新病院竣工で実現する地域へのさらなる貢献
2年後の2020年春、新病院が竣工予定の豊見城中央病院。沖縄県南部地域の中核医療施設として、期待されていることとは何か。地域医療への思い、新病院の狙いを新崎修院長に聞いてみた。
―沖縄県南部地域における役割とは。
沖縄では、病院がそれぞれの特性や役割を認識して機能分化を行い、連携しつつ一体となって地域医療に貢献しています。
当院は救急、循環器内科、整形外科、脳外科などに高い評価をいただいています。急性心筋梗塞の疑いのある患者を救急搬送する際に、現場で装着した心電図波形を病院にいる医師が確認できる「クラウド型心電図伝送システム」を沖縄でいち早く2014年の12月に導入。それ以前も、病院到着から病変部位の再灌流までの時間を短縮できるよう循環器内科医の24時間院内待機などに取り組んでいましたが、このシステムを導入したことで、到着後すぐに治療が開始できるようになりました。
また、循環器内科と心臓血管外科によるハートチームの形成にも取り組んできました。ハートチームの症例数は県内でトップクラス。近くに自衛隊の基地があり、ヘリでの搬送が容易である立地から、沖縄の離島や鹿児島県の奄美大島からも緊急の依頼が多いのが特徴です。
―現在建設中の新病院に期待が集まっています。
まず、強化したい部門の一つが救急です。ヘリポートも設置し、自衛隊基地や那覇空港を経由した搬送のアクセスも向上します。現在の救急室が手狭なため、新病院は従来の4倍、1400㎡のスペースを確保し、医師の数も増やしていく予定です。
また、がん治療も強化します。念願の放射線治療機器を導入し、院内での一貫した治療が可能になります。まだ決定ではありませんが、TAVIに対応できるハイブリッド手術室の導入も検討しています。
一方、病床数は現状維持。もともと稼働率が高く、在院日数が短いのが当院の特徴です。在院日数は平均9日前後、稼働率が年間平均95%です。入院した方にできる限り早く回復し、退院いただくことを、新病院になっても守っていきたいと思っています。
医師の数は378床に対して145人。非常に多い人数がいるため、それぞれ専門性をもって治療にあたることができ、毎年1学年13人ほどの研修医の受け入れも可能になっています。多職種連携はもちろんのこと、ドクター同士もいつでも相談できる環境で、研修医にとっても学びやすいのではないでしょうか。
―設備も診療も、より充実しそうですね。
新病院建設の背景の一つに、病院周辺の道路や院内の混雑解消がありました。
当院は隣接する那覇市からの患者も多く、駐車場に入るための車が大渋滞を起こしており、近隣に大変な迷惑をかけてきました。中には、待っている車中で気分が悪くなる方、タクシーで来たのに病院にたどり着けない方もいたほどです。
新病院の駐車場は患者用600台、職員用900台を確保。市の協力を得て道路も拡張されることになっています。建物の老朽化、スペース不足による治療の限界など、あらゆる問題が新病院建設によって解消できると思っています。
私は院長就任にあたり、「日本一地域に信頼される病院になりたい」という目標を掲げました。信頼は一日一日の積み重ねです。愚直に自分たちの役割を果たしていけば、地域からの信頼は自然と高まっていくと思います。
新病院においても、他の病院や施設、救急搬送を含め、行政ともしっかりと連携しながら、一層地域医療に貢献していきたいと思います。
社会医療法人友愛会 豊見城中央病院
沖縄県豊見城市上田25
TEL:098-850-3811(代表)
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