医療法人 川村会 川村病院 佐野 修一 院長

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この地域で信頼される医療機関を目指して

【さの・しゅういち】 1986 自治医科大学卒業 1989高知大学医学部医学科大学院入学(第一内科)1997 土佐市立土佐市民病院内科医長 1999 高知大学医学部第一内科助手 川村病院副院長2009 同院長

 JR高知駅から3.5kmほどのところに位置する川村病院。開業当時から胃カメラを導入するなど高度な医療を提供すると同時に、地域の人びとのニーズに応じて変化し続けている。

―病院のこれまでの歩みを教えて下さい。

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 1964年、初代の川村健一院長がこの地に開設したことに始まります。

 開業当時から「親身になって患者を診る」ことを信念として患者さんと真摯(しんし)に向き合い、診療を続けてきました。当初から消化器診療が中心で、高知県の私立病院ではかなり早い段階で胃カメラを導入し、高度な医療を提供してきました。

 私は高知大学第一内科に在籍しているときから、慢性胃炎や胃潰瘍(かいよう)の原因の一つで、胃がんの発症リスクを大幅に高める「ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)」の研究をしており、十二指腸のピロリ菌は胃の中のものと比べて細く短いことを発見。「fineform」として発表しました。そのピロリ菌も近年は上下水道が整備されて衛生環境が改善されたことで、菌を保有する子どもの割合が大幅に減少しました。

 2000年には胃潰瘍などの患者さんに対して、また2013年には慢性胃炎でピロリ菌陽性の方へのピロリ菌の除菌が保険適用になりました。

 現状では胃がんを発症する人の90%以上がピロリ菌を保有しています。今後、内視鏡検査普及や除菌の効果でピロリ菌を保有しない人が増えるのは喜ばしいことです。一方、ピロリ菌と関係しない胃がんがこれから増えることが予想され、疾病構造は時代とともに変化していきます。

 2016年に国の「がん検診指針」が改訂され、自治体の検診に胃内視鏡検査が導入可能になったことを受けて、高知市でも10月から胃内視鏡検査による胃がん検診が始まりました。次第に周知されていくことで来年度以降は受診者が増えてくるだろうと期待しています。

―診療の特徴を教えて下さい。

 診療科目は内科、胃腸科・消化器科、循環器科、糖尿病内科、心療内科。病院の看板には「胃腸科ホスピタル」と書いていますが、この地域、特に高齢の患者さんは高血圧や脂質異常症、動脈硬化、糖尿病の医療ニーズが高いため私たちが広い守備範囲を持ち、さらに高知大学から医師の派遣を受けるなどして対応しています。

 また地域のがん診療連携拠点病院と連携して、外来での化学療法も実施しています。

 急性期病床が27床、地域包括ケア病床が5床、療養型病床45床の77床が稼働しています。入院患者の8割ほどは65歳以上の高齢者で、肺炎や尿路感染症を発症した施設入居者の割合が増えてきています。

 療養病棟には、他の医療機関で治療を終えたものの在宅復帰はまだ難しい方や、食事が食べられなくなったり酸素吸入が必要になったりした方が多く入院しています。

 20〜30年前と比べると薬や医療機器が良くなったため、胃潰瘍(かいよう)で出血した場合も内視鏡で止血した後、短期間の経過観察入院で済むようになりました。糖尿病に関しても以前は悪化すれば入院してインスリン治療をするのが一般的でしたが、現在は外来でさまざまな経口薬を使用することができます。しかし割合は少ないですが、重度の場合は入院が必要で、また食事療法や合併症の知識を深めていただく場合には教育入院が必要となります。

―地域における課題と医療の在り方とは。

 高知県は人口10万人当たりの病床数が1967.7床。日本で最も病床数が多い自治体として知られています。

 共働きの家庭が多く、家族が病気をしたり高齢でサポートを要したりする場合は病院が頼り。そんな地域性が一因としてあるようです。

 一方、介護施設は全国平均よりも少なく、一般病床・療養病床数は全国1位ですが、介護施設のベッド数を合わせると順位はだいぶ下がります。

 療養型の病床には、医療区分のニーズが重い人を80%以上入れる「医療療養1」と50パーセント以上入れる「医療療養2」があります。療養病棟から在宅や施設に復帰すると評価される在宅復帰加算という仕組みですが現実的には難しい内容です。

 川村病院では在宅療養を支える仕組みとして病院の向かいに「居宅介護支援センター かがみ川」「訪問看護ステーションかがみ川」、近くを流れる鏡川沿いに「デイサービス はる風」を運営しています。

 訪問看護ステーションとデイサービス事業は2006年に運営を開始しましたが、マンパワー不足により訪問看護ステーションは2009年に休止。その後は川村病院の「訪問看護部門」として稼働していましたが、人員を整えて11月からは「訪問看護ステーション」として再始動を果たし、現在は利用者の掘り起こしを図っています。

―玉水町に新たな介護施設を建設予定だそうですね。

 川村病院からほど近い玉水町に「看護小規模多機能型居宅介護事業所かがみ川(仮称)」を建設予定。詳細は未定ですが2019年の運用開始を目指しています。

 現在行っているデイサービスの利用者は、送迎バスに乗って施設まで来て、昼間の時間を施設で過ごすことのできる、比較的ADLの高い方が中心です。「それよりもっと介護・援助を要する方のお世話をできたら良いな」という思いで「看護小規模多機能型居宅介護施設」の建設を決断しました。

 看護師が常駐しているので必要に応じて訪問看護や宿泊ができる点が従来のデイサービスとは異なります。利用者が楽しく過ごすだけでなく、病気の経過を見ることやADLを維持したり向上したりできるようなサポートをしていきたいと考えています。

―今後の展開を教えて下さい。

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 「急性期病院」と一言で言っても、大学病院のようにICU(集中治療室)を備えた特定機能病院から一般病院までさまざまです。

 当院ではこれからも軽症〜中症の急性期医療を中心とした診療を提供すると同時に、さらなる福祉サービスの充実を目指します。小回りが利いて役に立つ医療機関でありたいと思います。

 独自の取り組みとして週に一度の朝礼において、私が日常の診療で感じたことを話したり、月替わりで五七五の標語にして発表しています。

 「Wチェック できないときは できるまで待て」「我が仕事 病む人のため仲間と共に」と仕事における姿勢を詠むこともあれば、「消火器は エレベーター横 病棟の端」といった日常的なものまで、内容はさまざまです。職員の意識を向上させるために工夫を凝らしています。

 長くこの地で診療を続けていると、三世代で通ってきてくれる家族もいます。これは地域の人々に信頼されている証であるとともに、先代から築き上げてきた大事な財産だと思うのです。今後ますます地域医療に貢献していこうという強い思いが湧いてきます。

 これからも地域に「信頼され、安心していただける医療」に努めていきます。

医療法人 川村会 川村病院
高知市上町5-6-20
TEL:088-823-7433(代表)
http://www.kawamura-hosp.or.jp/


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