法の一つとして、膵移植を積極的に提案したいと考えています」 2020年の5月に設置した「脳卒中ケア・ユニット」も注目されている。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの患者さんに対して、迅速かつ濃密な対応ができる体制が整った。 さらに今後も果敢な挑戦を続けていきたいと語る。「特に多領域でロボット手術を導入することは今後の大きな目標の一つです。加えて、医療安全の面でも新規医療技術、新規医療機器、未承認薬の使用などについて、しっかり対応し、大学病院として、新しい医療を安全に提供できればと考えています」 地域と連携し、「優しい病院」に  2018年に「地域連携・患者サポートセンター」が立ち上がり、そこに入退院サポート部門、医療福祉相談部門、医療連携部門が設置された。以降、各部門が積極的に活動することで、患者さんの受け入れ、転院、退院などの管理がスムーズになり、同時に地域の医療機関との病診・病病連携も強固なものになりつつある。 さらに、新たな医療連携体制の構築として、2013年から「Dokkyo Alliance Clinics&Hospitals(DACH)」が進められている。 「これは地域の医療機関と当院が、互いに連携体制を強化し、地域医療に貢献することを目指すものです。幸い、近隣の開業医の先生には当大学の卒業生が多く、中には地域の医師会で主要なメンバーになっている先生もいらっしゃるため、DACHの活動は円滑で緊密なものになっています。これからも〝顔の見える連携〟を心がけて、地域医療を守りたいと考えています」 病院全体の方針として「優しい病院」を目指している。患者さんが十分に納得して医療を受けられるよう、インフォームドコンセントを徹底する方針だ。「当院は、もともと優しい医師やスタッフがそろっており、患者さんと気軽に話せる環境を大切にしています。その強みをさらに伸ばしていきたいですね」 「第62回日本消化器病学会大会」に向けて  窪田病院長は、2020年11月5日~7日に開催される「第62回日本消化器病学会大会」で、会長を務める。「これは五つの学会が力を合わせて開催する『第28回日本消化器関連学会週間』の一つです。今回は、欧米の著名な教授の講演や、特に大腸の研究・治療法に関しては数多くのセッションを予定しています。COVID―19の影響で流動的な面はありますが、開催に向けて準備を進め、大会を成功させたいと思います」 獨協医科大学病院栃木県下都賀郡壬生町北小林880 ☎️0282ー86ー1111(代表)https://www.dokkyomed.ac.jp/hosp-m/

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地域医療の充実に「患者第一」で臨む

独立行政法人 労働者健康安全機構 中国労災病院栗栖  薫 院長(くりす・かおる)1981年広島大学医学部卒業。国立呉病院(現:国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター)、広島大学大学院医系科学研究科脳神経外科学教授などを経て、2020年から現職。  広島県内で3番目の人口約22万人を擁する工業都市・呉。勤労者医療を中心に発展してきた中国労災病院に2020年4月、新院長が誕生した。 地域を見て役割を考える  広島大学脳神経外科学講座の教授職を2020年3月に退き、同年4月、中国労災病院院長に就任した。 「ここ呉医療圏は、隣接する広島中央医療圏との車の往来が多く、広島中央医療圏から流入する患者さんが増加しています。当院にも、広島中央医療圏にある東広島市から、多くの患者さんがお見えになります。当面この傾向は続くでしょう」と地域の現状を見る。 中国労災病院は労働者健康安全機構が運営する労災病院32施設の中の一つ。地域の救急・急性期医療、勤労者医療を支え、付随するリハビリテーション医療でも力を発揮。地域周産期母子医療センター、県がん診療連携拠点病院、県災害拠点病院などの指定も受ける中核病院だ。 「今後、この地域の医療のさらなる充実を図っていくためには、今よりも少し広域の視点を持ち、2次医療圏にとらわれない地域の環境や人の動きを考慮に入れた対応が必要になるのではないか」。その中で、自院が果たすべき役割は小さくないと考えている。 脳卒中対策を地域に広げたい  脳神経外科医として長年、臨床・教育・研究に関わってきた。自家頭蓋骨由来間葉系幹細胞を用いた脳梗塞に対する再生医療研究、広島大学病院へのスマート手術室「SCOT」導入など、華やかな実績も多い。同時に、地域連携という地道にも見える活動にも力を注ぐ。 常に考えていたのは「どうしたら、脳卒中患者の後遺症を軽減できるのか」ということ。発症早期の治療開始が欠かせないことから、自治体、医師会などとの連携に積極的に取り組み、早期治療実現のため多方面からアプローチしてきた。 広島市や市医師会、病院などが参加した「脳血管内治療における救急医療体制(病院前救護)検討部会」では、部会議長として、兵庫医科大学脳神経外科の吉村紳一教授ら開発の「病院前脳卒中病型判別システム (JUST Score)」を活用した救急搬送体制構築に尽力。 システムは、救急隊員が現場で血圧の値、まひや頭痛の有無などを入力すると、可能性が高い病型を画面に提示。病型に即した受け入れ病院を、搬送+治療開始までの時間順にリストで表示する。 「運用から8カ月間の中間データの解析では、重症脳卒中患者について救急隊員の医療機関への交渉回数が有意に減少しています」。中国労災病院赴任後は、呉市役所・消防署でも、このシステムについて説明するなど、連携と脳卒中対策の拡大に向けて動き始めている。 患者第一 その前提に職員  中国労災病院の理念は「患者中心の良質な医療と地域医療への貢献」。「言い換えるなら、『ペイシェント・ファースト(患者第一)』。それをいかに具体的に実践していくのか、考えるのが私の役目です」 着任直後からCOVID―19の対応に追われる中でも、第一に考えるのは患者・地域のこと。ただ、その実現の前提に必要なのは、病院職員全員の健康・安全だと考える。 「COVID―19によって、病院は、感染拡大を防ぎながら通常の医療提供体制を維持する必要が出ている。職員も、患者さんを守るための感染対策などの負担が増えています」 だからこそ、高い意識で業務に従事する職員を目にするたびに、決意を新たにする。「職員を守ることが病院、そして私の責任。安心して仕事ができる環境をつくっていきたい」 独立行政法人 労働者健康安全機構 中国労災病院広島県呉市広多賀谷1-5-1 ☎️0823-72-7171(代表)https://www.chugokuh.johas.go.jp/

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震災後の福島を支える新たな教育体制を構築

一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院佐藤 勝彦 理事長・院長(さとう・かつひこ)1981年福島県立医科大学医学部卒業。スウェーデン・ヨテボリ大学留学、福島県立医科大学整形外科学講座、福島県立会津総合病院院長などを経て2009年大原綜合病院院長、2019年から現職。  東日本大震災から9年が経過。福島県内の医療事情は、震災の前後で大きく変化した。特に苦慮してきたのが医師の確保。大原綜合病院では、その状況を改善すべく、さまざまな取り組みを推進してきたと言う。 ─病院の特徴は。  当院は、1892年に開院。福島市の中心にあって、駅からのアクセスもいい場所にあります。 病院建物の老朽化に伴い、2018年、道路を挟んで向かいにあったこの土地に新築移転しました。同じタイミングで、法人内の大原医療センターにあった循環器内科など急性期の機能を当院に移行。救急・急性期医療に特化した総合病院として、新たなスタートを切りました。 新しい建物は、救急にも力を入れた造りとなっています。救急医療を専門とする医師に、設計段階からアドバイザーとして関わってもらい、ER型の救急に対応するための広い手術センターを設置。屋上にヘリポートを設けてHCU(高度治療室)、手術室、病棟をエレベーターでつなぎ、縦の動線をつくりました。 実際に運用していても、かなり効率化されたという手応えがあります。救急の受け入れ件数は、2019年でおよそ3400件となっています。 法人内を見ると、当院が急性期医療を担い、大原医療センターが地域包括ケアと回復期リハビリテーションの部分を担当。清水病院が精神疾患や認知症を対象とする「精神科」を専門としています。法人内で連携し、ほぼすべての患者さんに対応できる体制になっていることも、強みだと言えるでしょう。 ─大切にしていることは。  重要なのは、患者さん一人ひとりを大事にしながら、1人でも多くの患者さんを診ること。地域の方々の要請であり、当院の健全経営にもつながります。 ただ、実現のためには、医師を確保することが大前提です。そこで、「震災」という一見ネガティブなファクターを強みにし、「福島県で一流の教育ができるように」という目標を持って、総合診療科を中心に全職種が関わる臨床研修をつくり上げてきました。 さらに、地域全体の教育体制を底上げすべく、市内2カ所の基幹型臨床研修病院とタッグを組んで「福島市臨床研修〝NOW〟プロジェクト」を立ち上げました。「NOW」は、日本赤十字社福島赤十字病院(NISSEKI)の「N」と大原綜合病院(OHARA)の「O」、医療生協わたり病院(WATARI)の「W」を取りました。福島市医師会の協力を得ながら、著名な医師を招いたケーススタディーや講演会、さらにはフェアへの出展などの活動を展開しています。 医師の確保や育成は、これまで各病院がそれぞれで頑張っていました。しかし、手を組むべき局面では手を組みながら、互いに「良きライバル」として切磋琢磨(せっさたくま)していくことが地域の医療を守ることにつながるのではないでしょうか。今後も、連携を通して地域の研修や医療提供の質を底上げしていけたらと思います。 ─今後の目標は。  総合的な新しい医療を模索したいと思っています。心と体は不可分で、健康を損なうと体だけでなく精神も病んでいくもの。そこでリエゾン精神医学的アプローチを導入して、患者さんの満足度を上げていきたいと考えています。 また、福島県は残念ながら健康指標が高くありません。健康寿命が全国平均より低く、特定健診でメタボリック症候群に該当した県民の割合は、全国ワースト4位(2017年度)。循環器疾患や脳血管疾患によって亡くなる方の割合も、全国と比較して高くなっています。福島県を健康長寿県にしたい。そのために、予防医学的な啓発活動にも、さらに力を入れる必要があるのではないかと強く感じています。 一般財団法人大原記念財団 大原綜合病院福島市上町6─1☎024─526─0300(代表)http://www.ohara-hp.or.jp/ohara/

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困っている人がそこにいるから

医療法人紘友会 福山友愛病院末丸 秀二 理事長・院長(すえまる・しゅうじ)1994年金沢医科大学医学部卒業、2000年岡山大学大学院医学研究科博士課程修了。岡山大学医学部附属病院精神科・神経科、三豊市立永康病院心療内科医長などを経て、2018年から現職。  広島県南東部に位置し、県内第2の人口を擁する福山市。市内で唯一の精神科救急医療施設である医療法人紘友会福山友愛病院に末丸秀二理事長・院長が院長として着任してから3年余りが経過した。 ―取り組んできたこと、感じている病院の特徴を。  当院はもともと精神科の病院ですが、私が赴任して、まず取り組んだのが、心療内科の開設でした。 提供する医療の内容を変えることが狙いではありません。精神科を受診することに対して、「ハードルが高い」と感じる患者さんやご家族を、医療機関につなぎやすくしたいと考えたのです。前任の三豊市立永康病院で心療内科医長をしていた経験もあったことから、開設を決めました。 その後、心療内科があったから気軽に受診できたという声や、診断書を「心療内科」から出してほしいという要望をいただくなど、一定の効果を実感しています。 病院の特徴の一つは「救急」。経営上の生命線でもあります。当院は、1987年、200床で開院し、現在347床。20年以上にわたり、広島県東部地区の精神科救急医療施設、応急入院指定病院、医療観察法指定通院医療機関の役割を担ってきました。 今は、三原市にある小泉病院、三原病院と、福山市にある当院の3病院で救急当番を1カ月交代で担当しており、年に4回、当番が回ってきます。それ以外の時期であっても、24時間365日応需の看板を掲げており、病床稼働率は、常時90%超えています。 複数の精神科疾患を合併していたり、認知症の周辺症状が出ていたりと、精神科の患者さんはこの地域でも増えている印象です。対応するだけの十分な医師の確保がなかなか難しい中、ほぼ無休での救急対応を可能にしているのが、経験豊富なスタッフたちの存在。着任当初、重症の患者さんであっても、適切に対処する看護師らスタッフの姿に、驚き、感心したのを今でも覚えています。 ―デイケア、付帯施設もお持ちですね。  外来の患者さんを対象に、1999年に小規模デイケアを開始。多くの要望をいただき、その後、大規模へと移行しました。2003年には精神科デイ・ナイトケアも始めています。 付帯施設としては、2005年に、社会復帰を目的とした精神保健センター「友愛」を開設。4階建てのセンター内に、精神障害者宿泊型自立訓練施設、精神障害者グループホーム、精神障害者福祉ホーム、居宅介護支援事業所、地域生活交流センターなどが入っています。 国の方針で、患者さんの地域移行が進みました。難治の統合失調症の患者さんや発達遅滞を遠因とした依存症やパーソナリティー障害の患者さんは、特に継続的に診ていく必要があります。入院医療だけでなく退院した方を支える医療にも引き続き注力していく必要があると感じています。 ―今後については。  私自身が、やりがいを感じるのは、やはり「地域の方々に必要とされている」と感じる瞬間。病院としても、地域密着で市民の皆さん、近隣の地域の皆さんが、頼って、利用してくださる病院であり続けたいと思っています。 そのために力を入れているのが、組織づくり。少し乱暴な言い方をすると、この病院を、「私がいなくても大丈夫」だと胸を張って言える組織にしていきたいと考えてきました。 私は、トップダウンのタイプではありません。周りを信頼して、教えてもらって、患者さんをよくみている現場の管理者の意見を聞いて、病院を運営していく。今後も大事にしていきたいと思います。 そして、創設以来の病院の方針である「困っている人がそこにいるから。なんどきも断らないトータル的な医療の提供」を引き続き目指していくつもりです。 医療法人紘友会 福山友愛病院広島県福山市水呑町7302―2☎084―956―2288http://yuai-hospital.or.jp/

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島内完結の医療目指す 環境生かした研修も

長崎県病院企業団 長崎県対馬病院八坂 貴宏 院長(やさか・たかひろ)1988年長崎大学医学部卒業。国立がんセンター(現:国立がん研究センター)中央病院外科研修、生月病院、上五島病院院長などを経て、2019年から現職。上五島病院顧問兼任。  玄界灘に浮かぶ九州最北部の離島、対馬。島の中核病院である長崎県対馬病院は、少子高齢化に伴う公的病院の統合で5年前に開院した。医療機能の強化はどう図られたか。へき地医療の課題や強みは何か。八坂貴宏院長に聞いた。 ―統合の経緯と新病院としての特徴を教えてください。  長崎県と県内離島地域の市町が共同出資する「長崎県病院企業団」が運営していた3病院のうち、2病院を統合して2015年に開院しました。 島の人口は今、3万人足らず。ピークだった昭和30年代の半分以下です。新病院の病床数は、統合した2病院の合計数よりも少ない275床とした上で、精神科や小児・周産期などの医療体制の維持を図りました。 同時に医療機能を強化。総合腫瘍科や血液内科などが新設され、25診療科となりました。がん治療のレベル向上のため、放射線治療装置「リニアック」を導入。全国の離島医療機関の中でも先進的な試みです。現在、医師38人(パート含む)、看護師約200人の態勢です。 一番の課題は医療人材の確保です。離島の多い県全体の長年の課題でもあります。県独自の奨学金制度、自治医科大学の派遣制度、長崎大の「地域枠」制度などにより、何とか人材を集めて運営してきました。 奨学金制度は、在学中の奨学金の返還を免除する代わりに、卒業後は県内の医療機関に勤め、うち一定期間は離島勤務となる仕組み。看護師も類似の奨学金があり、県、市、病院がお金を出しています。この春、入職した看護師も、多くが奨学金制度を使っています。 当院の医師は7人が地元出身。看護師もほとんどが地元に縁があります。かくいう私も対馬の出身です。 救急患者の本土搬送には自衛隊のヘリコプター、県の防災ヘリ、民間のドクターヘリが24時間体制で使用可能。搬送件数は年間計50~60件です。 ―島の中核病院として果たしたい役割は。  できる限り島内で医療を完結できる態勢を整えていきます。対馬に限らず、患者さんの中にも「大病院志向」「本土志向」がある面は否めませんが、「島でできることは島でやらせてください」というのが本心です。 それには私たち病院側の能力が問われます。各専門の診療部門、総合的な医療、地域包括ケア、救急医療…。いずれも高いレベルで提供した上で、島内で完結できないケースは迅速かつ適切に、島外の医療機関につなぐ。こうした態勢を整え、島民に安心して島の医療を利用してもらうことが私たちの役目です。 ―人材育成の面で方策は。  島の医療環境を生かした総合診療の研修の仕組みをつくりたいと考えています。 現代の医療は細分化されていますが、医師には広い知識と技術、対応力が不可欠。何より人間力や心の部分が大事です。「医療は病気を治すだけでなく、誰かの人生を支えるためのもの」という原点を知ってこそ、良い専門医になることができます。 それらを身をもって学ぶすばらしい環境が島にはあります。多様な患者さんの診療を手掛け、暮らしに寄り添い、ときには家庭の課題にも耳を傾ける。特殊な手術ばかりしてはいられません。 学生や研修医が、へき地の現場に短期間でも身を置く経験を持てば、都市部に戻って高度な専門医療機関に身を置いたとしても、互いに分かり合うことができます。将来、改めてへき地医療を志すかもしれません。 前任の上五島病院(長崎県上五島町)では、総合診療専門医の研修プログラムをつくり、全国から医師を受け入れていました。当院でも試みたい。若い医師は幅広く成長でき、当院は人材を定期的に受け入れられる。ウイン・ウインの関係で支え合う仕組みを目指したいと思っています。 長崎県病院企業団 長崎県対馬病院長崎県対馬市美津島町雞知乙1168―7☎0920―54―7111(代表)http://www.tsushima-hospital.jp/

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病院建設計画スタート 地域のさらなる医療充実を

医療法人青仁会 池田病院池田 大輔 院長(いけだ・だいすけ)1998年川崎医科大学卒業。鹿児島大学医学部附属病院(現:鹿児島大学病院)、国立病院九州循環器病センター(現:国立病院機構鹿児島医療センター)、池田病院循環器内科などを経て、2012年から現職。  鹿児島県の大隅半島にある肝属医療圏。圏内診療の体制拡充と高度化が医療従事者、および地域住民の変わらない願いとなっている。同地域中心の鹿屋市で、約50年にわたり地域医療に取り組む、中核病院の一つ「池田病院」。病院の建設計画を含め診療体制の充実に努める池田大輔院長に現状と展望を聞いた。 ─肝属医療圏の現状は。  高隈山系と国見山系に囲まれ、長らく〝陸の孤島〟と呼ばれてきた肝属地域も、数年前に高速道路が開通し、交通事情はかなり改善しました。しかし医療施設が集積する鹿児島市への患者搬送は、まだ時間を要するのが実情です。 また、当医療圏の人口のうち、65歳以上の高齢者が占める割合は30%に達しています。特に本土最南端の佐多岬がある南部エリアの高齢化は相当進行しており、がん、心疾患、脳疾患などの死亡率が県平均を超えている状況です。 このため、鹿屋市医師会を含む四つの医師会が連携し、検診の充実、および在宅医療や介護受け入れなどの拡大を最優先事項に、住民の診療に当たっています。しかし、医師不足もあり、改善は思うように進んでいません。 医師会をはじめ各医療機関は、自らの特色や強みを発揮しながら、医療資源のさらなる拡充に取り組み、地域住民の医療ニーズを満たす努力を続けています。 ─病院の特徴について教えてください。  鹿屋市で、透析医療を本格的に行う医療機関としてスタートし、現在、多数の施設を持つ池田医療介護グループを形成する一方、10年ほど前から私の専門である循環器をはじめとし、カテーテル治療や外科治療を展開。現在、診療科目21、189床の総合病院になりました。開業時よりドクターの数も3倍に増え、市民から厚い信頼を得ています。 当院は救急医療と循環器、透析、がん、脳卒中などに強みを持つほか、鹿屋市では少ない呼吸器内科、血液内科、肝臓内科、消化器内科については、特に鹿児島大学と連携しながら診療を行っています。 ちなみに、2019年から、鹿児島大学から研修医の受け入れも開始しています。「来て良かった」「もう少しここで働いてみたい」と思っていただけるように、アットホームな雰囲気の中で研修を行うことに努めています。 大隅半島は自然が豊かで、特に食べ物は〝日本一おいしい〟と私は信じており、生活環境も満足していただけるものと確信しています。研修医の受け入れが医師不足の解消と地域医療の充実につながることを願っています。 ─今後の目標は。  一つはスタッフが、100%力を発揮できるための、組織づくりです。 650人を超えるスタッフが、人間関係を豊かに、チーム力を結集しています。当院が目指す医療提供体制を整えるためには、職員個々の能力アップと、教育システムが必要であると考えています。 私も院長として、可能な限り、諸問題に対処し、解決するよう努めると同時に、次世代を担うスタッフが、モチベーションを持ち続け、キャリアアップしていける組織運営の推進にも、力を注いでいます。 もう一つは、地域医療へのさらなる貢献の一環として、当院の医療体制強化とともに、地域住民がより利用しやすい施設の実現を目指し、病院の建設計画をスタートさせています。 現在の建物はすでに築35年ほど経過して老朽化が目立ち、患者やスタッフの増加によって、かなり窮屈になっています。これまで以上にハイレベルな診療や療養に取り組める先進的な医療施設を数年以内に建設し、地域住民の医療ニーズに少しでも対応していきたいと考えています。 医療法人青仁会 池田病院鹿児島県鹿屋市下祓川町1830☎0994―43―3434(代表)http://www.ikeda-hp.com/

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目指すのは地域完結型の「断らない医療」

社会福祉法人恩賜財団 済生会支部 福岡県済生会二日市病院壁村 哲平 院長(かべむら・てっぺい)1982年順天堂大学医学部卒業。九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)、福岡県済生会福岡総合病院副院長、福岡市医師会成人病センター(現:福岡大学西新病院)院長などを経て、2020年から現職。  福岡市のベッドタウン、筑紫医療圏の一翼を担う二日市病院。地域医療支援病院、災害拠点病院として救急医療に取り組む。壁村哲平院長は「変化と失敗を恐れず、地域のニーズに対応できる病院づくりに粘り強く取り組みたい」と抱負を語る。 済生会「らしさ」を発揮する三つの追求  病院トップとしてのかじ取りは2回目。福岡市医師会成人病センター(現:福岡大学西新病院)院長時代に経営を改善・安定化させた。その手腕が評価され、2018年から院長代行として福岡県済生会二日市病院の運営に携わってきた。 (続きは紙面でお読みいただけます。ご入用の方は、info@k-ijishinpo.com へお問い合わせください)

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地域医療支援病院として全人的な総合診療科を充実

公益社団法人 地域医療振興協会 東京北医療センター宮崎 国久 管理者(みやざき・くにひさ)1984年自治医科大学医学部卒業。同附属大宮医療センター(現:さいたま医療センター)、東京ベイ・浦安市川医療センター、東京北社会保険病院(現:東京北医療センター)総合診療科兼副管理者などを経て、2014年から現職。  東京北医療センターは、2018年に地域医療支援病院に指定された。地域住民、地域医療機関との信頼関係を大切に、救急医療に尽力するとともに、へき地・離島の医療支援にも情熱を注ぐ。地域医療の質の向上に努める管理者の宮崎国久氏に、その思いを聞いた。 ─特徴を教えてください。  地域医療支援病院として、当院が果たす役割の一つに急性期医療があります。 そこで重要な役割を担っているのが総合診療科です。例えば、高齢の急患の場合、肺炎や骨折で来られても、何らかの基礎疾患をお持ちのことが多い。診療科をまたいで診察を受けるようなことがないよう、まず総合診療科が全人的に診療をし、専門の診療科につなげる医療を展開しています。 (続きは紙面でお読みいただけます。ご入用の方は、info@k-ijishinpo.com へお問い合わせください)

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